皇鈴山 〜路傍の花々に癒やされる(前編)〜
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(前編) |
【埼玉県 東秩父村・皆野町 令和5年4月9日(日)】
4月に入り、東京の桜もあらかた散ってしまいました。今年は桜以外にも総じて開花や葉の展開が早いようです。
そんな中、関東平野の辺縁部まで足を運べばまだようやく芽吹きが始まったばかりの野山を楽しむことができます。ということで今回は秩父盆地の手前にある皇鈴山(みすずやま)(679m)に行ってみることにしました。ちょうど1年前に訪れた大霧山と同じ稜線上に位置する山です。
午前7時30分、ドリーム号Vで出発。コンビニでおやつと昼食を調達してから圏央道に向かいます。晴天の休日でありながら、高速道路の車の量は少なめで、スイスイと走れました。
嵐山小川ICで一般道に下りてからは、小川町の中心部を迂回する形で東秩父村を目指し、そのまま秩父高原牧場のある稜線まで上がってきました。ガイドブックなどでは麓から登山を開始するルートが紹介されていますが、yamaneko夫妻は楽をさせてもらいました。
駐車場 |
9時45分、彩の国ふれあい牧場(広大な秩父高原牧場の中で観光用に解放されているエリア)の駐車場に到着しました。ここではちょうど桜が満開で、落葉広葉樹の木々も芽吹き始めた頃合いのようです。
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Kashmir3D |
今日のルートは、彩の国ふれあい牧場の駐車場をスタートし、稜線上を走る車道沿いに北上。二本木峠からは山道に入り、愛宕山を経由して皇鈴山を目指します。復路は来た道を戻ります。駐車場と皇鈴山の標高差は100mほどなので、ほぼ水平移動と言ってよいでしょう。
ヤマザクラ |
ヤマザクラを見上げながらのラジオ体操。爽やかです(花粉はバンバン飛んでいますが)。
アケボノスミレ |
10時5分、スタート。いきなり道路脇の法面でたくさんの花々が出迎えてくれました。これはアケボノスミレ。花弁が厚く、色も鮮やかで、日本のスミレの中で特に美しいとの評価を得ています(yamaneko調べ)。
カタクリ |
今日は陽射しが眩しいくらいなので、カタクリも早い時間から開花しているようです。早春の花の代表格ですね。
イカリソウ |
和船の碇のような花冠をもつイカリソウ。花弁は4個あり、筒状に突き出たその途中で真後ろに折り返され、その先端が長く突き出る「距」と呼ばれる部分になっています。ちなみに、スミレの花冠の後ろに伸びている部分も距です。
ヒトリシズカ |
開花間もないヒトリシズカ。まだ葉に守られているような状態です。この花に花弁はなく、白い糸のようなものは雄しべになります。
センボンヤリ |
春のセンボンヤリは高さ5cmから15cmくらい。タンポポのような花を付けますが、秋の姿はまた別のもののよう。花茎は50cmくらいまで伸び、先端に閉鎖花(開花せずに自家受粉する)を付けます。その姿がこの花の名の由来。
リョウブ |
リョウブの若葉は陽を透かして自らが発光しているかのよう。出会うとウキウキします。
しばらく車道を歩きます。行き交う車は希でした。それにしても春の山は明るいです。
イタヤカエデ or エンコウカエデ |
カエデの仲間の花。多くは花序がぶら下がるタイプですが、このように立ち上がるタイプもあります。おそらくこれはイタヤカエデかエンコウカエデだと思います。
ハハコグサ |
ハハコグサをまじまじと見たのは久しぶりです。これでもキクの仲間。春の七草の「御形」はこのハハコグサのことです。
ホオジロ |
梢の先でホオジロが囀っていました。本州以南ではほぼ留鳥とのことですが、市街地では見かけることはなく、山で出会う鳥です。なかなかの音量で歌い上げていました。
南の方角の眺望が開けていることろがありました。写真右の三角形の山は1年前に登った大霧山。左手には笠山と堂平山が見えています。こちらは12年前に登りました。
ツルタチツボスミレ? |
うーむ、これは。ツルタチツボスミレのように見えますが、はたしてこの標高に生えているものなのか。
エイザンスミレ |
いつもスミレには悩まされるのですが、このエイザンスミレは葉の形に特徴があるので、見間違うことはありません。「エイザン」とは叡山、つまり比叡山のことです。比叡山に咲いているスミレというネーミングですが、実際には本州、四国、九州に広く分布しているそうです。
クサイチゴ |
クサイチゴ。丈が低く草のように見えるからの名前ですが、花冠は直径5cmほどとなかなか立派です。 別名をワセイチゴ。実ができる時期が早いからだそうです。
モミジイチゴ |
こちらもイチゴの仲間のモミジイチゴ。下向きに咲くので、下に回り込んで見上げて撮った写真です。実はジューシーで、子どもの頃野遊びの途中でよく食べていました。田舎は島根県なので、西日本に分布するナガバモミジイチゴだったかもしれません。
ムラサキケマン |
花にもいろんな形があるものです。ムラサキケマンはこの形にすることで生き延びてこれたということでしょうね。花粉を運ぶのはいったい誰なのか。アリ?
クサイチゴ |
クサイチゴの群落。樹木だけど「花畑」みたいです。
アカネスミレ |
これはアカネスミレですね。漢字で書くと「茜菫」。今日4種目のスミレです。
ときどきこんな開けた場所があります。牧場ですから。
クサボケ |
クサボケです。クサ(草)といいつつ樹木ですが。さっきのクサイチゴと同じですね。
11時20分、大きなアンテナ施設が現れました。このスタイルのアンテナ、いろんなところで見かけますね。
シロバナナガバノスミレサイシン |
シロバナナガバノスミレサイシン。長い名前ですが、漢字で書くと「白花長葉菫細辛」。葉がウスバサイシンという植物の葉に似ているスミレがスミレサイシンで、その仲間で葉が長い種がナガバノスミレサイシン。そしてその白花バージョンがシロバナナガバノスミレサイシン、という訳です。
アズマイチゲ |
おお、アズマイチゲが咲いていました。早春の花です。低山とはいえやっぱりここは山の上なんですね。
11時30分、二本木峠に到着しました。
アケボノスミレ |
ここにもアケボノスミレが。この道沿い、多くのスミレで彩られています。
ミツバツツジ |
二本木峠の周辺はもともとツツジの自生地だったそうで、後に公園的にこの辺りを整備した際にこのミツバツツジも多く植栽されたとのことです。見事に咲き誇っていました。
ヤマツツジ |
元々自生していたのはこのヤマツツジの方。今でもたくさん生えています。朱色のツツジもいいですね。
ヤマザクラ |
さあ、これからようやく山道になります。若干のアップダウンもあるでしょう。皇鈴山の山頂からの眺望も楽しみです。(後編に続く)
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