口田河原 〜定点観察・初秋〜


 

  観察地点はこんなとこ

【広島市安佐北区 平成15年9月27日(土)】
 
 太田川の定点観察の3回目です。
 気温が上がらなかった8月、夏が遅れてやってきたような9月。2ヶ月ぶりの観察フィールドは例年とは少し違った表情を見せていました。
 礫が広がる水際の河原には、去年は丈の短い植物が茂っていましたが、今年はすっかりなくなっていて、ソフトボール大の石がむき出しになっていました。その石の多くは表面に乾いた泥が付着していて、この場所を何回か泥水が覆ったことを示していました。

 集合

 今日は、10月1日に行われる口田中学校の自然体験学習サポートの下見を兼ねています。

 河川敷

 この河川敷は毎年秋になると大型のロールベーラーがやってきて、あっという間に草を刈り、辺りに大きなバームクーヘンを転がしていきますが、今年はまだ刈り取っていません。
 上の写真のように、胸丈のチカラシバと膝丈のキンエノコロが、秋の光を浴びて元気に育っていました。

 河原

 河川敷から降りてすぐの場所には、高さ2mを超えるセイタカアワダチソウの「樹海」が広がっていました。あと1、2週間もすると一面黄色に染まるでしょう。
 鳥の姿は多くはありませんでした。頭上にはトビが数羽、対岸の水際にアオサギとコサギが1羽ずつ。あとクワの木の枝先でモズが鳴いている程度でした。

 アメリカセンダングサ

 アメリカセンダングサは花が終わったところ。あのやっかいな種も今はまだ軟らかい状態でした。

 ハッカ

 朝日が強烈なので色が飛んでいますが、ハッカの花は淡い紫色です。このハッカを蒸留して得た油から抽出するのがメントール。鎮痛や鎮痒の効果があるそうです。
 ほかにも、アレチハナガサやメハジキ、センニンソウ。ヒガンバナは紅白で咲いていました。

 水際

 水際に近づいてみると、思ったより川の流れが激しいのに気がつきました。中学生との自然体験学習では安全確保に十分な注意が必要となるようです。
 上の写真の場所には去年までは水際にも植物が茂ったところがあって、その根元が小魚などの格好の住処になっていたのですが、そんな場所もほとんど消えてなくなっていました。

 マメアサガオ

 マメアサガオは北アメリカ原産の帰化植物。初めて帰化が報告されたのは今から50年近く前、東京近郊でのことだったそうです。

 鮎の食み跡
 (ストライプ模様のところ)

 川の中には落ち鮎を釣る人影が。けっこう釣れているようです。
 そのうちの一人から伺った話によると、あと3日で今年の漁期は終了。10月からは禁漁となり、ちょうどこの辺りの瀬が鮎の産卵場になるのだそうです。この時間に釣れているのはほとんどオスで、メスは夕方になると集まってくるのだそうです。
 鮎漁はここ2、3年不漁とのこと。これは上流にできた温井ダムの湛水の時期と符合するのだそうです。また、ダムの定量放水も鮎の食料となる苔の育成にとっては好ましくないのだそうです。
 この釣り人は見たところ60歳代半ばの年輩の方で、とかく釣り人にありがちな手前勝手な論調の河川行政批判はなく、それどころか鮎の生態について、経験と科学に裏打ちされた興味深い話しを聞かせてもらうことができました。ただ、昔の豊かな川の様子からその後の川の変化に話が及ぶと、偏光グラスの奥の瞳にやや寂しげな光が宿ったようにも見えました。
 できるだけ長く、この川が鮎が育つような豊かな環境であってほしいと思います。