戸河内 〜山里にも春の便り〜


  

【広島県戸河内町 平成16年3月20日(土)】
 
 あっという間に3月も下旬。このところのバタバタで季節の移り変わりを見過ごしてしまいそうです。
 それでも、朝ウグイスがさえずり、垣根にはユキヤナギが揺れ、クスノキは葉の交替にむけて紅葉を始めています。
 今日は春分。暦の上では仲春のど真ん中です。
 
 午前中、広島市内では雨が降っていました。でも、携帯で「雨雲レーダー」を見てみると午後には晴れ間が出てきそうです。(携帯サイトの天気情報で、雨雲が近づくとメールで教えてくれたりします。これがけっこう便利です。)
 ということで、今日は西中国山地の懐にある戸河内町にアズマイチゲを見に行くことにしました。この時期、天気が良くて陽射しがあれば白い花弁(正しくは萼片)を開いてくれているはずです。昼過ぎまでは陽が当たらない場所なので、現地には2時半頃着くのがベストでしょう。
 
 途中、湯来町にバイカオウレンを見に立ち寄りました。

 バイカオウレン

 まだ蕾でした。去年は4月1日に見に行ってちょうどいいタイミングだったので、1週間あまり早かったようです。
 それにしても去年よりずいぶん少なくなっています。盗掘されたのでしょうか。

 バイカオウレン
 (昨年のもの)

 ついでに同じ湯来町に咲くキバナノアマナの様子を見に行きましたが、こっちはさらにまだまだ。根生葉は10cmほどで、花茎の姿はまったく見られませんでした。

 キバナノアマナ
 (昨年のもの)

 戸河内町に入る頃になると、予想どおり陽が差してきました。
 アズマイチゲが一面に咲き揺れるあの場所はどうなっているでしょうか。2年ぶりです。宅地化や道路の拡幅でもあれば、いとも簡単に消えてしまう群落なのです。


 アズマイチゲ

 おぉ、ありました。2年前と同じように咲いています。今日は午前中陽射しがなかったので半分以上は白い萼片を閉じていますが、それでも可憐に咲いた花がたくさん揺れています。茎葉がまるでピエロの襟のようです。

 桜が咲き始める前のこの時期、春の到来を告げる様々な花が咲きます。
 ユキワリイチゲやセリバオウレンもきっと咲いているでしょう。一年のうちでも最も好きな季節です。

 戸河内町

 また新しい季節が巡ってこようとしています。それは野山にだけでなく、人々の暮らしの中にも新たなスタートという形で巡ってきます。
 yamanekoはその新しい季節を気持ちも新たに迎えたい、と毎年思っています。せめて気持ちだけはバタバタのままにならないように。
 やろうとしてできなかったことやあえてやらなかったこと、新しくはじめたいこと、そろそろ幕を引きたいことなど、もろもろ整理をつけて。そして清々しい気持ちで咲き誇る桜の花を見上げたいと思っています。