鉾取山、原山、洞所山 〜山上の回廊(その2)〜


 

【広島市安芸区、広島県海田町 平成17年12月25日(日)】
 
 鉾取連山縦走のvol.2です。

 予定外に長く休んでしまいました。12時30分、みはらし小屋のシャッターを閉めて、次の原山に向けてスタートです。

 (憩いの森南回り
  コースの合流点)

 下りはじめは階段の遊歩道ですが、やがて道がなだらかになると右手から「憩いの広場南回りコース」が合流してきます。左はヒノキの植林地、右は雑木林。ここは直進し、道なりに緩い坂道を下っていきます。

 (車道との合流点)

 12時45分、車道に合流しました。正面には原山の電波塔が見えます。ガイドブックには「未舗装の林道と合流」とありましたが、現在は立派に舗装されていて道幅も広く、駐車場として利用できるようになっていました。
 案内板を見ると、どうやらここに車を停めて鉾取山まで公園をハイキングできるようになっているようです。原山には電波塔があるので保守用の道路は必要としても、ここまで延伸して、さらにその先にこの遊歩道を巡らせてあります。道の脇の樹木を伐採して柵を作りそこにまたわざわざ樹木を植えて。その樹木もこの地に自生する種ではなく街場の公園にあるようなものをです。いったいどういうつもりなのか…。かと思えばここまで公園化しておきながらトイレが一つもありません。往復して散策するとファミリーだと少なくとも3時間くらいはかかるのに。これじゃあ利用者は多くはないと思います。のちのちメンテが必要となる施設は造りたくないということかもしれません。
 スミマセン、話が横路に逸れました。

 (天狗防山への林道との分岐点)

 車道と合流した地点から30メートルほど行くと、右方向に下る分岐があります。これは天狗防山への林道で、未舗装のうえ枯れ草が茂っていました。入口には鎖が掛けてあります。そちらには進まず、ここは舗装道路を直進です。

 (原山山頂への近道との分岐点)

 さらに70mほど行くと、車道から右にそれて原山に直に登る山道があります。そちらが山頂への近道になりますが、しんどいのを避けてそのまま車道を行くことにしました。こちらはなだらかな上りです。

 (車道との合流点)

 1時00分、電波塔の保守用道路に突き当たりました。この道は阿戸町(中野東地区から鉾取連山を挟んで反対側にある地区)から上がってくる舗装道路です。このT字路を右折してさらに坂を登っていきます。他のサイトにはここに車止めの鎖があると記載されているものもありましたが、現在はありませんでした。

 本日の実(2)
 ヤマコウバシ

 T字路を右折すると道はぐぐっと右にカーブし、ちょうどUターンするような形になります。

 (原山山頂近し)

 すぐに正面に電波塔が見えてきます。左右はスギやヒノキの植林地。この辺りは夏場でも涼しいかもしれません。

 道路はまっすぐ赤い電波塔へ。そして突き当たると左に曲がってUターンしグレーの電波塔のもとに上っていきます。ここが原山山頂。時計を見ると1時10分でした。休むことなく次の591mピークへ、そしてその先の洞所山へと向かいます。

 (洞所山方面へ)

 車道はグレーの電波塔のふもとで終わっています。他のサイトには「洞所山方面へは車道突き当たりの手前に右手に下りる山道あり」と記されていましたが、車道終点(突き当たり)から小さな階段を数段上りその先を右折する小道もあり、この二つの道は約30m先で合流していました。右に下りていく道には倒木もあり、どちらかといえば後者の方が歩きやすかったです。

 本日の実(3)
 ツルウメモドキ

 梢の上から融けた雪がポタポタと落ちてきます。辺りはソヨゴ、ヒサカキ、アセビ、リョウブ、アカマツなどの明るい林。道はなだらかに下っていきます。

 (原山を下る)

 原山から下る道は公園化されていなくて、本来の登山道の姿をしています。標高差にして約150mを下る長い下り坂。足下が滑りそうです。
 しばらく下り続けると鞍部を思わせる少し長い平坦な道になります。が、そこを過ぎるとさらに道が下り、その先が本当の鞍部です。

 (天狗防山への分岐点)

 鞍部から10mあまり登ったところに右手に向かう分岐があります。天狗防山へ向かう道です。分岐点に立つ樹木に標識が打ち付けてありました。天狗防山への道の入口は倒木でやや荒れ気味。
 1時35分、ここは直進します。
 分岐からはいきなりきつい上り。でも足下に雪が少なくなったので歩きやすくはあります。振り返ると木立の向こうに先ほどまでいた原山の電波塔が見えました。
 頭上には少し雲が出てきたようです。

 (591mピーク)

 1時55分、591ピークに到着しました。上りきってすぐに右手に向かう道がありますが、これは天狗防山へと続く道。左手に山頂広場(?)があり、次の洞所山への道はその先にあります。
 山頂広場といってもその広さは8畳間ほど。中央に「陸軍省」と書かれた石の標識があるのみで展望はまったくありません。

 (洞所山へ向かう急坂)

 591ピークにも別れを告げ、洞所山への道を進みはじめてすぐに大きな反射板がありました。原山は瀬野川方面から見て奥まった位置にあるため、あの大きな電波塔も限られた場所からしか見ることができませんが、591mピークは瀬野川方面に突き出した形になっているので、この反射板は東海田あたりからよく見えます。
 反射板の敷地のフェンス沿いに下っていきます。転げ落ちるような急な下りで、体を横に向けながら下りていきました。

 本日の実(4)
 ヤブコウジ

 急な坂を下った後、いったん小さく登ってまた下りはじめます。足下に目立つのはマツの落ち葉。アカマツの林です。
 しばらく緩やかな下りが続くとまた急な下りにかかります。この辺りはコシアブラの林です。

 (洞所山を登る)

 2時10分、洞所山との鞍部に到着しました。ここからはアカマツ林の急な上り。591mピークからは50m下って100m登ることになります。また足下に雪が出てきました。本日最後の上り。疲れもあるのでゆっくりと一歩一歩登っていきます。
 林はすぐにヒノキの植林地に変わりました。ちょっとだけ傾斜が緩いところに出ると、そこからは雑木林。タカノツメの落ち葉が目立ちます。

 (洞所山山頂)

 2時25分、いよいよ本日5つ目のピーク、洞所山山頂に到着しました。ここで小休止。展望がまったくきかないことが少し残念です。頂上はアカマツ、コナラ、ソヨゴ、ヒサカキ、コシアブラ、アセビなどの林。広さは木立の部分も含めても教室一部屋分くらいでしょうか。上空は青空ですが、ちぎれた雲が早いスピードで流れています。
 アカマツの幹に海田西中学校の生徒の登頂記念のプレートが掛かっていました。今年の10月15日とあります。この中学校は海田湾近くにありますが、地図を見る限りではおそらく学校から洞所山の山頂部は見える位置にあると思われます。日頃からこの山を目にしているのであれば登山にここを選んだのも分かるような気がします。

 (新峠へ)

 2時35分、新峠へ向けて出発しました。新峠は次の566mピークとの鞍部にあたります。山々の連なりはその先の古峠、城山、赤穂峠、金ヶ燈篭山へと続いていきますが、今日は新峠からふもとに下りていくことにしています。
 新峠への下りも急降下といった感じでした。

 本日の実(5)
 ツルリンドウ

 下りきってちょっと登り返したところから左手に有刺鉄線が出てきました。「入山禁止、営林署」と古い看板が掛かっていました。そこからは緩やかな下りです。

 (最後の展望台)

 2時50分、新峠手前の見晴らしのいい場所に出ました。ここが最後のビューポイント。しばらく展望を楽しみたいと思います。

 眼下に海田総合公園が見えます。これから新峠を経由してこの公園に下りていくのです。向こうには海田の街並みと海田湾。ベイブリッジもはっきりと見えます。その先には広島湾に浮かぶ島々。右手の山(日浦山)の奥には広島の市街地が冬の陽に輝いています。
 3時00分、いよいよゴールに向けて出発です。
 相変わらず左手には有刺鉄線。コシダを足でかき分けながら下りていきます。

 (新峠)

 3時05分、急坂から転がり出るようにして新峠に到着。十字路になっていますが、ここを右折して下山していきます。
 新峠から蟻ヶ原登山口(海田総合公園)までの下りは唐谷川の谷に沿ってジグザグに下っていく道。ごろごろした石が多くて結構歩きにくい道です。周囲には、シロダモ、ホソバタブ、ヤブツバキ、ダンコウバイなど。ツツジの類も多くなりました。この道を下りていくと砂防堰堤が2基現れるはずです。

 本日の実(6)
 サネカズラ

 登山道を歩いていると、道を示すビニールテープが木の幹に巻かれていたり枝からぶら下げられていたりしているのをよく見ます。これは登山者が次の人が道に迷わないように付けてくれているもので、これに助けられることもままあります。そんな登山者の善意のシンボル、ビニールテープなのですが、登山道脇のヤブツバキの幹に縛りつけられてくい込んでいるのを見てちょっと考えてしまいました。ずいぶん前に巻かれたものでしょう、色も褪せていますが、幹の成長に逆らって今でもしっかり巻き付いていました。幹にくい込んで痛ましいということもありますが、それだけでなく、時間が経過して劣化したビニールテープは山のゴミになってしまうのです。
 空前(?)のアウトドアブームの昨今、それ用のテープが開発されてもよいのでは。5年くらい雨風にさらされると朽ちて分解されるようなテープが。その方が樹木にも優しいと思うのですが。

 (最初の砂防堰堤)

 3時25分、最初の砂防堰堤まで下りてきました。2万5千分の1の地形図では堰堤の左縁を下りていくようになっていますが、実際の道は堰堤の右縁を通っていました。

 (新峠を振り返る)

 2つ目の堰堤を過ぎて振り返ると谷の奥に新峠が見えました。新峠の標高は約450m。でもここからだと見上げるような壁の上にあります。

 本日の実(7)
 トキリマメ

 冬の午後、日差しはすぐに傾いてしまいます。12月に入って雪の日が多かったのですが、野山を染める夕焼けが明日の晴天を約束してくれているかのようです。

 (蟻ヶ原登山口)

 3時40分、ついに蟻ヶ原登山口に到着しました。左脇にお堂があるところまでが土の道で、ここから先は海田総合公園の舗装道路になります。

 (海田総合公園管理棟)

 海田総合公園の管理棟で小休止。スパッツをはずして一息入れます。
 4時00、海田総合公園を出発。30分くらい待つと巡回バスが来るようですが、まだまだ元気なので車道をふもとに向かって歩くことにしました。ここの標高は約180m。長い下りの舗装道路です。

 (洞所山(左)と新峠)

 どこかの学校の野球部でしょうか、左手の野球場から練習の声が聞こえてきます。海田総合公園はスポーツ公園でもあるのです。洞所山を振り返るとまったく雪の「ゆ」の字もありません。山頂は雪だらけだったのに。

 (2号線へ向かう
  正面に日浦山)

 この辺りは昔の里山の雰囲気を残しています。山あいの開けた里に田畑と民家が散らばっていて、ところどころに真新しい住宅も見受けられます。でも犬を散歩させる人の他には人通りはありませんでした。
 4時30分、2号線と平行して走るバイパスの高架下に出てきました。この道は海田町から東広島市八本松町までを結ぶ東広島バイパスの一部。ちょうどこの交差点付近まで開通していて、ここから先は工事中です。

 (2号線「石原橋南」交差点)

 4時40分、2号線に出ました。M女史はここからバスで広島方面に向かいました。その他は正面にある赤い石原橋を渡って瀬野川の右岸を下り、JR海田市(かいたいち)駅を目指します。
 5時05分、ようやく海田市駅に到着しました。海田総合公園からの1時間。舗装道路の長い下りで左膝を痛めてしまいました(もともと古傷があったのですが)。
 


 予想どおりにかなり手強かった鉾取連山。以前から持っていたチャレンジしたいとの想いをようやく遂げることができました。つき合ってくれた仲間のみなさんありがとうございました。
 
 今年も暮れていきます。健康と、よき仲間と、理解のある家族に感謝しつつ、今年の野山歩きを納めたいと思います。よーし、来年も今年以上に遊ぶぞ。(毎年言っています。でもってそのとおり実行しています。)