帝釈峡 〜季節は巡ってまた花は咲く〜


 

【広島県東城町 平成16年4月18日(日)】
 
 輝くような青空。澄んだ空気。
 本年度最初の定例観察会は、こんな清々しい天気のもとで行われました。場所は広島県北東部の名勝地「帝釈峡」です。

 帝釈川

 このあたりの地質の特徴は石灰岩。その昔、海の底で炭酸カルシウムの沈殿によって生成された岩石です。
 石灰岩地帯にはその景観もそこに生きる生物も独特なものがあるそうです。
 今日は帝釈川沿いをぶらぶらと歩きながら、木々が緑に覆われる前の自然の様子や植物たちを観察しようという企画です。

 ヤマエンゴサク  スズシロソウ

 集合は上帝釈の駐車場に、午前10時。
 マイクロバスの運行もあって、64人の大所帯となりました。

 アマナ  ツルカノコソウ

 この時期の帝釈峡には何度か来たことがありますが、その都度飽きることがありません。

 セントウソウ  ヒトリシズカ

 セントウソウの別名は「オウレンダマシ」 葉がセリバオウレンに似ることから名付けられましたが、実際yamanekoもオウレンの仲間と勘違いしてしまいました。

 昼食

 初夏になると木々には葉が生い茂り、遊歩道は薄暗くなります。
 冬が終わり、軟らかな日差しが林床に降り注ぐのはこの時期だけです。この僅かな間に芽吹き、花を咲かせ、木々が葉をつける頃に地上から姿を消す野草があります。「スプリング エフェメラル」(春の蜉蝣) その儚さからそう呼ばれるようになりました。しかし、枯れ絶えたわけではなく、次の芽吹きまでの長い時間をじっと地下で生き続けているのです。儚くもあり、また、逞しくもあります。

 カタクリ  フタバアオイ

 予報では午後から雨とのことでしたが、まったくその気配はありません。
 雨雲レーダーで見てみると、一片の雲も見あたりませんでした。

 カツラ

 丸い葉っぱが鈴生りに。カツラの木です。

 雄橋(おんばし)

 雄橋は世界三大天然橋の一つだそうです。(あと二つはアメリカとスイスにあるそうです。)
 はるか昔、帝釈川は今よりもっと西側(写真左方向)を流れていました。そのころ川底より低い位置に鍾乳洞ができ、やがて川の水はその中を流れるようになったといいます。もとの川は涸れた谷になりました。その後、鍾乳洞の天井が浸食と崩壊により今の雄橋の部分を残して消え去ったものと考えられています。
 でも誰も見た者はありません。ひょっとしたらダイダラボッチが造った橋なのかも。

 イチリンソウ  バイカイカリソウ

 イチリンソウは「一輪草」、バイカイカリソウは「梅花碇草」です。
 
 今日は雄橋を過ぎ、断魚渓を越えて養鱒場まで。折り返してくると駐車場到着はちょうど3時くらいです。
 今回も怪我人もなく終えることができました。あとは安全に帰宅するだけです。


 アップでどーぞ
 イブキスミレ

 閉会後、駐車場脇でイブキスミレを観察しました。この花は側花弁に毛があるのが特徴だそうです。
 ふつうの花は結実せず、閉鎖花のみが実を結ぶとか。大きなエネルギーを使って花を咲かせる意味は?