小山田緑地 〜里山の春はもうすぐそこに〜
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【東京都 町田市 平静23年3月26日(土)】
あっというまに3月も下旬ですが、なんか今年はいつまでも寒さが続いています。例年こんなだっけ?
もうじき桜の季節なのに今日も風が強く冷たいです。そして花粉の飛散も最高潮! なのにやっぱり外にでかけてしまうのは、決して家庭の居心地が悪いからではなく、まあ一種の生活習慣のようなものですね。
小山田緑地 |
今日は、多摩丘陵の西部、町田市にある都立の小山田緑地に行ってみることにしました。
中央道を稲城ICで下りて多摩川を渡ると多摩丘陵に入ります。多摩ニュータウンの(「多摩」が多いな。)南側の丘陵を回ってしばらく行くと、長閑な田園風景の広がる中に緑地の駐車場がありました。渋滞がなかったので都心から1時間ちょっとで着きました。
THE 里山 |
駐車場の後ろにはこれぞ里山といった感じの林が。まだ芽吹き前で林床の隅々にまで光が届いています。
小山田の池 |
散策路沿いに谷地の中に入っていきます。おそらく昔は田んぼだったと思われるところは、干上がった池のようになっていました。冬場だから水が少ないのかもしれません。(園内マップはこちら。東京都公園協会HP)
ヤマガラ |
モミジの梢を行ったり来たりしているのはヤマガラです。レンズを向けようとしますが、なかなかじっとしていてはくれません。
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まだ茶色の多いこの時期に生き生きとした緑。これは…。
フッキソウ |
この緑の葉はフッキソウですね。しかも花が咲いています。花弁がない花なのでちょっと異様ですが、これでも満開の状態です。
フッキソウは漢字で書くと「富貴草」。「草」とありますがこれでも立派な木本で、ツゲの仲間だそうです。
コハコベ |
視線を低くしてよく見ると小さな花があちこちに。春が近いです。
コハコベは有史以前に渡来した花。どうりで里山の原風景としてすっかりお馴染の花です。春の七草の「繁縷(はこべ)」とはこのコハコベのことだそうです。
オオイヌノフグリ |
春の野草の定番、オオイヌノフグリ。わずか1pにも満たない小さな花です。これがもうちょっと大きかったらあちこちで盗掘されるのでは。よく見るとそれほどかわいい花です。
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しばらく行くと谷地のどん詰まりまでやってきました。ここから尾根に登ります。右手には竹林が。向こうが見通せるほどきれいに整備されていました。とかくその急速な拡大が問題視されている竹林ですが、根切りをしたり間伐したりして手入れをすると、里山を守り恵みを施してくれる、地域の重要な財産になるということです。ただ、そのためには大きな手間がかかり、担い手の不足という問題があるのですが。ここは都立公園だから手当ができているんでしょうね。
クヌギ |
尾根に出てから左手(南)に向かって行くと、広い芝生の丘に出ました。その向こうには南に向かって別の谷地が伸びていて、その低地は運動公園になっていました。
冬芽 |
丘の上のモニュメントツリーようなクヌギ。その枝先にはほころびそうな冬芽がありました。ここは日当たりがいいから、あとちょっとで若葉が展開しはじめるでしょう。
クマシデ |
南の「みはらし広場」に向かって歩いて行きます。見上げるとクマシデの花序が伸びはじめていました。蓑虫のようなものが雄花序。枝の先端にあるのが雌花序です。
梢越しの青空は、おもわず両手を突き上げ「うーん」と伸びをしたくなるような清々しさです。
みはらし広場から |
運動公園をはさんだ反対側の尾根の上にある広場が「みはらし広場」。ここからは南西に広がる住宅地と、その向こうに丹沢山地の山々を望むことができました。
丹沢山地 |
こうやってみると丹沢山地がすぐ近くに見えるようですが、住宅地の丘の向こうには相模川が作った河岸段丘の低地があり、その向こうの山(仏果山)の裏側には宮ヶ瀬ダムがあります。蛭ヶ岳までの直線距離は約30qです。
キブシ |
広場の桜はまだ寒々としていましたが、キブシは満開でした。これはこれで見事です。花序が風に吹かれてゆらゆらと…、と思いきや、花がギュッと密に付いているのと花序の軸がしっかり固いのとで、風に吹かれても枝ごと揺れるだけで、縄のれんのような揺れ方はしないのです。
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みはらし広場を後にして運動公園の方に下っていきます。(上の写真はみはらし広場を振り返ったところ。)
シジュウカラ |
運動公園はちょうどメンテナンスで工事車両が入っていたので素通りして、最初に入った谷地の方に下っていくことにしました。
シジュウカラは枝に止まっているよりも地面で餌を探している時間の方が長いようです。何を突っついているのでしょうか。
明るい道 |
尾根から下っていく道はこんなに明るいです。これが来月くらいになると葉が茂りはじめて、グッと暗くなるでしょうね。
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右手が上池、左手が溜池で、道はその間の小橋を渡ってはじめに歩いた道に合流します。
下池 |
それにしても人影が少ないですね。ここまで数組の家族とすれ違っただけです。
ミツバツチグリ |
もとの谷地の入口まで戻ってきました。ゆっくり歩いて2時間ほどでした。
多摩丘陵に位置するここ小山田緑地はまだ全体的に茶色の色合いが多く、目に見えるほどの春はやって来てはいませんでした。でも、こうやっているときにも着々と本格的な春への準備が進んでいます。早春の日差しが降り注ぎはじめるのこの時期、これが木々に葉が展開しはじめる前だからこそ、草花が芽吹くために必要な熱を地面に届けることができるのです。これからあっという間に林全体が木々の葉で覆い尽くされますが、それでも林床の植物が成長していけるのは、この時期の熱の蓄積があるからこそでしょう。なかなか上手くできた仕組みです。
さて、今日は早春の陽光とともに大量の花粉を浴びたはず。野山の花だけでなく、「鼻づまり」でも春を感じることができることを感謝することにします。
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