中津谷渓谷 〜熊の谷 ふたたび…〜


 

【広島県廿日市市 平成15年4月26日(土)】
 
 本日は宮島で自然観察会、午前9時現地集合…  そして午前9時起床…って、完全に遅刻です。
 あーぁ、出遅れた。15分後、携帯から「どうした?」の声が。「今日は行けません…」
 
 窓を開けるとくっきりとした青空が目に飛び込んできました。薫風が街路樹の間をそよいでいくようです。
 ということで、独りでどっか行こうか、という自然な展開に。
 
 1時間後、ドリーム号(愛車)はワイパーを動かしながら中国自動車道をスッ飛ばしていました。なんと、高速に乗って10分もたたないうちにポツリポツリと雨が落ちてきたのです。変な天気です。
 吉和インターを降りたらそこは廿日市市。つい先月までは吉和村だったのですが、市町村合併により廿日市市に仲間入りしたのです。でも「吉和村」の方がしっくりくる風景ではあります。
 そこから離合もできないような細い道を進んで中津谷渓谷の奥の奥に入り込みました。ここは遠く広島湾に注ぐ太田川の最上流部。ここ3日間しっかり降った雨のせいで水量はたっぷりです。

 中津谷渓谷

 ここは1年前にも訪れた秘密の谷。霧雨の中、あいかわらずいつクマが出てもおかしくないような雰囲気です。
 今日は独りなので、つい辺りを見回してしまいます。

 秘密の谷

 去年来たときは5月半ばだったので、この谷は緑で覆われていました。ここはまだ早春なのです。そういえばさっき残雪を見かけました。

 エンレイソウ

 エンレイソウが咲いています。雨に濡れてみずみずしい。周りにはチャルメルソウも。
 目当てはルイヨウボタンだったのですが、まだ全然早かったようで、高さ20センチ、ようやく小さな葉が展開してきたところでした。去年はほとんど時期が終わりかけだったので、今日あたりちょうどいいかと思ったのですが。

 ボタンネコノメソウ

 この天気で少し薄暗い林床にポッと灯りがさしたようなボタンネコノメソウが印象的です。この花には花弁はなく、花弁のように見える部分は「苞」と呼ばれる器官です。苞は葉の仲間で、芽や蕾を覆って花を保護する役目があります。

 雨宿りには小さすぎ

 こんな森の中に一人でいると何となく謙虚になるのはなぜだろう。見栄も虚勢も意味をもたない空間です。

 渓流沿いの桜

 渓流沿いの道は湿った空気につつまれ肌寒い。墨絵のような風景の中にボワッと浮かぶ桃色にホッとします。
 やっぱりどんなに晴れていてもザックの中には必ずレインウエアを入れておかなければなりませんね。
 
 帰りは立岩貯水池を経由して戸河内町に向かうことにしました。雨こそ上がりましたがやっぱりうすら寒いです。
 所々で車を停めながらの帰り道です。

 ウワミズザクラ

 
 立岩貯水池

 右手に貯水池を見ながら車でゆっくりと進みます。途中、いろんな植物に出会いました。先週、知り合いが見かけたというツクシショウジョウバカマには会うことができませんでしたが。

 ラショウモンカズラ
 
 イカリソウ
 
 イチリンソウ  ○○テンナンショウ

 ある場所のイチリンソウはみんな萼片の1枚だけが紫色をしたしゃれた花でした。

 カエルの卵

 水たまりに産みつけられたカエルの卵の運命は天気次第。好天が数日続けばひからびてしまうのでは。


 戸河内の道の駅で遅い昼食です。揚げたてのコロッケを食べて、車内でぐっすりと寝て、夕方帰路につきました。