小山内裏公園 〜静かな秋の一日〜
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【東京都 町田市 令和2年10月25日(日)】
ここ数年10月には雨が多く、今年も去年ほどではないにしろ多雨で、スカッと晴れた日は少なかったです。
そんな10月も終わりが近づき、今日は見事に晴れ渡りました。
今日は、近所の小山内裏公園を散策です。(小山内裏公園の定点観察「ヤマネコ散歩」はこちら)
入り口 |
京王線多摩境駅の北側にある入り口から公園に入ります。小山内裏公園は多摩丘陵の主稜線上にある里山なんですが、この公園にはなんと20箇所以上も入り口があります。
早速、階段が現れました。稜線に向かう上りです。
ヤマノイモ |
ヤマノイモの葉が黄葉しています。自然の色合いで趣がありますな。
尾根緑道 |
稜線に上がると舗装路が。ここは戦前、軍の戦車のテストコースだったところで、「戦車道路」とも呼ばれています。今では「尾根緑道」として、小山内裏公園を東西に貫いて更に西は多摩美大の先の鑓水まで、東は桜美林大近くの常磐まで、約8kmにわたっています。
ガマズミ |
園内の尾根緑道沿いには様々な植物が植えられています。園の東側はこのガマズミが多く見られます。今は実りの時期でガーネットのような光沢のある深紅の実をたくさん付けていました。
東展望台から |
ほどなく東展望台に至りました。多摩丘陵の稜線上から南北を見渡すとき、北側は多数の谷戸が絞り染めの細かい襞のように山地を削って山並みとなり、当然に眺望はありませんが、一方で南側は相模野台地が広がり一面の平坦地であるばかりか、それが相模川の河岸段丘で奥に行くほど土地が下がるため、視界を遮るものはありません。
ヨウシュヤマゴボウ |
一見ノブドウのようにも見えますが、これはヨウシュヤマゴボウの実。有毒植物で、実にも葉にも根にも毒があり、誤食すると場合によっては死に至るほどとのことです。子どもだったら実を潰して遊んだりして(汁が衣服に付くと、これがまたなかなか消えない。)、結構危ないことですね。
展望台にあるエノキ。毎年この花を見ようとして見逃し続けています。来年こそは。
アオツヅラフジ |
尾根緑道を更に東に向かいます。
緑道脇の樹林にアオツヅラフジの実を見つけました。ツル性で、高さ5mくらいの所にありました。実は濃紺で表面に光沢はなくマットな質感です。
クマシデ |
こちらはクマシデの花穂。ビールの原料に使われるホップのような姿をしています。
ヤマハンノキ |
なんかゴツゴツしたものが。これはヤマハンノキの若い果穂。熟すと松ぼっくりのようにほぐれ、中に挟まっている翼果がこぼれ落ちる仕組みになっています。
クロモジ |
クロモジの葉芽と花芽。何かのオブジェか?
タマムシの前羽 |
こんなものを拾いました。タマムシの前羽です。一番上のは胸の部分でしょうか。それにしてもこの鮮やかさ。光の当たり具合によって色味が変わって、これぞリアル玉虫色ですね。
ナンキンハゼ |
ナンキンハゼも実が熟し始めていました。これから冬に向かうと、今は緑色の果実が褐色に乾燥し、やがて割れて中から白い種子が顔を出します。この白い種子は長く枝に残るので、まるで白い実が枝いっぱいに生っているように見えます。
尾根緑道は散策の人たちだけでなくランナーやサイクリストも利用します。なので所々に休憩スペースもあったりします。
コブシ |
コブシの冬芽です。これだけもふもふしていたら寒い冬でも乗り切れそうですね。準備万端です。
草地広場 |
小山内裏公園の東端の「草地広場」。森を縁取るように細長い芝生エリアになっています。ここでは家族連れがレジャーシートを敷いて遊ぶちょっとした穴場スポットになっています。yamanekoもしばし休憩。
クスノキ |
大きなクスノキの小さな小さな冬芽。こびとがいるみたい。
見上げるとヤマザクラの紅葉。青空をバックにすると紅葉は映えますね。
オトコエシ |
まだ花があったとは。これはオトコエシですね。ご苦労さんです。
木々の葉が少しずつ落ちてきているので、日差しが地面にまで届いています。冬になって落葉しきると、もっと明るくなります。
キブシ |
キブシに来年の花芽がぶら下がっていました。じつは夏のうちからできていて、初めは枝に沿うようになっているのですが、この時期になるとぶら下がり始めます。
カラムシ |
カラムシの実。漢字では「茎蒸」と書き、この植物の利用形態をそのまま表しています。カラムシの茎を蒸して皮を剥ぎ、繊維をとりだしたものを上質な織物の材料にしていたそうです。昔は栽培されていたでしょうね。
カワラタケ |
切り株を覆い尽くさんばかりにしてるこれはカワラタケでしょう。こうやって枯れ木を分解しつつあるんですね。森の中では重要な役割を果たしているということになります。
アキノキリンソウとゴマシジミ。花にまだ蜜が残っているのか?
ヤブマオ |
先ほどのカラムシに似ていますが、こちらはヤブマオの実。同じイラクサ科です。カラムシの別名をマオというのに対し、藪に生えるマオということでしょう。それだけ人間の生活の場との距離があったということで、それは利用価値の差に根ざしているように思えます。
再び尾根緑道に戻ってきました。
ウワミズザクラ |
ウワミズザクラの黄葉が始まっていました。秋の日を浴びて明るく輝いています。
静かな午後、今日は身近な自然をのんびりと楽しむことができました。生活の近くにこんな場所があることの喜び。というか、わざわざこっちに生活の場を持ってきたんですけどね。
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