四季の森公園 〜戻り猛暑も楽しんで〜


 

【横浜市 緑区 令和3年8月20日(金)】
 
 ギラギラした夏空が戻ってきました。降ったら降ったで、照ったら照ったで何かとお天道様に文句をつけがちですが、夏休みに晴れてくれたので、ここは素直に感謝して野山歩きに出かけることにしました。場所は横浜市にある四季の森公園です。この残暑を楽しんで、この時期ならではの自然を見てみようと思います。
 
                       
 
 まずは国道16号を南下してそのまま保土ケ谷バイパスへ。下川井ICで中原街道に入って、5分ほどで到着しました。
 



 四季の森公園は横浜市緑区にある県立の公園です。周囲は多摩丘陵南部の緑豊かなエリアとなっていて、この公園はなだらかな丘とその丘を削り込んだ谷戸とで構成されています。yamanekoは丘の上にある南口から入っていきました。(マップは神奈川県のHPで
 入ってすぐは広々とした芝生のエリア。写真ではなんだかがらんとしていますが、多くの人は木陰に入ってしまっているのです。



 正面の丘に上がって、その先にある谷戸に下りて行きます。
 途中でこんな可愛いキノコを見つけました。「おしり探偵」みたいです。



 丘の上からの眺め。方向としては北側になります。遠くの街並みは青葉区辺りでしょうか。昔はあの街並みも緑の丘陵だったんでしょうね。

 クズ

 谷戸へと下る道の脇にクズの花を見つけました。秋の七草のうちの一つです。クズは古くから食用や薬用、繊維の原料としても活用されるなど、名に反して有用な植物だったようです(名は「屑」ではなく「葛」ですが。)。ただし、生命力が強いのも特徴で、一度はびこってしまうと駆除は難しいです。yamanekoもずいぶんと苦労した経験があります。

 ヤマボウシ

 これはヤマボウシの実ですね。マンゴーのような甘さがあり、野山の果実としては美味しい部類に入ります。公園樹や街路樹として見かけることもありますが、このように実が生っているのは見ない気がします。イチョウの並木などでは実が落ちて地面が汚れないようあらかじめ雄の木を選んで植えるといいますが、ヤマボウシの花は両生花。環境が影響しているのでしょうか。



 谷戸の底に下りてきました。溜め池がありますが、これはここより下手にあった耕作地への用水のために作られたものでしょう。一般に谷戸では左右の斜面からの湧水などにより水が豊富で、このような溜め池が作られていることが少なくありません。

 ミソハギ

 夏の花、ミソハギです。水辺を好む花です。



 こちらはミツバウツギの刮ハ。面白い形をしていますね。

 カワセミ

 溜め池の中程に木の枝が差し掛けてありました。これはカワセミ用の止まり木のようで、ちょうどこのときもお出ましになっていました。オスのようです。しばらく見ていると、おもむろに水面にダイブし、器用に小魚を捕っていました。わずかの間に2匹も。ハンターですね。

 カントウヨメナ

 カントウヨメナ。図鑑には主に西日本に分布するヨメナと近縁でやや小型とありますが、並べてみるのであればともかく、単体ではなかなか区別が難しいです。キク科のこのグループの判別にはいつも、葉や総苞片も写真に収めて帰宅後に図鑑を見ながら頭をひねることになります。

 ヨウシュヤマゴボウ

 ぱっと見、美味しそうともヤバそうとも見えるヨウシュヤマゴボウの実。なかなかの強毒らしく、食べた部位(特に根や種子が強いとのこと)や量によっては命の危険もあるのだとか。また、毒とは別に、果汁が衣服などに付くと洗濯しても落ちないなど、なかなかやっかいな植物です。北アメリカ原産で日本各地で帰化しているのだそうです。

 イヌムギ

 これはイヌムギでしょう。小穂がやや開き気味ですが。

 ツリガネニンジン

 ツリガネニンジンですね。本来は直立する植物ですが、茎が細いためかしばしばこんなふうに倒れながらも花を付けていたりします。ツリガネは花の形から、ニンジンは根の形から付けられた名前だそうです。

 木陰は涼し

 谷戸の奥の方まで行き、折り返して反対側の森の縁を歩いて戻ります。この暑さ、木陰に助けられますね。

 キツリフネ

 葉の下に吊り下げられるように付くキツリフネの花冠。わずかな風にも揺れて涼しげです。この花も水辺でよく見かけます。ただ、カンカン照りの日向ではなく、どちらかというと半日陰のような環境を好むようです。

 遠い夏の空

 そういえばもう8月も下旬です。青い空にもどことなく秋の気配が漂い始めてはいませんか。遠い夏の日、手を付けていない宿題のことを忘れきれず、半ばそわそわしながら遊んでいた夏休みの終わりを思い出します。

 支谷戸

 溜め池のあった大きな谷戸から横に延びる支谷戸があり、そこが菖蒲園になっていました(この時期もちろん花はありません。)。その脇を通って最初の芝生広場に戻ります。

 フジカンゾウ

 これはフジカンゾウでしょう。別名をヌスビトノアシ(盗人の足)といい、これは果実の形に由来するもの。「抜き足差し足」のときの足の形に似ているのだそうです。このネーミングは同科同属のヌスビトハギもまったく同じなんですよね。
 フジカンゾウは特に珍しいといったものではないようで、ときどき見かけますが、yamanekoはこの花を初めて見た広島県の山野峡での記憶が鮮明に残っています。



 支谷戸の奥から斜面を登ります。



 午後3時、芝生広場に戻ってきました。風のない谷戸とは異なり、日陰に居さえすれば心地よいです。
 
 四季の森公園、かなり広い公園で、今回歩いたのはそのうちのほんの一部。概ね2時間ほどの散策でかなりリフレッシュできました。大人になって宿題はなくなりましたが、ストレスという名のやっかいなものも出てきます。そんなものは小さいうちにその都度処理していった方が良いですからね。暑かったり(寒かったり)してもまた野山歩きに出かけたいと思います。
 
 往きの国道16号は結構渋滞があったので、帰路は新百合ヶ丘の方に迂回して渋滞を避けて帰りました。