鉾取山、原山、洞所山 〜山上の回廊(その1)〜


 

【広島市安芸区、広島県海田町 平成17年12月25日(日)】
 
 02年から可部冠山、荒谷山、大野権現山と続けてきた年末山歩き。今年は広島市安芸区と海田町との境に連なる鉾取連山の縦走です。
 広島市の南東部を流れ海田湾に注ぐ瀬野川。その瀬野川の南縁に沿って連なるのが鉾取連山で、その盟主が鉾取山(712m)。そこから南西に向かって、676mピーク、原山(672m)、591mピーク、洞所山(641m)と続きます。都市近郊にある山ですが、ほぼ0mからの登りであることと縦走距離が長いこともあって、歩き通そうと思えばなかなかの強者であることに間違いありません。


Kashmir 3D

 今日のメンバーはいずれも広島自然観察会スタッフで、土木技術解説担当のMさん、果実酒醸造担当のTさん、好奇心担当のM女史、山で昼寝担当のワタクシyamaneko。都合4人です。(なお各担当はオフィシャルなものではありません。念のため。)
 ところで、いつもは思いついたことをただ書き連ねるだけのレポートなのですが、今回は初めて歩く方のガイドとして役立つように、コース上の目印や到達時刻などについて分かりやすく記述しようと思います。 


 JR山陽本線で広島駅から5つ目、中野東駅に降りたのは8時半前。駅前のコンビニ(セブン)でおのおの昼食を仕込んだ後、8時40分、中野東駅前をスタートしました。

 (中野東駅前から2号線方面を望む)

 正面に壁のように立ちはだかる鉾取山の山塊に遮られて、辺りにはまだ朝日が届いていません。空だけが明るく、不規則に波打つ山の端がひときわ輝いていました。
 写真正面が鉾取山、右の前峰が676mピーク。まずは鉾取山左側の鞍部を目指します。

 (平原橋東詰交差点
   左:岡山方面、右:広島方面)

 300mほどで瀬野川に架かる平原橋に。これを渡ると対岸が平原橋東詰交差点。国道2号線を渡ってそのまま直進し、道なりに斜め左へ進みます。他のサイトにはこの交差点にコンビニ(ポプラ)があると記されていましたが、工事をしていて今はなくなっていました。
 ここから登山口までは基本的には幅の広い道を選んでいけば間違いありません。ただ、この道は瀬野方面への抜け道になっていて(したがって車の量が思ったより多い)、途中で別れて山の方に向かわなければならないので、間違って瀬野方面に向かう道に入らないように注意が必要です。

 (道なりに左へ)

 道は緩やかな上りです。2号線の交差点から100mほどで主道は斜め左に曲がります。山の方とは反対側に向かうので「おや?」と感じますが、ここはあくまでも道なりに。道はすぐにぐるっと回り込んで、また山を正面に見ながら上がっていく感じになります。

 (稲妻形に進む)

 150mほど進むと、主道が稲妻形に折れている場所に出ます。左右に分岐はありますが、メインの道を。この辺りは脇道から車が頻繁に出てきますので気をつけて。
 写真奥のガードレールの脇は鉾取川です。

 (左手の主道へ。直進してもOK)

 すぐに(20mくらい)分岐に出くわします。直進すれば平原第一公園を経由して登山口へ(ガイドブックにはこのコースが紹介されていることが多いようです。)。主道に比べやや道幅が狭くなっています。今日は主道に沿って斜め左前方に進みます。正面の電柱に「←瀬野」という標識があるのでそちらの方へ。

 (T字路を右折)

 100mほどで丁字路に突き当たります。ここは右折。正面のガードレールの向こうは大藤川(三面護岸されていて用水路のようですが)で、ここからはこの川を左手に見ながら上がっていきます。

 (瀬野方面との分岐点を直進)

 丁字路から20mくらいの、ここがポイント。瀬野方面との分岐点です。目印は民家の石垣に取り付けられている団地の戸別詳細地図(写真左)。大きな看板なのでよく目立ちます。
 大藤川をまたぐ小さな橋のたもとに「←瀬野」の標識があって、ここまでの主道と同じくらいの幅の道が左手に延びていますが、ここは山の方に向かって直進します。常に川を左に見て歩けば間違いありません。

 (平原第一公園からの道と合流)

 9時00分、平原第一公園方面からの道が右から合流する地点に到着。この横道は幅が広くないのでT字路という感じはあまりしませんでした。ここは川に沿って直進。ここから主道の幅も少し狭くなります。

 (大きな民家が目の前に)

 先ほどの合流点から20mほど進むと、道は大藤川を斜めに横切ります。目の前には大きな民家の石垣が。庭木もよく手入れされていて立派です。ここからは一本道。石垣を左に回り込むようにして上がっていきます。

 (住宅地の最上部)

 この辺りが住宅地の最上部になります。周囲は雛壇状で畑や宅地(更地)になっています。ガイドブックにはこの辺りに調整池や小さな神社があると記されていますが、ぐるっと見渡す限りでは目につきませんでした。
 道はクランク状に上っていき、写真正面のこんもりとした森の左縁を回り込んでいきます。舗装道路をたどっていけば間違いありません。

 振り返ると中野東から東海田あたりまでの町並みがよく見えます。正面の山塊は蓮華寺山。左手奥の山は日浦山です。こちら側は日陰ですが、対面は明るい。もう中野東駅の方まで朝日が差しているようです。

 (森の縁を回り込む)

 デイパックを背負い直して再び登り始めます。道路は一応舗装してありますが、苔むした感じです。

 (登山口)

 9時15分、登山口に到着しました。急に藪になって道も山道に変わるので、ここで間違いないでしょう。木の枝にも登山口との「カマボコ板」が掛かっていました。
 さあ、ここからが本番です。

 (水場との分岐)

 9時20分、登山口から5分ほどで分岐点に出くわしました。右へ行くと水場があるそうです。ここは左手に延びる道へ進みます。
 右手に水の音を聞きながら木立の中を登っていきます。左手は雑木林、右手はスギ、ヒノキの植林地。足下にはコナラやタカノツメなどに混じってホオノキのおおきな葉がたくさん落ちていました。

 (ここも水場との分岐)

 しばらくして正面に「水飲み場」の標識が出てきました。矢印は右を指しています。ここは反対に左手の急な坂を上ります。

 (広い谷に出た)

 9時30分、広く明るい谷筋に出ました。この谷の左斜面をジグザグに登っていきます。道には雪が残っていて、雪のないところも霜が降りていてカチカチに凍っています。振り返ると正面の蓮華寺山のもう一段奥に呉娑々宇山の山並みが見えました。朝日を受けて明るく輝いています。

 (目指す鞍部)

 9時50分、広い谷が終わってまた樹林帯の中に入っていきました。目指す鞍部まではあと少しです。2分後、傍らにせせらぎが現れました。ガイドブックには最後の水場として紹介されているところです。手を浸けてみましたが、思ったよりも冷たくありませんでした。

 (植林地の中を行く)

 道はスギとヒノキの植林地に入り、その斜面をジグザグに登っていきます。鞍部が近いせいか山肌の上の方には日光が差し込んでいました。

 (鞍部)

 10時00分、鞍部に到着しました。とりあえず小休止です。
 先に到着していた別のグループの中に観察会でときどきお会いする方がおられてビックリ。そのグループはここを左折して坂山に向かうのだとか。我々は右折です。
 ここの標高は約410m。山頂まではまだ標高差300mもあります。

 (尾根道へ)

 10時10分、再スタート。鞍部から進行方向を向くとすぐに左に別れる道らしきものがあります。でも倒木などでブロックしてあって迷い込まないようにしてありました。ここは直進して尾根筋の道をたどります。

 (尾根道へ)

 鞍部からの登りはじめは緩やかなヒノキの林の中です。50mほど行くと傾斜が急になってきました。植林地を抜けると足下にはコシアブラの落ち葉やアカマツの枯れ葉が多くなってきました。
 鞍部から鉾取山山頂までは、緩やかな坂と急な坂とを4回ほど繰り返します。

 (雪道)

 足下に雪が多くなってきました。
 辺りはウリハダカエデ、ホオノキ、トチノキ、コナラ、ウラジロなどの雑木林に変わっています。
 周りの景色に反して体は汗ばむほど暑い。息も荒くなってきました。

 本日の実(1)
 ムラサキシキブ

 頭上がだんだん明るくなってきました。山頂が近いようです。

 (鉾取山北回り
  コースとの分岐)

 10時50分、山頂周辺を巡る遊歩道「鉾取山北回りコース」の分岐点に到着しました。しっかりした案内板が設置されています。この遊歩道は頂上直下の山腹をたどりながら、一つ向こうの676mピークとの鞍部あたりに出る道です。ここは「鉾取山山頂」の標識にしたがって上に向かって進みます。足下はおそらく丸太の階段なんでしょうが、雪に埋まってよく分かりません。

 (鉾取山山頂)

 10時55分、鉾取山の山頂に到着。積雪は15pほどあります。ここでしばし休憩です。
 大きな解説板がありますが、何が書いてあるかまったく見えません。あとベンチが一つ。もちろん座れません。

 鉾取山山頂から
   北方向を望む

 木立越しに北から西にかけての展望があります。正面手前に呉娑々宇山の山塊、北奥には備前坊山や可部冠山、西奥には東郷山や天上山の白い尾根の連なりが望めます。ここが今日の最高地点なのですが、木立に遮られて今ひとつパノラマを楽しむことができませんでした。

 (再びスタート)

 十分に休んだところで、11時10分、再スタート。
 山頂からいきなり道が二手に分かれていますが、これはどちらに行っても100mほど先で合流します。今日は右手(北側)の道を進みました。

 (鉾取小屋)

 20m先に東屋がありました。まだ新しい建物で、「鉾取小屋」と看板が掛かっています。6面全部にシャッターが下りていて、使用時に開けて使うようになっていました。もちろんまた全部閉めてから出発です。

 (676mピークへの下り)

 676mピークへの道は幅の広い遊歩道の階段となっています。両側には木の柵があり、遊歩道沿いの樹木はほとんどが植栽。鉾取山山頂部から原山手前までは公園化していました。正面に676mピークが見えます。

 (鞍部からの上り)

 11時25分、676mピークとの鞍部までやって来ました。ここでは斜めに遊歩道が横切っていて、左手前の道は「鉾取山南回りコース」、右前方に行く道は「憩いの広場北回りコース」となっています。我々は尾根筋の道を直進です。

 (676mピーク)

 11時35分、ようやく676mピークに到着しました。ここで昼食の休憩です。
 誰も足を踏み入れていない白い雪の広場。おなかは空いていますがとりあえず景色を楽しみましょう。

 西の方角に海田湾が見えます。やや霞んでいますがその先の広島湾に浮かぶ島々、そして広島の市街地まで一望にできます。左手にこれから向かうことになる591mピークと洞所山が居並んでいます。

 (みはらし小屋)

 鉾取山からここまでの道程はは思ったよりきつくはありませんでした。でもここから先まだまだ距離があります。しっかり昼食をとって十分に休んでから出発です。ここにも「みはらし小屋」という東屋があるので、シャッターを全開にして使わせてもらうことにしました。(でも風が吹くと寒かったので半分ほど閉めましたが。)
 果実酒担当のTさんが持参したナツハゼ酒を分けてもらって元気も回復です。
 
 【その2】へ続く