北本自然観察公園 〜荒川中流の春・4月〜
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【埼玉県 北本市 平成23年4月17日(日)】
暖かい春がやって来ました。しかも一気に春本番がやって来た感じです。通勤途上にあるソメイヨシノがあらかた散ったかと思うと、もう若葉のトンネルに変わっています。花粉症も若干和らいできて、yamanekoの大好きな季節になってきました。
さて、今日は4月の定点観察の日。いつものように埼玉県は北本市にある北本自然観察公園へ向かいます。
先月は電車で行きましたが、今日はドリーム号です(たまには動かしてやらないと。)。首都高5号線から新大宮バイパスを経由して約1時間で到着です。
公園入口 |
駐車場にドリーム号を停めて公園入口に向かうと桜のゲートが迎えてくれました。埼玉のソメイヨシノは盛りをちょっと過ぎたあたり。まだまだ十分にきれいです。
定点写真(北側の谷地) |
定点写真を撮っている北側の谷地。ふれあい橋の上からの風景です。先月はブラウン一色だったのですが、この一月でずいぶん緑色になりました。柔らかい黄緑色です。手前の池まで。
コナラ |
枝先からでろーんと垂れ下がっているのはコナラの雄花です。これが盛りの姿で、決して枯れているわけではありません。
アケビ |
アケビの雄花。花弁のように見えるのは萼ですね。この花に花弁はありません。もう少し成熟するとボール状の部分(雄しべ)がパカッと割れて開きます。
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上の写真は自然学習センターの前から公園入口方面を振り返ったところ。長閑ですね。
この桜の木はまだ半分くらいは花が残っています。個々の花の花弁は限りなく白色なのに全体としてみるとピンク色。これはきっと萼の部分の濃い紅色がそう見せているのでしょうね。花弁が散って木全体が右の写真の状態になった姿を「しべ桜」ともいいます。これはこれでなかなか風情がありますよ。
ホトケノザ |
観察会が始まるまでに時間があるので、園内を散策してみることに。八つ橋方面から一夜堤、桜堤の方をぐるっと回って来たいと思います。
ホトケノザも春の陽光に輝いています。シソ科の花は唇形花が基本。筒状で先が上下に二裂していてちょっと唇のような造形をしています。
カラスノエンドウ |
カラスノエンドウもいい色合いです。マメ科の花は蝶形花が基本。そう言われて見るとチョウの形に見えないこともないか。
ヤマブキ |
先月とはうって変わって花があふれていますね。ヤマブキは濃いめのレモンイエローです。
八つ橋 |
八つ橋までやってきました。手前の池をヨシの若葉が覆っています。先月は広く水面が見えていたのですが。
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対岸の散策路を歩きます。ここももうじき緑のトンネルになるんでしょうね。
定点写真(高尾の池) |
色をまといはじめた高尾の池。この時期、芽吹いたばかりの木々は様々な緑色をしています。
ミズキ |
若々しくしなやかそうなミズキの葉。なんか自ら発光しているかのようです。ずっと眺めていても見飽きませんなぁ。
マルバタチツボスミレ? |
花や葉の形は山陰型タチツボスミレに似ているのですが、分布域が…。あとは交雑種のマルバタチツボスミレか。
ホトトギス |
まだらの水玉模様の葉はホトトギスです。去年の花茎が枯れた状態で残っていますね。その先端が右の写真。果実の鞘がドライフラワー状態で残っていました。
ムラサキケマン |
ムラサキケマン。上品な姿をしていますが、有毒です。
桜堤 |
荒川の土手までやって来ました。遅まきながらの花見を楽しんでいる人々もいます。土手に桜並木が多いのは、桜を植えて人を集めて土手を踏み固めてもらうことを狙ったものだとか。隅田川沿いの桜並木もまさにそのようにして作られたのだそうです。(ブラタモリ情報)
オオジシバリ |
根をよく広げて地面を縛るから「ジシバリ」。田の畦などでよく見かける花です。葉はスプーンのような形で、これでもキク科か?と思います。花は案外華奢な感じで可憐です。
ゲンゲ |
さてセルフ観察会はこのへんにして、そろそろ自然学習センターに戻りましょう。
定例観察会 |
2時になりました。定例観察会の始まりです。今回は参加者がかなり多くて、ざっと30人くらいはいます。陽気がいいですからね。
今日のテーマは「食べられる野草」です。ます、フィールドに出る前に危険な生き物についての注意喚起がありました。昨日、マムシを見かけたそうです。もう日向ぼっこに出てくるシーズンです。あと、スズメバチ。こちらももう飛び回っているそうです。いずれもこちらから危害を加えようとしない限りは大丈夫、出会っても決して騒がないこと、とのレクチャーがありました。
ビオトープ見本園 |
一行は自然学習センターの裏手にあるビオトープ見本園に向かいました。ここの水路のほとりにいろいろあるのです。
スギナ |
最初に紹介されたのはスギナ。ご存じツクシの本体(?)ですね。ツクシは胞子を飛ばす「胞子茎」。この緑色のものは栄養を作る「栄養茎」で、両方ともスギナです。写真でも分かるとおり、ツクシと同じように茎の途中に「はかま」がありますよね。茎を引っ張るとこの部分からすっぽり抜けて、また差し込むと何事もなかったかのように元どおりに見えるという遊びを教えてもらいました。yamanekoは子供の頃ままごとの材料にして遊んでいた記憶があります。
ツクシは佃煮にして食べたりしますが、この本体部分も食べられるのだとか。さっそくちぎって口に入れてみました。まあ、腹をこわさないという尺度では食べれられると言っていいのかもしれませんが、美味いものじゃないですね。
セリ |
セリは食材としてはメジャーです。春の七草の一つですし。水辺に生える植物です。同じような場所にドクゼリも生えるので注意が必要です。
ハルジオン |
ハルジオン。これは食用ではありませんが、可愛かったので。
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再び玄関前に戻ってきました。今度はサクラの木周辺で探します。
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サクラはいろいろ使い途があるようです。葉を桜餅の材料にとか。葉を揉んでみるといい香りがしました。この香りの正体はクマリンという化合物で、サクラの中でもオオシマザクラの葉に多く含まれているそうです。なので桜餅の葉はもともとオオシマザクラの葉なのだとか(今は別の葉に香り付けしているかもしれません。)。
ナズナ |
ナズナは花が可食部です。これももさもさしていて美味しくありませんでした。見てのとおりですね。あと、ハコベとかカラスノエンドウの花も試食してみましたが同様でした。
スイバ |
スイバは子供の頃、茎の部分をしゃぶっていました。その名のとおりちょっと酸っぱくて、つばが出てきます。何十年かぶりに若葉をちぎって噛んでみると当時と同じ味がしました。
ノビル |
ノビルは先月よりもしっかり伸びていました。地上に出ている部分は少し固くなりはじめていたので、地下の球根を掘ってかじってみました。想像どおりの風味で、美味しかったです。
北側の丘 |
次に先月にも観察した北側の丘に行ってみました。風景の色が明らかに変わっています。
カントウタンポポ |
在来のタンポポの雄、カントウタンポポです。タンポポの見分け方の代表的なものとして、総苞片をチェックするというものが有名ですが、ここがくるっと反り返っていれば外来のセイヨウタンポポ、頭花に沿って密着していれば在来のカントウタンポポかカンサイタンポポかトウカイタンポポで、「カンサイ」はお椀状のところがスリム、「トウカイ」は外側の総苞片が長いという特徴があります。
シロバナタンポポ |
こちらは見てのとおりのシロバナタンポポ。九州に多いとのことなので関東、関西、東海に次いで「キュウシュウタンポポ」と呼んでも良かったかも。よく見ると総苞片の先端が釣り針のように「返し」があるみたいです。
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タンポポを観察したところでスタッフの方がなにやら飲み物を振る舞ってくれました。これはタンポポの根で煎れた「タンポポコーヒー」だそうです。
タンポポコーヒー |
うーん…、渋いような苦いようなちょっと酸っぱいような。でも悪くはありません。大人の味ですね。
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3時近くになってきました。そろそろ観察会も終了です。今日は「食べられる野草」というテーマで、あれこれ口にしてみましたが、「美味いか不味いか」と「食べて害があるかないか」とで可食の範囲は違うものですね。育ってきた時代背景の違いでも可食のラインは違ってくるでしょうし。薬効という観点から見るとまたぐっと範囲は広がるかもしれません。
飽食のこの時代、あえて野草を口にする必要もありませんが、見て楽しむだけの植物に違う側面があることを知るのも楽しいものです。それと今日は普段口にしている食品がいかに味が濃いかということも再確認しました。
振り返ると芽吹きが始まった野原。初夏を迎える前のわずかな期間にのみ見ることのできる緑のグラデーションの季節です。柔らかな春の日差しでより一層しなやかにみずみずしく感じられますね。来月はきっと緑も力強く濃くなっているでしょう。
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