鬼の舌震・赤来湿地 〜水辺の散策〜


 

【島根県仁多町・赤来町 平成14年7月24日(水)】
 
 代休なので山の方に行くことにしました。まわりの同僚は金曜日か月曜日に代休をとって3連休にするケースが多いですが、当方はもっぱら週の中日にとることが多いです。なんかその方がリフレッシュ効果が大きいような気がして。
 この日の目的地は島根県仁多町にある「鬼の舌震」。”おにのしたぶるい”と読みます。巨岩がゴロゴロしている渓谷で、秋の紅葉が名物のようです。

 「鬼の舌震」とはずいぶん恐ろしそうな名前ですが、名前の由来は出雲風土記にこう記されているそうです。
 昔、この近くに美しい姫が住んでいて、この姫を慕って日本海に住む悪いワニが夜な夜な川をさかのぼってきていました。姫はこのワニを嫌って大岩で川をせき止め、姿を隠してしまいました。しかし、ワニの姫に対する気持ちは変わらず、その後も幾度となく川をさかのぼってきたそうです。この「ワニの慕ぶる」が転訛して「鬼の舌震」になったのだそうです。それにしてもあの大岩を動かす美しい姫ってどんな姫なんだろう?
 
 渓谷の水量は豊富にありました。水辺は涼しいのでしょうが、遊歩道は「蜀の桟道」よろしく岸壁の中腹に作られているので蒸し暑いばかり。
 花はオオバギボウシがやや盛りを過ぎたあたり。あと、オオハンゴンソウがちらほらと。

 オオバギボウシ


 帰りに赤来町にある湿地に寄ってみました。まずはヌマトラノオ、そしてコオニユリが迎えてくれました。
 あと、白い花のムラサキシキブ(たぶん)もきれいに咲いていました。

 ヌマトラノオ

 チダケサシやクサレダマはもうほとんど終わっていました。サギソウはこれからでしょう。
 奥の池にはヒツジグサがいっぱい。この池は春にはミツガシワの花で埋まります。

 このときにわかに夕立が。だれもいないハンノキ林の湿原の中で独り夕立をやり過ごす。雨が葉をたたく音とときおり聞こえる鳥の声。足下から立ちのぼる湿気。なぜかゾクッとするような状況に非日常を満喫しました。