北本自然観察公園 〜荒川中流の秋・9月〜
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【埼玉県 北本市 平成23年9月18日(日)】
暑い暑いと言っていた夏も少しずつ色あせてきて、「おっ、薄ら寒いわィ」と感じる朝が増えてきました。「暑さ寒さも彼岸まで」。その季節の移り変わりを感じるのがちょうどこの時期です。
さて、月に一度の北本自然観察公園。今月はどんな感じでしょうか。
公園入口 |
入口のサクラの木の「鬱蒼度」が下がって秋の空が透けて見えています。
定点写真(北側の谷地) |
先月にもまして全体的に黄色っぽくなってきていますね。手前のクズやアシにも若干疲労感が漂っています。池の縁に先月までは見られなかったアカマクミドリムシが。高尾の池では2箇月前から全面を覆うように大発生していましたが、それよりもかなり小さいこちらの池でこの程度の発生とは。それも今頃になって。ちょっと不思議です。
白いシマヘビ |
定例観察会の申し込みのために自然学習センターへ。白いシマヘビは今月も元気そうです。
クスノキ |
受付を済ませ、開始時刻まで自主観察会です。
玄関前の庭にあるクスノキ。照葉樹だけあってまだ強い日射しを負けじと照り返しています。
八ツ橋付近 |
夏の空から秋の空へ。ずいぶん高く感じます。
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小さな薄ピンクのキノコ。名前不明。
テンニンソウ |
山の中で出会うことの多いテンニンソウが、こんな河原に近いところにあるとは。「天人」の名を持つ、大柄なシソの仲間の植物です。
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アシ原の縁にツリフネソウの大群落がありました。晩夏から初秋にかけてよく見かける光景です。
ワタラセツリフネソウ |
が、よくあるツリフネソウの群落とは違うのは、この花が6年前(2005年)に新種として発表された「ワタラセツリフネソウ」であるという点です。ツリフネソウとは形態の違いがいくつかあり、遺伝子構造の違いも明らかになったことから、新種として認められたそうです。アマゾンの奥地で新たに発見されたというような新種ではなく、いままで違いが見過ごされてきたもののようですが、関東平野のど真ん中で新種が見つかるということは、なかなか凄いことなのだそうです。基準産地はその名が示すとおり渡瀬遊水池です。
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最もわかりやすい違いは花冠の左右にある小花弁。先端が黒く萎縮しているところだそうです。
現在、この花が確認されているのは、利根川流域と荒川流域の一部。いずれもこの場所と同じような湿地のアシ原だそうです。
秋の気配 |
夏の疲れをゆっくりと癒してくれるような風景。こういう小径を歩いていると、体にも心にもONとOFFとの切り替えが必要だということをしみじみと感じます。
定点写真(高尾の池) |
毎月同じ場所から記録している高尾の池。先月まで全面を覆っていたアカマクミドリムシが少し減って、本来の水面が見えてきています。水温が低くなってきたんでしょうね。
ゴイサギ(幼鳥) |
水面に張り出した枝に止まっているのはゴイサギの幼鳥。今はまだ休憩中で、夕方くらいになると餌を探し始めます。
アカボシゴマダラ |
2時になりました。定例観察会の始まりです。今日のテーマは「アカボシゴマダラ」。中国から人為的に持ち込まれたと考えられていて、今日はそのアカボシゴマダラを捕まえようということです。
フィールドに出かける前に、まずはアカボシゴマダラがどんなものかを学習です。館内の標本展示棚の引き出しを引いてみると、園内で捕獲されたアカボシゴマダラがびっしり。見てのとおり後翅(下側の翅)の縁に鮮やかな赤い斑紋があります。
もともと日本では奄美諸島の一部に生息しているそうですが、10数年前から神奈川県や埼玉県で見られるようになり、爆発的な増加の兆候が現れているのだそうです。捕獲して調べてみると奄美のものとは違い、中国内陸産のものに由来すると考えられているそうです。北本自然観察公園では3年前頃から見られ始め、去年急激に増えたとのこと。近縁の在来種であるゴマダラチョウと食草(エノキ)が競合することから、生態系維持のためアカボシゴマダラを見つけ次第捕獲しているのだそうです。
ゴマダラチョウ |
こちらは在来種のゴマダラチョウ。赤い斑紋はなく、地味な姿です。
いざ行かん |
さあ、参加者それぞれが捕虫網を持って、フィールドに出発です。
エノキ |
ちなみにこれがエノキの葉。光沢があって、左右非対称なやや扁平な形をしているのが特徴です。
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網を振り回すこと30分。指導員の方を含め、何頭かの蝶を捕獲しましたが、いずれも本日のターゲットとは異なったものでした。ヒカゲチョウ、ヒメウラナミジャノメ、コミスジ、ヤマトシジミ、キチョウなどです。お目当てのアカボシゴマダラといえば、矢吹丈がダッキングやスウェーで巧みにパンチをかわすように、こっちが「よっしゃ!」と思っても、ひらひらと網をかわしていっこうに捕まってはくれませんでした。きっと相手からは網がスローモーションで見えているに違いありません。
??? |
それよりも、何か面白そうなものが。木を這うヤマノイモのツルに美味そうなチョリソーがくっついているではありませんか。
キイロスズメ(終齢幼虫) |
手に取ってみると、長さは10センチくらい。ずっしりとした重みがあり、少しだけひんやりとした感触です。これはキイロスズメという大型の蛾の幼虫。今は警戒しているのか、頭部が筒の中に収まっているような格好になっています。ちなみに成虫はステルス戦闘機のような攻撃的な姿をしています。
ミズキ |
陽が少し傾いてきました。その日射しを正面から受けて、ミズキの実が色づき始めています。春、しっとりと柔らかかった若葉も、もうじきその役目を終えようとしています。
駐車場 |
午後3時、観察会を終え、駐車場に戻ってきました。ここも地形的には荒川の河川敷から内陸部に伸びる谷地だったと思われますが、北の谷地よりも高い面になることから、それほどの湿地にはならなかったのでは。今では駐車場になっていますが、周囲には谷地の周縁部に当たる森が残っていますね。
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