高取山 〜見通し良好な山で締めくくり〜


 

【神奈川県 愛川町 平成28年12月25日(日)】
 
 今日は12月25日。世の中的にはクリスマスです。yamanekoも昨晩ケーキを食べました。ところで、アメリカでは「メリークリスマス」と言わずに「ハッピーホリデー」と言うようになったと聞きましたが本当でしょうか。いろいろ気を遣いますね。
 さて、この年末、ずっと天気が良いので今年最後の野山歩きに出かけることにしました。場所は我が家から正面に見える山、高取山です。

 丹沢の山々の手前に目指す高取山はあります。ここからは見えませんが、丹沢山塊との間には宮ヶ瀬湖というダム湖があります。
 
                       
 
 高取山の登山口は北東側の麓の「愛川ふれあいの村」にあり、そこまではドリーム号で移動です。途中に人気のオギノパンがあるので、帰りに寄ることにしました。ほかほかの揚げパンが特に美味しいんですよね。


 Kashmir 3D

 今日のルートはふれあいの村と高取山との往復。歩き始めからの標高差は500mです。本当は高取山経由の仏果山の予定だったのですが、登り始めが遅くなったので高取山往復に変更。日が暮れるのも早いですからね。

 愛川ふれあいの村

 11時30分、登山口のある愛川ふれあいの村に到着。ここは神奈川県立の野外教育センターで、キャンプやスポーツ合宿などで利用される施設のようです。まずは敷地の最奥にある登山口までじわじわ登っていきます。



 野外活動広場は閑散として人っ子一人いませんでした。さすがにこの年末の時期に入っている団体はいないでしょうね。
 今日は午後から晴れ間が広がる予報。そのとおりに青空が見えてきました。

 登山口

 11時45分、登山口に到着。当然ここにも誰もいませんでした。



 登りはじめは針葉樹の森。登山道はジグザグに延びています。

 テイカカズラの種子

 テイカカズラの種子を拾いました。重さはほぼゼロ。ちょっと空気がそよいだだけで手のひらから逃げていってしまいます。この辺りはあまり日当たりは良くないですが、こんなところに着地して発芽に問題はないのでしょうか。確かにテイカカズラは薄暗い森でもよく見かけますが。



 汗をかきかきしばらく登っていくと、害獣よけのゲートが現れました。いや、ゲートの残骸といった方が正しいでしょう。害獣、出入りし放題です。



 ゲートにはこんな看板が。どこか昭和の香りがします。

 ミツバアケビ

 この時期、花は当然に望むべくもなく、例えば地味なミツバアケビの黄葉などでも立派な主役になり得ます。いやどうして、よく見れば趣のある色合いですね。



 登り始めて30分、ひょいと林道に出ました。ここはそのまま横切り、正面の階段の道に入ります。


 東の平

 林道からすぐで東の平という広場に至ります。ちょっとした休憩スペースですが、特段眺めが良いというわけでもなく、梢越しに下界が垣間見えるといった感じでした。



 その眺めはこんな感じです。方角としては東の方向になります。

 カンアオイ

 再び歩き始めます。これはカンアオイの仲間でしょう。葉の下に石ころに紛れてちゃんと花があります。まるで擬態。

 ミヤマシキミ

 ミヤマシキミの赤い実にハッとしました。暗い森の中でも鮮やかです。



 ずいぶん登ってきました。いつの間にか周りは雑木林に。林床とともに心まで明るくなりますね。



 北東方向、眼下には愛川町半原地区の街並みが。その奥の山は雨乞山や向山などで、その向こう側に一級河川、相模川が流れています。

 モミの木分岐

 モミの木分岐というところに出ました。ここで一旦稜線の向こう側に出ます。



 再び植林地の中へ。手入れの行き届いた林です。ちょっと幻想的?



 その植林地を抜けるともう山頂間近。気持ちのいい山歩きです。

 高取山山頂

 午後1時15分、高取山の山頂に到着しました。東側に向かってベンチが設置されています。ここでも相当眺めがいいですが…、

 展望台

 山頂には展望台があるので登ってみることに。これが結構高いんです。高所恐怖症気味なyamanekoにとっては限界ギリギリな感じでした。

 北東方向

 どーん。北東側の眺望。どうですか。正面の山(雨乞山、向山、小倉山など)の向こうには相模川の河岸段丘。その向こうには多摩丘陵。さらに奥には都心部の街並みが見渡せました。写真では判然としませんが、正面の地平に筑波山も見えていました。関東平野の端と端、その距離約100kmです。

 宮ヶ瀬ダム

 上の眺望写真の左手前には宮ヶ瀬ダム。2000年に完成した重力式コンクリートダムです。着工は1971年だそうなので、万博の翌年。ずいぶん昔ですね。

 橋本周辺

 眺望写真の中央部に橋本近辺の街並み。ちょうどこのページ冒頭の写真を撮った辺りになります。

 新宿副都心

 そして新宿副都心のビル群。ここからだど直線で45km離れています。数年前まであのビルの谷間に住んでいたのが、なんか不思議な感じがします。

 仏果山

 目を右(南)に転じると高取山から稜線続きの仏果山。高取山より50mほど高いです。予定ではあの山頂を踏んだ後、左に延びる稜線を下るはずだったのですが。仏果山の左奥に広がる街並みは神奈川県の綾瀬とか座間とか、その辺りになります。

 仏果山山頂

 山頂にはここと同じく展望台があります。どこが設置したものでしょうか。やはり県ですかね。グッジョブ!

 丹沢山塊

 さらに視線を右(西)に転じると、宮ヶ瀬湖を挟んで丹沢の武骨な山々が居並んでいました。丹沢山塊は都市近郊にありながら、その峰は累々と連なり、そこに刻まれた谷は深く、威風堂々としています。今でも頻繁に遭難者を出している油断のならない山塊でもあります。
 宮ヶ瀬湖の中程に橋が架けられていて、対岸に新しい住宅地が見えます。宮ヶ瀬湖の湖底に沈んだ集落に住んでいた方々の一部が移転した町だそうです。周辺にはリゾート施設も整備されていて、休日には観光客で賑わっています。

 甲斐駒ヶ岳

 上の写真右端を拡大してみると、むむ…。山々の重なりの最奥にピラミダルな影が見えるでしょうか。肉眼ではもっとはっきりと見えていましたが、これは南アルプスの甲斐駒ケ岳。ここから直線で95kmも離れていながら堂々とした存在感がありました。

 下山開始

 ひととおり眺望を楽しんだ後、ベンチで冷たいおにぎりを食して、下山開始。すっかり体が冷えてしまったので、動いて温まりたいです。

 

 下山途中で見かけたタマネギのような岩。確か大山でも見た覚えがあります。牡丹岩と呼ばれていました。

 マルバウツギ

 ぐんぐん下っていきます。薄暗い林の中に渋い色の黄葉。これはマルバウツギですね。花は可愛くてお気に入りのうちの一つです。

 下山完了

 3時15分、愛川ふれあいの村まで下りてきました。ここで下山完了です。眺めが良く、今年一年を締めくくるのにふさわしい山歩きでした。そして、帰りにはオギノパンで揚げパンをいただきました。(美味)
 
 平成28年が暮れていきます。今年は仕事が変わって休日出勤なども多くなり、なかなか思うように出かけられませんでしたが、それでも尾瀬にも2回行けたし、乗鞍岳リベンジ、那須岳リベンジも果たせました。 来年もまずは健康を保って、あちこち出かけたいと思います。