大潰山 〜雨のちツツジ、気分時々晴れ〜
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【広島県芸北町 平成15年5月11日(日)】
「大潰山」と書いて「おおづえやま」と読みます。西中国山地の脊梁、島根県との県境の山です。
今日は5月の定例観察会。朝から昨夜来の雨がしっかりと降り続いていました。
開会の様子 |
雨のせいか参加者は30数人。そのほとんどは借上げマイクロバスでやって来た人達です。
まずは大佐スキー場のロッジで開会。色とりどりのレインウエァが集まりました。そして今回のリーダーから本日のテーマと雨の日の注意を何点かレクチャー。
さあ、これから登山口へ移動です。
登山口 |
スタートしてほどなく急な登りになりました。足元は火山灰土で、雨水を含んで滑りやすい状態になっています。みんな足元に注意を向けているためか、いつもより進むペースが上がっているようです。いつもはあちこちで立ち止まって観察しながらなので遅々として進まないのですが。
新緑の登山道 |
足元がこのような状態でありながら傘をさして歩くのはちょっといただけません。滑ったときに片手が手が使えないからです。これは片方の手をポケットに入れて歩くようなものです。
観察会の参加者には傷害保険もかけてあるのである意味安心です。でも雨の日の観察会ではスタッフとしては注意喚起が必要でしょう。なにより大きなケガに発展しないようするためであることはもちろん、考えたくはありませんが、仮に主催者の責任を問われることになった場合、事前の注意喚起の有無も重要なポイントとなるでしょうから。観察会の主催にはそういうリスクも現実問題として意識していなければならないと思うのです。
ブッツリ |
登山道わきの木に巻き付いていた太いツル植物が目の高さのところでブッツリと断ち切られていました。鉈のようなもので何回も打たれ切断されていたのです。ここは植林地でもなく営林目的で切ったものとはとても思われませんが…。地主さんなら別ですが、登山や自然観察を楽しむために山に入るのに鉈を持参するという気持ちが理解し難いです。このツルを切ったその人の中には種の優劣があるんでしょうね。
ダイセンミツバツツジ |
8合目くらいからでしょうか。ダイセンミツバツツジが現れはじめました。この時期の大潰山の主役です。
あまりにも鮮やかなショッキングピンクに目を奪われるようです。
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花冠 | 葉 |
花冠は枝先に一つずつ付いています。葉は幅が広く、3枚まとめて見ると一つの正三角形に見えます。
メギ |
ユズリハ(雄花) |
頂上が近くなる頃、雨が上がりました。雲の中にいるので見通しはききませんが雨が上がっただけで気分が軽くなるようです。
山頂(997.5m) |
山頂は風が強く、雲が飛ばされるように流れていきます。なので、手前の立木の影に腰を下ろして昼食としました。風は頭上の木立を揺らすのみで、けっこう快適に食事をすることができました。ラッキーでした。
ここからの素晴らしい展望は次回のお楽しみにとっておくことにして、さあ下山です。
登るとき以上に注意が必要です。
下山路 |
下山路には松葉などが敷き詰められていて、つるつる滑るといった状況ではなかったので助かりました。でも、自分を含め何人かがヒヤッとしたようです。
アオイスミレ |
登りのときには少なかったアオイスミレが下山路にはたくさん見られました。大振りなよく目立つスミレです。
熊棚 |
途中のクリの木に熊棚を見つけました。
熊棚とは、熊がクリやブナなどの木に登り、枝先にある果実を引き寄せながら食べ、その都度その枝を自分の尻の下に敷いていった結果できた、熊の座布団です。木の先端の細い枝の部分にできていて、よくあんな重たい熊が座っても崩れ落ちなかったものだと感心します。
食痕 |
熊棚の下には熊が食べたクリの残骸が散らばっていました。去年の秋のものです。皮を器用に割って中身だけを食べています。
ここは熊の生活圏内なのだと、あらためて思いました。
そうこうするうちにふもとに到着です。最後の最後で転んで手をすりむいた人がいましたが、応急措置(消毒、止血)で済んだようで大事には至らずホッとしました。
開会の時に集まったロッジにまた集合して閉会です。
来月もまた楽しい観察会にしたいものです。
帰りに見かけたカザグルマ
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