岡山県立森林公園 〜早春の山歩きふたたび〜
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【岡山県上斎原村 平成16年4月29日(木)】
4月下旬、GWを目前にして広島市内は緑の色を一段と濃くしています。
夏日が数日続いた後に肌寒い日もありましたが、季節は徐々に初夏に向かっている感じです。
下界はざっとこんな気候なのですが、今日は気の置けない仲間たちと季節をさかのぼる山歩きに出かけることにしました。目的地は岡山県の北部、鳥取県との県境に位置する「岡山県立森林公園」です。
ここは公園と名は付いていますが、ほとんど自然のまま。公園入り口にある管理センターの標高は840m、公園最深部の県境の尾根は1,000mを超えています。森のほとんどはブナ、ミズナラ、マルバマンサクなどの落葉広葉樹と群生したネマガリタケが主体ですが、一部スギの天然林もあるそうです。自然の色濃い「公園」です。広島市にも「森林公園」はあるのですが、ちょっと市中の公園のイメージが強いですね。
さあ、出発 |
広島を発ったのは6時。中国道をひた走って森林公園に到着したのは9時半でした。小さな子供とのんびり過ごす、といった家族連れは少なく、もっぱら山登りのグループが多いようです。
まだ葉が展開する前の森は太陽の光が地面まで降り注いで明るく、歩いていても気持ちがいい。鼻歌の一つも歌いたくなるというものです。
リュウキンカ |
入り口付近にあるわずかな平地のほとんどは湿地になっていて、早くもリュウキンカが咲いていました。水に手を入れてみても思ったほど冷たくは感じません。
マルバマンサク |
図鑑によるとマルバマンサクの自生の南限は鳥取県の日本海側だとか。このあたりは山陰型の気候帯に属するので、きっとこの木も南限のうちの一本でしょう。
清流 |
登山道に沿う流れからは絶えず心地よい水音が聞こえてきます。しかし、この音だけはどうしても文字にして表現することができません。残念ながら。
この流れはやがて吉井川となって遠く岡山市で児島湾に注ぎます。
ハシリドコロ |
猛毒をもつことで有名なハシリドコロ。症状は下痢、血便、次いで瞳孔散大、けいれん、呼吸心臓麻痺となるのだそうです。おぉ、怖っ。
ナス科の植物には有毒のものが多いと聞いたことがありますが、どうでしょうか。
芽吹き |
道は急な山道となりました。ここから一気に県境の尾根筋までの登り。足下を見ながら一歩一歩登っていきます。時折立ち止まって見上げると、木々には若葉が萌えはじめていました。
イワウチワ |
今回、この場所にやってきた理由のうちの一つにイワウチワとのご対面というのがあったのですが、残念なことにもう花の時期は終わっていました。盛りは10日ほど前くらいだったと思われます。今はテカテカとした丸い葉が残っているのみ。う〜ん、ここは次回に期待ということで。
ユキザサ |
尾根筋に出ました。ここからは反時計回りに尾根沿いの道を歩きます。道の両側にはネマガリタケが群生し、その際にユキザサがまだ軟らかな葉を広げていました。春の陽光をいっぱいに浴びています。白い花を開くのはあと半月くらい先でしょうか。
もみじ平 |
12時すぎ、標高1,059mのもみじ平に到着しました。ここで昼食です。
今朝、早かったせいか、食事が終わると強烈な睡魔が襲ってきました。こういった場合いつもあっさりと降参することにしているので、連れの方々には失礼して一眠りです。
カエデの大木 |
ゴロンと寝転がったその上には、カエデの大木が枝をいっぱいに伸ばしていました。
ポカポカ陽気に心地よい風。あぁ、こんな幸福なときは他にそうそう訪れません。
小半時ウトウトしたらだいぶ頭がスッキリしてきました。また歩き出して次のピークを目指します。
大山と 蒜山連山 |
20分ほど歩いたところで次のピーク、千軒平に到着。標高は1,090mです。
ここから西北西の方向を望むと、蒜山三座の向こうにそびえる大山を見ることができます。この時期、まだ雪渓が残っていました。
この景色も今回の目当てのうちの一つでした。晴天でよかった。
ショウジョウバカマ |
これからは尾根を外れ、谷沿いの道をたどって山を下っていきます。
道の脇には地面に張り付くようにしてショウジョウバカマが咲いていました。株ごとに微妙に花の色が異なります。
サンインシロカネソウ |
やがて沢の音が聞こえ始めて登山道の傾斜は緩くなってきました。
明るい林の下、少し湿り気のあるところに、花を咲かせたサンインシロカネソウが群生していました。なかなかお目にかかれない光景です。
ザゼンソウ |
時計の針は3時半を回り、ようやく管理センター近くまで戻ってきました。
いつの間にか駐車場の車もずいぶん少なくなっています。
今日は季節を一ヶ月ほどさかのぼって、ふたたび早春の山歩きを楽しみました。こういう休日を過ごすとホント心身共にリフレッシュできます。
あとは安全運転で帰り着くだけです。
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