三段峡 〜今年も逢えた清楚な花〜
【広島県戸河内町 平成15年5月3日(土)】
連休後半の始まりです。
天気は上々。こんな日はドリーム号のエンジンキーを回さずにはいられません。
行き先は三段峡。広島県北西部にある大自然が刻み造った幽玄の渓谷です。
ここに毎年逢いに行っている花があります。
ユウシュンラン。わずが10pほどの小さなランですが、はじめて逢ったときからその姿を忘れることがでず、以来、毎年この時期になると三段峡に足を運んでいます。
姉妹滝 |
新緑のこの季節、たくさんの人達が渓谷沿いの遊歩道を散策しています。家族連れ、アベック、熟年夫婦…。一人で歩いているのは自分以外にはいないのでは。(でも、まぁ、そこんとこは気にしない。)
右手は山肌、左手は渓流。右を見たり左を見たりで、超スローペースな散策になりました。
コガクウツギの葉はまだ展開しはじめたばかりで、あの独特の深みのある青緑色にはなっていません。
サワハコベは小さな切れ込みのある白い花弁を風に揺らしていました。
キシツツジ |
水辺にキシツツジが咲いています。今が盛りと咲き競っているかのようです。
キシツツジは増水時に冠水するような場所に生えるのだそうです。
フデリンドウ |
足元にはフデリンドウが。パステルブルーの花冠がよく目立ちます。
ここのラショウモンカズラはみんなやや小振りです。キランソウはディープパープル、ミツバツチグリはレモンイエローです。こんなに色が溢れている遊歩道を歩くのはやっぱり楽しいです。
ユズリハ |
ユズリハが岸辺にせり出していました。西日本に多い大型の樹木です。春、新しい葉が出ると前年の葉が落ちるので、成長した子どもにあとを譲ることに喩えて「譲り葉」と名付けられたのだそうです。雌雄異株で、写真のこの木は雄の木です。今まさに世代交代が行われようとしているところです。
ユウシュンラン |
いました。ユウシュンランです。つい見過ごしてしまうほどひっそりと咲いていました。事実しばらくこの近くで休んでいても、この花に気付いた人は誰ひとりとしていませんでした。
辺りを見回してみても5株しか生えていません。なんか年々少なくなっていっているような…。
花冠をアップで |
ランの仲間は、他にもシュンランやコケイランがありました。コケイランはまだ開花していませんでしたが。
スハマソウ? |
スハマソウらしき葉を見つけました。山側の斜面に幅20mほどの範囲でまばらに生えていました。この写真では葉の先が尖り気味なのでミスミソウのようにも見えますが、茎に白毛があったのでスハマソウではないかと。
深山幽谷 |
黒淵でUターンすることにしました。普通では1時間の距離ですが、時計を見ると倍の2時間もかかっています。
イワタバコの葉が夏に向けて準備を始めていました。この渓谷が深い緑に塗りつぶされる頃、このイワタバコは淡いピンクの花を開くのでしょう。