大町自然観察園 〜小春日に長閑、冬はじめ〜


 

【千葉県 市川市 平成27年11月29日(日)】
 
 今回は以前定点観察をしていた場所の再訪です。場所は千葉県市川市にある大町自然観察園。ここには平成22年に1年間、毎月1回通っていました(こちら) 。11月はぐずついた天気の日が多かったですが、今日は気持ちのいい小春日和。穏やかな自然観察になりそうです。
 
                       
 
 大町自然観察園へは、新宿に住んでいた当時は1時間ちょっとで行けましたが、今住んでいる町田市からでは距離も倍以上になっているので、早めに出発することにしました。国立府中ICから中央道に乗り、そのまま首都高4号線、都心環状線、7号線、京葉道路と乗り継ぎ、原木ICで一般道へ。なんとその間渋滞は全くありませんでした。あの江戸橋JCTも箱崎JCTもです。これはちょっとした奇跡です。高速を降りた後も、いつも混んでいる中山競馬場脇の道路がスイスイ流れていて、都合2時間弱で目的地に到着しました。こんなこともあるんですな。まさか圏央道開通効果で都心部の渋滞が減ったとか?
 さて、駐車場は半分ほど埋まった状況。この時期は紅葉が綺麗なので来園者の出足も早いようです。

 駐車場から自然観察園に向かう小径。懐かしいです。

 朝日を浴びて

 逆光もなかなか趣がありますね。



 大町自然観察園は細長い谷戸になっていて、ここはその入り口部分。手前の池はもともと溜池だったものかもしれませんが、現在では奥の園地とともに公園化されています。
 谷戸の両側は森に縁取られていて、中から見ると深い自然の中にいるように見えます。でも、この森の外側には畑や住宅が広がっているんですよね。一般的な谷戸は両側が山になっていますが、この谷戸は平坦な大地が削られてできたようで、地形図を見ると掘り込まれた溝のようになっています。
 今日は谷戸の左側を通って最奥まで行き、右側を通って戻ってくる予定。

 ムラサキシキブ

 日陰に入ると少し寒々とした感じです。これはムラサキシキブの実。yamanekoがよく行く小山内裏公園にはヤブムラサキばかりで本種はほとんど見かけません。久しぶりに逢った気がします。

 伐木の切り口を覆うキノコ。行儀よく並んでいます。モミジウロコタケか。

 池の奥はバラ園になっていて、この季節でもけっこう咲いていました。妻は目を輝かせてスマホで撮りまくっていました。

 ヒマラヤスギ

 バラ園の中ほどにヒマラヤスギが。高さは8mくらいで、この木にしては背が低い方です。

 でも梢にはちゃんとマツボックリを付けていました。大きさはサツマイモほどもあり、遠目にはキジバトが停まっているようにも見えます。ちなみにヒマラヤスギはスギではなくマツの仲間です。

 空を見上げると、櫛の歯のようなおもしろい形の雲が。けっこう早いスピードで右手に向かって動いていました。

 谷戸の中にはアシが生い茂っています。この辺りから公園の雰囲気はなくなります。

 ハンノキ

 ハンノキはすっかり葉を落としていました。丸いのは今年の球果、細長いのは来春に咲く雄花の冬芽です。

 アカガシ

 このテカテカの葉はアカガシ。いかにも暖地系ですね。ちゃんと冬芽の準備もできているようです。

 ムクノキ

 ムクノキはここの谷戸ではよく見かけます。黒く熟す実は干し柿みたいな味がして美味。

 コブシ

 散策路は谷戸の縁を通っているので、樹木の観察には便利。この黄葉はコブシですね。

 ところどころにモミジが紅葉していました。

 アオハダ

 アオハダの冬芽です。芽の部分は先端の小さな三角のところで、その下は枝になりますが、葉が付いていた跡がモコモコしていて変な形。これ全体が冬芽のようにも見えます。

 この写真だけ見るといったいどんな田舎なんだという感じですね。森のすぐ向こうには民家があったりするんですが。

 ジュズダマ

 ジュズダマ。昔おはじきの袋の中に入っていたやつです。ハトムギの原種だそうです。実はすごく硬いですが、真ん中の髄を抜くことができ、そこに糸を通し連ねてネックレスを作る遊びがありました。光沢があるのでそれなりに綺麗なんです。色合い的にはまさに数珠ですが。

 カラスウリ

 カラスウリの実は美味しそうに見えますが、しばしばいつまでも残っているところをみると鳥たちには人気がないんでしょうね。

 アオキ

 小春日和の陽射しを受けてアオキの葉が眩しいほど光り輝いています。実も色づき始めていますね。

 最奥部

 いつの間にか谷戸の最奥までやってきていました。この先で10mほどの崖を上がると、その高さで下総台地が広がっています。

 その崖からの湧水がこの谷戸を潤すのです。けっこうな水量がないとこうはいきませんが、すべて天然なのだろうか。

 最奥部で見上げる冬晴れの空。なぜか子供の頃の初冬を思い出しました。

 今度は反対側を通って戻ります。ススキかオギか。これぞ枯野って風情ですね。

 オニグルミ

 オニグルミの冬芽は太くゴツゴツしています。

 今日一番の紅葉ポイントです。やっぱり青空が紅葉を引き立たせますね。多くの人がここで写真を撮っていました。

 ムラサキシキブ

 ここにもムラサキシキブの実がたわわに実っていました。
 ところでこの実を鳥が食べているところを見たことがありませんが、やっぱり不味いのでしょうか。人間様の食物としてはあり得ない色合いですよね。

 翡翠

 谷戸の入り口の池まで戻ってきました。一列に並んだたくさんのカメラの砲列の先にはカワセミが。見られていることを認識しているかのように、ときどきポーズを変えながら長い間枝先に停まっていました。なかなかサービス精神旺盛なやつです。

 カピバラ

 さて1時間半ほどで戻ってきました。ここの自然観察園には動物園が併設されているので、妻のリクエストによりカピバラを見て帰ろうと思います。
 
 (なお、復路も渋滞はありませんでした。重ねてびっくりです。)