灰ヶ峰 〜雲の番人が陣取る山〜
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【広島県呉市 平成15年11月30日(日)】
高度経済成長期に造船で栄えたここ呉市は、長引く不況に「重厚長大」型の産業が疲弊しきってしまい、街中から活気が消えて久しくなります。グルメ屋台やレトロバスの運行などの小手先(失礼)の振興策ではなかなか元気が出てきそうにはありません。
呉の背後にそびえる灰ヶ峰(737m)から寒々とした街並みを見下ろしていると、ついついそんなネガティブなことを考えてしまいます。いけませんね。
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中央の休山(やすみやま)を挟んで、西側(右)が呉市街、東側(左)が阿賀、広地区です。
海の向こうには四国松山の街並みが午後の光を反射して輝いて見えています。こんな近くに見えるのか。
灰ヶ峰の山頂には戦前は軍の機銃砲台があったのだそうですが、今は大きなサッカーボール…、いや気象レーダーがあります。
ここのレーダーは、広島地方気象台のもので、マイクロ波と呼ばれる電波を使って、半径数百kmに及ぶ広範囲内の雨や雪をごく短時間で観測している施設。アンテナから発射され雨粒などに反射して再び戻ってきた電波の強さから空中の雨や雪の量やその強さを、電波が往復する時間から雨や雪までの距離を測っているのだそうです。
気象レーダーは、北は釧路の昆布森から南は石垣島の於茂登岳まで、全国20カ所に設置され、日本全土をカバーしているそうです。
10年前、函館の横津岳山頂にあるレーダーサイトへ行ったことがあります。9月上旬でしたが、冷たい風雨が吹きすさぶ山頂は下界とは隔絶した孤独な世界でした。当時は1週間交替で泊まり込みで職員が詰めているとのことでした。見るからに厳しい勤務のようでしたが、その後の観測機器の進歩により今は遠隔操作ができ、無人化しています。ここ灰ヶ峰も同様です。
ハゼノキ |
紅葉の名所では赤色の代表選手はモミジですが、ご近所の山ではハゼノキが主役です。この木の果実からロウを採るため、古くから栽培されてきたそうです。それが逃げ出して野生化したものもあるでしょう。きっと。
シロダモ |
シロダモの赤い果実も目を引きます。
アカメガシワ |
この時期、山々が茶色になっているので、明るい黄緑に色づいたアカメガシワの葉にさえもしばし見入ってしまいます。
低山の紅葉ならぬ「茶葉」 |
遅く起きた休日には、こんな近場の山でブラブラするのもいいでしょう。
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