口田河原 〜定点観察・厳冬〜
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【広島市安佐北区 平成16年1月24日(土)】
太田川の定点観察5回目。また新しい季節が巡ってきました。
寒の入り以降、暦どおりに厳しい寒さの日が続いています。口田河原の自然はどんなになっているでしょうか。
観察ポイントへ |
午前9時半。空気はまだピーンと張りつめています。ヒヨドリの声に迎えられて観察ポイントへ。今日のメンバーは9名でした。
ギシギシ |
足元にはあちこちにギシギシのロゼットが。
ロゼットの中心部には小さな葉に囲まれた芽があります。新しい葉や茎を作る元になる芽なのでこのようにして寒さから守っているのです。葉の付き方にも工夫があって重なり合わないように放射状に付いて、冬の弱い陽射しを少しでも多く浴びようとしているのです。
ロゼットとはもとともバラ(ローズ)の模様のこと。葉の様子がバラの花弁の付き方に似ているからこの名がついたのでしょう。
ヤエムグラ |
霜に縁取られたヤエムグラ。寒さに耐えてじっと春を待っています。こんな健気な姿を見ると、夏になって一面にはびこっていても無意味にむしったりできなくなりそうです。
カラスノエンドウ |
ここにも春を迎える準備をしている生き物がいました。カラスノエンドウです。
暖かくなったらランナーを伸ばして一気に成長するでしょう。
いつもの河原 |
夏場はうっそうとしていた場所ですが、オオオナモミやアレチハナガサなども地上部が枯れてしまって、見通しの利くこざっぱりとした場所になっています。
氷結 |
オ、オオッ! 川が凍っている!
といっても流れの部分ではなく、淀みの部分ですが。それにしても太田川が凍っているのは初めて見ました。
もっと近づいて見ましょう。
確かに凍っています。しかもマスクメロンのような模様ができています。いったいどうやってできたんだろう。
厚さもけっこうあって、何層にも重なっているようにも見えます。前日にできた氷が溶ける前に、その氷の下に入り込んだ水がまた凍る、といった過程を繰り返してできたのではないでしょうか。
観察会の人々 |
今日も大の大人が集まって「あーだこーだ」と楽しいひとときを過ごしています。ホント、好きでなければできないことです。きっとみんな小さな驚きや感動を見つけたくて、そしてその楽しさを共有したくて、こうやって毎回野山に足を運んでいるのだと思います。
でも、見ようによっては「不審者」ですよね。現に今日も「あの人達は何をしよるんですか。」と犬の散歩の人に尋ねられましたから。
ネコヤナギ |
水際ではイカルチドリがひなたぼっこをしています。その脇のネコヤナギの枝先には軟らかい毛を生やした花芽が付いていました。2月上旬になればカバーがとれて、中からふわふわの花序が出てくるはずです。
一足早く |
と思ったら、もう花序が顔を出している枝がありました。ちょっと気が早いのでは。
ネコヤナギのブッシュの中をジョウビタキが小刻みに移動しています。茶色、黒、グレー、白のコントラストが鮮やかな鳥です。頭上を波形の軌跡を残して飛んでいったのはセグロセキレイ。対岸のセンダンの木にはヒヨドリが群がっています。冬は鳥達と仲良くなれる季節です。
分身の術 |
今日みんなを一番興奮させたのはこのカワセミでした。水面からつきだした枯れ枝に留まって、そこから水面にダイビング。上手に小魚を捕まえていました。ときには上空3mくらいのところでホバリングして、そしてタイミングを計って一気に急降下。サービス精神旺盛なカワセミのようで、何度も何度も繰り返してくれました。
朝日を反射する瑠璃色の背中。本当に羽の生えた宝石です。
春まだ遠く |
次の定点観察は3月下旬。その頃にはこの場所でも生き物たちの命の息吹をたくさん感じることができるでしょう。今から楽しみです。
おっと、それまでに花粉症との戦いが待っているんだった。
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