利尻島 〜北の湿原めぐり〜


 

【北海道 利尻町、利尻富士町 平成21年8月24日(月)】
 
 昨日のハードな山登りの余韻を全身に感じつつ、午前7時30分にチェックアウト。今日はフェリーまでの時間、島をぐるっと回ってみようと思います。


Kashmir 3D

 宿泊先の「ホテル利尻」は島の西部、沓形地区にあります。ここから反時計回りに走ります。
 
 途中の麗峰湧水というところで冷たい湧き水を飲んで、シャキッと。この島ではいたるところで美味しい水が湧いているそうです。

 仙法志御崎

 島の南端に仙法志御崎というビューポイントがありました。みやげ物屋も数軒あって、観光バスも必ず立ち寄る場所のようです。

 ハマナス

 ハマナスといえば「知床旅情」。ここ利尻の浜にもよく似合っています。北の浜辺の花のような印象がありますが、太平洋側では茨城県、日本海側では島根県まで分布しているそうです。

 エゾオグルマ

 北海道と青森の沿岸部に生えるエゾオグルマ。図鑑とかでもなかなか紹介されていなくて、調べるのにちょっと苦労しました。潮風にも強そうな葉をしています。海岸から少し上がった草地に群生していました。

 北の海

 荒々しい岩場に佇むセグロカモメ…。

 セグロカモメ

 と思ったら、すぐ近くにも! 観光客がエサでもやっているのか、かなり人間に慣れているようです。3mくらいまで近づいてもまったく物怖じしません。付近を悠々と歩いていました。

 ゴマフアザラシ

 アザラシ君もお出迎え。このアザラシは春先に漂流してきて、ここの売店の方に保護されたのだとか。今では元気になって、岩場を囲ったおおきな生け簀の中で愛嬌を振りまいていました。

 南浜湿原

 利尻最大の湿原だそうですが、観光バスなどはやって来ず、静かに観察路を巡ることができます。

 サワギキョウ

 キキョウといえば筒型の花冠を思い浮かべます。でも、このサワギキョウは唇型。上の花弁は2つに裂けて反り返り、下の花弁は3つに裂けて広がっています。涼しそうな花ですね。

 ノリウツギ

 林の縁などでよく見かけるノリウツギ。火山の周辺ではどこにでもあるのだそうです。この装飾花、今は純白ですが、葉が色づく頃には鮮やかな紅色になります。ノリウツギの「ノリ」とは糊のこと。枝を水に浸して取り出した粘液を和紙作りに用いたからだそうです。

 リシリアザミ

 10数年前に新種に認定されたリシリアザミ。利尻島の固有種だそうです。

 オニユリ

 とても自然のものとは思えない造形と配色。オニユリとはなんとも恐ろしげな名前ですが、黒い斑点のある朱橙色の花を赤鬼の顔に例えたことによるのだとか(諸説あり。)。一回り小さいそっくりなコオニユリとの見分け方は、葉腋にムカゴができるか否か。ムカゴができるのがオニユリ。コオニユリはムカゴができない代わりに結実します。

 南原湿原から2qちょっと行くとオタトマリ沼があります。こちらは観光バスが何台も駐車できる大駐車場や立派な売店もある観光地です。

 湖水に写る緑の丘。心が洗われるような風景ですな。爆裂火口の底が泥炭地になってできたという成り立ちをもつ湖だそうです。ちなみに、北海道みやげの定番「白い恋人」のパッケージはここから見た利尻山が描かれているのだとか。

 姫沼

 ぐるっと回って島の北部にある姫沼にやってきました。こちらも爆裂火口の跡だそうです。近くにはポン山という寄生火山もあり、利尻島が火山の島であることをあらためて教えてくれます。

 散策路

 沼を一周する散策路を歩きます。ザッとにわか雨に降られましたが、静かな気持ちいいひとときを過ごすことができました。

 命のリレー

 切り株の中に落ちた種子から芽吹いた新しい命。これから苦難の道が待ちかまえていることでしょう。大きく育ってほしいものです。

 ベニテングタケ

 なんともメルヘンな容姿をしたキノコ。でも猛毒です。食後2、30分で精神錯乱、幻覚症状を引き起こすそうです。

 ゴマナ

 東日本から北海道にかけて多く分布するゴマナ。北海道のものは本州に比べて大型なのだそうです。確かにパッと見、ゴマナというよりはイナカギクのような印象を受けました。

 エゾニワトコ

 雨に濡れたエゾニワトコの赤い実。葉も実もかなり傷んでいます。もうじき9月。島はこれから短い秋に向かって装いを変えていくのでしょう。

 ペシ岬

 鴛泊までやってきました。ここから稚内行きのフェリーが出ています。港には海に突き出す形でペシ岬という大きな小山(?)が聳えています。眺めは抜群だそうですが、船の時間の関係もあり、登りませんでした。
 
 慌ただしく一周(正確には今日は4分の3周)した利尻島。火山地形と湿原を楽しみました。
 今日も利尻山の半分から上は雲の中。結局この2泊3日の旅の中でその端正な姿を見ることはできませんでしたが、その懐に入ってみると、北国の厳しい気候が鍛え上げた美しくも激しい自然に触れることができました。
 次の機会にはお隣の礼文島にも行ってみたいと思います。そのときは青空をバックにした最北の富士の姿を見てみたいものです。
 


 三色丼

 稚内港についてから遅めの昼食。カニ、ウニ、イクラの三色丼で北の味覚を堪能しました。