大町自然観察園 〜下総台地の四季・11月〜
【千葉県 市川市 平成22年11月13日(土)】
11月、落ち葉の季節です。朝夕の気温もめっきり下がってきて、街にはそれなりに晩秋の雰囲気が漂ってきました。歩道の上には役目を終えた落ち葉たちがカサカサと…。ときどき得も言われないかぐわしい香りがしてくると、そこはイチョウ並木だったりします。
自然観察園へ |
さあ、今月も長田谷津の自然を見てみましょう。
自然観察園への小径にも落ち葉が敷き詰められて、その上を歩いていきます。人影も少なく、驚くほどに静かです。
丘の上へ |
まずはいつもの丘の上へ。おっ、何か鮮やかな色が。
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植えました感満点のモミジ。この丘の上にはモミジがたくさん植えられていて、もう少で見頃を迎えるみたいです。
マンリョウ |
林縁にぽつんと生えていたマンリョウ。鳥が種を運んできたものかもしれません。マンリョウの葉は革質で、縁が雲形定規のようになっているのが特徴ですね。
お立ち台 |
水生植物園の大きな池。その畔にはこんな止まり木がしつらえてあって、ときどきカワセミが休憩にやってきます。まるで日向ぼっこしているみたいにじっとしていて、ひょっとして見られていることを楽しんでいるのでは、と思うほどです。
ムラサキシキブ |
ムラサキシキブの葉も黄葉しはじめていました。いい色合いです。ムラサキシキブの実は派手ですが、鳥がこの実を食べに来ているところを見たことがありません。小粒だからでしょうか。それとも単に不味いのか。
定点写真 |
定点写真です。アシ原は茶色に変わり、両サイドの樹木がすこし色づいてきました。今日は基本晴れなんですが、空気に湿気が多いのか遠くに白いベールのような薄い雲が広がっています。
エビヅル |
まるで照り焼きにでもしたようなエビヅルの葉。ちょっと美味そうです。果実はブドウの房のように実って食べられるのですが、ここでは見あたりませんでした。
カラスウリ |
カラスウリの朱色は遠くからでもよく目立ちます。
コブシ |
コブシの冬芽がもう準備を終えていました。このふさふさで寒い冬を乗り切ります。
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観賞植物園の入口にこんな見事な紅葉がありました。日射しに一枚一枚の葉が輝いています。
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緑一色だった森も色づいてきました。「和」を感じながらの散策です。
シロダモ |
シロダモの赤い実。この時期、花も咲いていて、この赤い実は去年咲いた花のものです。
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ガマの穂もここまで崩れるとなんか無惨ですね。
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水辺に立つのはハンノキ。谷地の奥まったところには、こんな小さな水たまりがあちこちにあります。
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サクラの葉も色づきはじめています。モミジなどと違って斑に紅葉していくところがいいですね。
北口へ |
谷地の最奥部は自然観察園の北口となっていて、この階段の上には道路が通っています。高低差は5mくらいでしょうか。先月はここからスタートしました。
アオジ |
視界の端を細かく動くものがあったので、気配を殺して辺りを窺うと、木立の足元に黄緑色の小さな鳥が。おお、アオジです。雌ですね。もともとこの辺りで繁殖しているものなのか、それとも寒いところから越冬のためにやってきたものなのか。ここは鳥たちにとってやさしい場所だから、一冬ゆっくりと過ごせばいいですね。
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落ち葉を浮かべる遊水池。畔の紅葉もいい感じです。
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遊水池からはこんな小川が流れ出しています。 と、今「小川」と書いてすごく懐かしい気持ちになりました。都会ではことごとく暗渠となって、小川を小川の状態で目にすることはほとんどなくなりました。ましてやそこで遊ぶなんて経験のある子どもは…。
オニグルミ |
オニグルミの冬芽です。筆の穂先のようでもあり、ソフトクリームのようでもあり。見ようによっては密教の曼荼羅に描かれている火炎のようでもあります。
ハリギリ |
こういった名もない紅葉(=紅葉の名所とかの立派なものではない裏山的な紅葉)も好きです。しっとりと落ち着いた気持ちになれるのです。ああ、日本に生まれてきて良かった。 と、若干大げさではありますが、今月も楽しい散策をすることができました。
さて下総台地の四季巡りも残すところあと1回。早いものです。若干名残惜しい感もありますが、締めくくりの来月を楽しみにしたいと思います。