北本自然観察公園 〜荒川中流の秋・10月〜
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【埼玉県 北本市 平成23年10月16日(日)】
過ごしやすい季節になりました。暑くもなく寒くもなく。花は少なくなりますが、自然の実りを感じることができる季節です。北本自然観察公園に訪れるのも今年10回目。ここは休日にはいつも観察会をやっているので、毎回退屈せずに自然を楽しむことができています。でも、それだけではもったいないので、いつも開会1時間前に来て、自主観察会です。
ヌルデ |
まずは、いつものとおり自然学習センターに行って観察会の申し込みをしてから、園内へ。
センター前の植え込みにあるヌルデが色づき始めています。
ミズヒキ |
その脇にミズヒキを見つけました。もう実になっていますね。ヒゲのように出ている白いのは花の後に残った花柱です。これが動物の体に引っかかって遠くに運ばれるという仕組みです。
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高尾の池の北側にある散策路を歩いて行きます。
オジロアシナガゾウムシ |
葉っぱの上にゾウムシがいました(後で調べてみるとオジロアシナガゾウムシと判明。)。身の危険を感じるとポロッと地面に落ちて死んだふりをするそうです。じっとしていると鳥の糞にそっくりです。
アメリカネナシカズラ |
明るく開けたところにはモジャモジャのツル植物が。これはアメリカネナシカズラです。かなり広い範囲を覆っていました。葉緑素がないので黄色っぽい色をしています。「根無し」とはいえ元からないわけではなく、他の植物に寄生してそこから栄養が摂れるようになるとなくなるのだそうです。
ミゾソバ |
湿ったところに群落を作り、ソバのように白い花を一面に咲かせることから名が付いたものと思われます。「蓼食う虫も好き好き」というあのタデ科の植物です。タデのイメージに反して可愛い花ですね。
イヌタデ |
こちらはその名もイヌタデ。タデにはピリッとした辛みがあって、昔から香辛料や薬味として用いられてきました。焼鮎に添えるタデ酢などが有名ですね。イヌタデにはこの肝心の辛みがないことから、「役に立たない」=「イヌ」という植物界特有の命名公式が当てはめられて名前が付いたということです。でも、実際にはイヌはかなり人様の役に立っていると思うんですがね。
カナムグラ |
カナムグラの雌花序です。カナムグラを漢字で書くと「鉄葎」。「葎」は広い範囲に生い茂って草むらを作る草の類のことをいい、「鉄」は強靱に絡みあって簡単には引きちぎれないという意味で付けられたもの。確かにかなりタフな植物です。従来はクワ科に属していましたが、現在ではクワ科から独立したアサ科に属しているそうです。
定点写真(高尾の池) |
ぐるっと回って高尾の池の南側にやってきました。いつもの定点写真ポイントです。先月まで水面を覆っていた赤いアカマクミドリムシが全くいなくなっています。秋が深まり、水温が下がってきたからでしょう。空の青さも秋を感じさせますね。
コウヤボウキ |
雑木林の縁を歩いて行きます。
秋といえばキク。このコウヤボウキもキクの仲間です。野生のキクにはキク本来の清楚さがありますね。
ツチグリ |
これは植物ではなくキノコ。ちょっと湿り気のある土の斜面などで見かけます。食用には不向きのようで、国内ではほとんど食べられていないそうです。
八つ橋 |
八つ橋に下りて自然学習センターの方に戻りましょう。
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公園の入口方面の眺め。奥の木立のところに市道が通っていて、その向こうに駐車場があります。手前は池に繁るアシです。ずいぶん黄色っぽくなりました。
キヅタ |
キヅタの花が咲いていました。秋から冬にかけて咲き、果実は翌年の春に熟します。
セイタカアワダチソウ |
里の秋といえばこの花。セイタカアワダチソウです。盛りはこれからのようです。
定点写真(北側の谷地) |
こちらの池も赤い部分が消えています。アシ原も若干緑色が褪せてきたように思えます。そして右端の背の高い木が紅葉し始めていますね。
観察会開始 |
さて2時になりました。観察会の始まりです。今日のテーマは「ひっつき虫」。身近にあるひっつき虫(服などに付いてくる果実や種子)を探してみようというものです。ちなみにこのテのもののことを、北海道では「バカ」、東北では「ドロボウ」、関東では「バクダン」と呼ぶところがあるそうです。日本中でいろんな呼び名があるでしょうね。
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まずは自然学習センターの玄関前周辺で探してみます。タオル地のハンカチを使って、草原を撫でてくっついてきたものを観察するという方法です。
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みんながハンカチを広げて紹介し合いました。
くっつく仕組みにはいくつか種類があって、鈎爪型、逆さトゲ型、クリップ型、粘着型などがあるそうです。どれどれ、yamanekoが採集したものを見てみましょう。
イノコヅチ | ヌスビトハギ |
ひっつき虫といえばこれ、イノコヅチです。野原を歩くとズボンの膝から下にかなりの高確率でくっついています。くっつく仕組みとしてはクリップ型。(写真の方眼の一片は5oです。)
ヌスビトハギは鈎爪型。よーく見ると表面にJ型の鈎が密生しています。果実の付き方を盗人の忍び足の様子に見立てて名前が付いたということです。
キンミズヒキ | チヂミザサ |
これも鈎爪型のキンミズヒキ。くっつく力が結構強く、トレッキングシューズの紐に鈴なりに付いていたりすると、取るときのめんどくささにげんなりしてしまいます。
チヂミザサは粘着型。不揃いに伸びている芒(のぎ)の部分から粘液を出してくっつきます。これは取るのにかなりやっかいです。
ハンカチにくっついていたのはここまで。次に野原に移動して見つけたものを。
チカラシバ | オオバコ |
チカラシバは軸の部分に下向きにトゲが生えている逆さトゲ型。チカラシバは根の張りが強く、引っ張ってもびくともしませんが、この小花の部分はブチブチと取れてしまいます。
オオバコもひっつき虫だということを知っていましたか。今度オオバコを見つけたら果実を取って見てください。
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この果実はカプセルのようになっていて、爪で押すと簡単に割れます。そしてその中には粘液に覆われた種子が詰まっているという仕組み。果実が踏まれたりすることで中から種子が露出し、これがくっつくのです。登山靴が種子を運ぶとはこういうことなんですね。
こんな観察をしてあっという間に1時間が経過。ここで観察会は終了です。
ツルマメ |
その後もう一度公園内を歩いてみました。
大豆の原種といわれているツルマメが実を付けていました。割ってみると3つ部屋があるうちの2つには膨らんだ実が入っていましたが、残りの1つは空っぽ。でもよく見ると膨らまなかったマメの小さいのが残っていました。
センダングサ |
これもひっつき虫の代表格、センダングサです。まだ種子が成熟していないのでくっつきませんが、これが乾燥してばらけてくると、かなり強力なひっつき虫になります。逆さトゲ型で、ズボンの生地を突き抜けて痛かったりします。
クサギ |
本来はもっと鮮やかな色合いのクサギですが、秋も深まりなかなか渋い色になってきました。いい感じです。
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少し陽が傾いてきました。秋の夕暮れです。そろそろ家路につくことにしますか。
この定点観察もあと2回。これから冬に向かってどんな観察ができるか楽しみです。
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