宮島・包ヶ浦 〜会員研修会〜


 

【広島県宮島町 平成15年8月30日(土)〜31日(日)】
 
 午前10時、広島市内のスーパーに行ってみると、すでにRさんとMさんが買い出しをはじめていました。
 今日から1泊2日で行う広島自然観察会の会員研修会のためのものです。
 参加者の胃袋を満たすための物資を積んで、開催地宮島を目指して出発です。
 
 包ヶ浦自然公園の管理センターの研修室に集合。
 さあ、これから始まるぞ、と思ったら、最初のプログラムは昼食と休憩。
 いきなりリラックスした展開です。
 そして研修Tの「海岸ゴミについて考える」です。まず、簡単な説明をうけてからさっそく浜辺に出かけてみることに。

 参加者が海に向かって一列に並び、一人が両手を広げた幅を波打ち際から浜辺の奥まで担当します。
 大はペットボトルから小は糸くずまで、一つ残さず拾っていきます。

 ゴミは帯状に溜まる

 プラスチック、発泡スチロール、金属、紙などのゴミを43種類に分類、海岸ゴミの分析をしてみます。

 小さなゴミが意外と多い

 まず目につくのは長さ20pほどのプラスチックパイプ。大量に流れ着いています。これはカキ養殖に使う材料で、海中にヒモでつるしたカキとカキとを隔てるためのもの。ちょうどビーズのネックレスのパイプ状ビーズのような役割です。あと細かくちぎれた発泡スチロール。これもカキ筏の「浮き」だったものです。
 これらは広島湾の特徴的なゴミです。

 レジンペレット

 広島湾に限らず、日本の海岸を汚染するゴミとして最近問題になっているのがレジンペレット。プラスチック製品の中間材料で直径3oほどの半透明のプラスチックの粒です。この状態で運搬しプラスチック製品に加工するのだそうです。それが輸送中に船からこぼれ落ちたのかどうなのか、大量に浮遊しているとのこと。海岸を汚すだけでなく、海上で魚が他の魚の卵と間違って呑み込んだりもするのだそうです。一番厄介なのは分解されることなく、半永久的に汚染し続けることでしょう。
 いったん研修室にもどって集計してみると、わずかな時間でありながらさまざまなゴミが収集できました。カキ養殖パイプ1,198個、発泡スチロール破片495個、ビニール片350個、タバコフィルター92個などなど。レジンペレットはわずか17個でしたが、これはあまりに小さく、砂粒との見分けがつきにくかったためではないかと考えています。
 
 次のプログラムは、研修U「干潟・磯の生物調査」 講師は広島自然観察会の会員でもある金山さんです。
 広島県が発行している調査マニュアルを参考にしながら、指標生物をものさしに海岸の状態を知ろうというもの。おもしろそうです。

 引き潮のタイミングに合わせて

 マニュアルによると、20種類の指標生物がそれぞれ点数化されていて、1個体でも発見できればその点を加算して行き、計算式に当てはめて評価します。ちなみに最高点は「ケガキ」の20点。次いで「アオガイ」19点、「ムラサキインコガイ」18点…と続き、最後は「タテジマフジツボ」の1点。

 イボニシとその卵

 イボニシは潮間帯の岩場に多く生息しています。近年、環境ホルモンの影響でのオス化が問題になっているそうです。これは8点なのでどちらかというと汚れた海の生き物です。

 さあ、集計

 トレイの中には3点から14点の間の生物がずらり。(採集せずに記録に残しただけのものもあります。)それとは別に唯一高得点のアオガイを発見したのには講師の金山さんもビックリ。
 結果は「少し汚れた海:潮干狩り、魚釣り等が楽しめ、生物観察や一部で海水浴も楽しめます。」というもの。広島湾の一角にしては上出来でしょうか。
 
 夕方になったので宿舎のケビンに移動。
 さあ、楽しい懇親会です。

 焼き鳥が激ウマ


 2日目は研修Vの「植物観察」
 包ヶ浦から約4q先の入浜(いりはま)まで。入浜は厳島神社から見てちょうど山を越えた裏側に位置します。訪れる人も少なく静かな入り江ですです。

 出発

 歩き出してまもなく汗が噴き出してきました。キョロキョロといろんなものに関心を示しながらゆっくりと観察していきます。

 カンコノキ(実)

 カンコノキの実はカボチャのよう。褐色に熟して実が開き、朱色の種が顔を出します。日本固有種だとか。

 キイボカサタケ  アカテガニ

 

 トキワガキ

 葉が常緑なので「常葉柿」 直径2pほどの目立たないカキです。渋みがありますが食べられるそうです。
 ちゃんと「ヘタ」がついています。

 入浜

 いくつかのアップダウンを繰り返し、ようやく入浜に到着です。
 昨日の長距離ドライブがたたっているのか、今日はスタミナが不足気味。でも、弁当を食べれば回復するはずです。(文章も細切れでスタミナ不足か。)

 サネカズラ

 サネカズラの花被片はバニラアイスの色。この花は雌花か。雄花は中の球状の雄しべが真っ赤です。

 砂浜の背後

 砂浜の背後には沼状の湿地が広がっています。
 手前にはハマゴウ。沼をとりまいているのはヒトモトススキ。そしてその奥にはアカマツ林が続いています。
 ハマゴウは実に芳香があり、ソバガラの代わりに枕に入れると安眠できるそうです。ヒトモトススキは「一本薄」。でもススキの仲間ではありません。葉のふちが強くざらついていてイノシシでも切れそうだということからシシキリガヤという別名も。

 豪華客船

 浜辺の木陰で昼食です。
 目の前の浜では釣りを楽しむグループ。どうも釣れている様子はないようです。
 腹が満ちてくるとまぶたが重くなってきて…。ときおり涼しい風が吹き、まったりとした時間が流れていきます。
 すると島影から巨大な豪華客船が現れました。あれに乗って2、3週間ゆっくりしたいような。「おぉーい。待ってくれー。」
 もうすぐ包ヶ浦にもどる時間です。
 
 こうして1.5日の会員研修会は終了しました。病人や怪我人も出ずヨカッタヨカッタ。
 セッティングをしてくれた事務局の皆さん、ありがとうございました。