三瓶山 〜故郷の山ひさびさ〜


 

【島根県 大田市 平成19年8月16日(木)】
 
 お盆の帰省で故郷大田市に戻ってきました。折からの世界遺産フィーバー(古いか?)で石見銀山が注目を集めるなか、わずかな空いた時間を使ってあえて三瓶山に行ってみました。(ちなみに地元では石見銀山のことを大森銀山と言っていました。)

 三瓶山(西の原から)

 三瓶山は標高1126mと決して高い山ではありませんが、中国山地の脊梁から日本海側に離れたところに位置する独立峰であるため、その姿の秀麗さ、山頂からの展望の素晴らしさには定評があります。
 山頂に立ったのはこれまでに10回くらいでしょうか。麓までなら数えきれません。小学校、中学校の遠足では毎年行っていましたし、もっと小さい頃には西の原の南にある浮布池畔にあったグリーンランドという遊園地に連れて行ってもらうのが楽しみでした。広島に住んでいた頃にも帰省のたびに訪れていましたが、それはどちらかというと他にすることもなかったから。身近にこんな素晴らしい山があったということを再認識したのはここ20年くらいでしょうか。

 姫逃池(北の原)

 午後3時くらいに着いたとはいえまだまだジリジリとした日差しが照りつけていました。なので、外周道路をぐるっと回って北の原へ。ここには島根の自然史を紹介する博物館「サヒメル」があります。その裏手に広がる草原を散策してみました。
 この北の原には「姫逃池(ひめのがいけ)」という池があります。その昔、この辺りに住んでいたという長者の娘の悲恋物語が語り継がれている池です。yamanekoが覚えているあらすじは、他に慕う人がいる娘に長者が無理やり縁組みを調えたため、娘は婚礼を前にして一人家を抜け出しこの池に身を投げたというもの。急にいなくなった娘がこの池に身を投げたのではないかと悲しみに暮れる長者に対し、家来が手にしていた刀を抜いて「この刀で岩を切ってみてすっぱりと切れたなら身を投げたもの、そうでなければどこかに身を隠しているだけだろう」と慰めたのですが、なんと真っ二つに切れてしまったというものです。子供の頃、この切られた岩といわれる岩を見た記憶があるのですが、今でもあるのでしょうか。
 姫逃池の伝説としてはこれ以外にもいくつかあるようですが、いずれも長者の娘がこの池に身を投げるという点で共通しているようです。 

 クロモジ

 北の原の縁の林で見つけた黒い実。これはクロモジの実です。クロモジはクスノキの仲間で、材に香りがあるため、樹皮を活かした高級爪楊枝として和菓子に添えられていたりします。(あれはいわばナイフであって、楊枝じゃありませんよね。)

 エゴノキ

 枝から鈴なりにぶら下がっている白い実。こちらはエゴノキの実です。エゴノキはたくさん実を付けますが、皮にサポニンという有毒成分が含まれていて、食べられません。昔は石鹸の変わりに使われていたのだそうです。シャボンの語源はサポニンだと聞いたことがありますが、本当でしょうか。

 エゾミソハギ

 池の畔を彩るエゾミソハギ。湿原などの水辺に咲く花です。ミソハギは漢字で書くと「禊萩」。お盆の供え花にされるなど、祭事に用いられることから名がついたといわれています。

 ユウスゲ

 夕方が近いからか、早くもユウスゲが咲いていました。夕方に咲いて朝にはしぼむこの花。このクリームイエローが夜行性の昆虫にはよく見えるのだそうです。近くの森から聞こえてくるヒグラシの鳴き声と相まって、夏の夕暮れの何ともいえない儚い雰囲気を醸しだしていました。

 ノアザミ  マツムシソウ

 草原には、夏の花、秋の花、それぞれ入り交じって咲いています。暑い暑いと言っていても、いつのまにか明け方に涼しさを覚えるようになってきたり、見上げる青空がずいぶん高く感じるようになってきたりします。そう、季節は行きつ戻りつしながら少しずつ移ろっていくものなのです。そういった季節の僅かな変化を身に感じ、それを楽しむことができるような暮らしができるといいと思います。(そんなときが来るのはいつのことだろうか。)

 ボンネットで目玉焼き

 サヒメルの入り口近くでこんな実験をしていました。何時頃セットしたものか分かりませんが、ちゃんと目玉焼きができていましたよ。傍らのフライ返しと塩コショウは演出ですね。
 


 忠海港

 前日、愛媛県の大三島からフェリーで着いた広島県の忠海(ただのうみ)港。今回の帰省は、まず妻の実家のある四国に行って、そこから広島経由で島根県へ。瀬戸内海の港はいつ来てもいい雰囲気です。

 広島県竹原沖