赤城自然園 〜天国での花巡り(後編)〜


 

 (後編)

【群馬県 渋川市 令和元年7月27日(土)】
 
 赤城山麓にある地上の天国での花巡り。後編です。(前編はこちら


 オミナエシ

 オミナエシはキキョウと同じく秋の七草に数えられる花。野に咲いている姿は素朴で癒されるのですが、切花にすると醤油が腐ったような悪臭がするそうです(嗅いだことありませんが。)。その臭いは「敗醤」と呼ばれ、そこからオミナエシの根からできる生薬のことや、ひいてはオミナエシ自体のことを「敗醤」呼ぶようになったそうです。

 マルバダケブキ

 再び森のエリアへ。マルバダケブキは胸の高さにまで成長する大型のキク科の植物。本来は深山に咲く花です。yamanekoはなぜかこの花に惹かれるのですが、それはおそらく初めて出会ったときのシチュエーションが印象的だったからだと思います。静かな森の中でした。

 シラネアオイ

 これはシラネアオイの実です。不思議な形をしていますね。ここにはシラネアオイがたくさん植栽されていて、5月上旬には一面薄紫色の花畑になります。

 オオハクウンラン

 これは和製ランの一種で、オオハクウンランというそうです。この園の常連さんという人に教えてもらいました。高さは10cmほどで、教えてもらわなければまず見逃していたと思います。ランというだけあって、花はエビネに似ていますね。

 シモツケソウ

 夏の花シモツケソウ。線香花火をピンク色にしたような姿です。これは草本ですが、別に木本のシモツケという植物があり、やはりピンク色をした花を付けます。色はシモツケソウより濃く、花序もギュッと詰まった感じに咲きます。

 モミジガサ

 モミジガサの群落。まだ蕾の状態です。濃緑の葉をバックに白い蕾が鮮やかに浮き立っています。

 トチバニンジン

 一幅の絵画のような構図に収まりました。トチバニンジンの実です。確かに葉がトチノキのそれに似ていると言えないこともないですね(二重否定)。

 リョウブ

 リョウブも夏の花ですね。だいたいは見上げるような位置で観察することになります。
 昔は救荒植物として、ご飯に混ぜてかさを増やしたにだそうです。いったいリョウブのどの部分を用いたのかというと、若芽だそうです。確かにリョウブの若芽はみずみずしく美味しそうです。その若芽を茹でたあと刻んでご飯に混ぜたのだそうです。

 レンゲショウマ

 ここにもレンゲショウマが。花冠をひっくり返せば確かに蓮華(ハスの花)に似ていないこともありません。むしろ仏様が座る蓮台の方に似ているかも。

 ルイヨウボタン

 おっ、この特徴的な葉はルイヨウボタンですね。清楚でyamanekoの好きな花です。ふーむ、こんな実を付けるのか。そういえば見たことありませんでした。



 モッサリ感のある愛嬌のあるキノコです。傘の裏は襞ではなくスポンジ状になっています。何でしょうか?

 ナナフシ橋

 橋(といっても下は川ではない。)を渡って自然生態園に向かいます。まだ梅雨明けしていないこともあり、空気もたっぷりと水分を含んでいるようです。

 カライトソウ

 カライトソウ。漢字で「唐糸草」と書きますが、日本の固有種だそうです。白山を中心とした中部地方日本海側に生育するとのことなので、ここのものは当然に植栽ということになりますね。

 ???

 うーんと、この葉は? ジンバイソウの葉に似ているような気もしますが、何だろうか。既に若い実ができていますね。

 ツバメオモト

 根生葉から伸びる長い茎の先に瑠璃色の実が付いています。これはツバメオモト。花は純白です。ただ花の時期の茎はこんなに長くありません。

 ヤマシャクヤク

 ヤマシャクヤクの種子です。角のような形の果実が熟して裂け、この姿になっています。あの富貴な姿の花がこんな姿になるとは。

 ヤマユリ

 大型のユリ、ヤマユリですね。随分と色味がくっきりとしています。もっと淡い感じのものが多いような気がしますが。

 ノリウツギ

 ノリウツギは見てのとおりアジサイの仲間です。ノリは「糊」のことで、和紙を漉く際に糊として用いたとのこと。樹皮を剥いだ内側の皮を水に晒して粘液成分を抽出するのだそうです。

 カワラナデシコ

 ここにも秋の七草が。カワラナデシコです。繊細な花ですね。秋の七草はあとはフジバカマ、クズ、ハギ、ススキですね。

 ヒヨドリバナ

 個人的には七草に入れてあげてもいいと思っているヒヨドリバナ(八草になりますが。)。初秋の野山を代表する花で、七草入りしても違和感ないと思うのですが。この株はまだ咲き始めですね。

 昆虫館

 自然生態園の最奧部にある昆虫館までやってきました。
 すると急に雨が降ってきました。結構強めです。台風の影響でしょう。ここで折り返すことにします。



 セゾンガーデンまで戻ってきたところで雨が上がりました。どうやら通り雨だったみたいです。頭上には夏空が戻ってきています。

 ハンゲショウ

 「散策の小径」という園路をその名のとおり散策。池沿いにハンゲショウが咲いていました。白い葉が光を跳ね返して眩しいくらいです。

 ミソハギ

 畔りにはミソハギも。盆花とも呼ばれ夏の花ですが、花期は随分長いです。梅雨時期から秋の彼岸の頃まであるんじゃないでしょうか。



 1時30分、総合案内所まで戻ってきました。
 にわか雨のおかげで靴が泥だらけです。でもちゃんと靴洗い場が設けてあって、助かりました。さすがのホスピタリティです。



 ゲートを出ると駐車場から一面湯気が立ち上っていました。降った雨がどんどん蒸発していっています。夏の天気は激しいですね。
 さて、昼食がまだなので、ここから前橋辺りに移動して、昼食をとってから帰ろうと思います。群馬の名物って何があったっけ?(ネギ?、こんにゃく?) 。