窓ヶ山 〜腹ごなしには山に登るべし〜


 

【広島市佐伯区 平成15年1月13日(月)】
 
 仲間内での正月休み最終企画「窓ヶ山で日の出を見て豚汁を食おう」が大雪で頓挫したのは先週のこと。
 いつまでも挫折を引きずったままではいられません。さっそく次の企画です。
 
 集合は午前9時。広島市立大学の上にある西風東(せいふうひがし)公園です。市立大学は丸山という山の中腹に造成された大学で、そのさらに上段にある公園なのでかなり高い位置にあります。したがって眺めは最高。

 中央にクレーターのようなビッグアーチが。手前は市立大学

 ここは広島の市街地から山をひとつ越えたところにあるニュータウンで、大規模団地がいくつも点在し、その間を大学などのアカデミックゾーンやビッグアーチを中心としたスポーツ公園がつないでいます。今しきりにテレビで宣伝しています。

 日陰には雪も残っているほどの気温で、しかも朝なので、空気はピンっと張りつめています。
 ちょうど山の端から陽が登ったところで、この調子で風さえ吹かなければ少しは暖かくなるかも。

 寄せ鍋  雑炊  焼き餅(お汁粉用)

 
 朝早く、しかも造成地のどん詰まりにある公園に訪れる人はまばらです。まれに犬を連れて散歩している人がやってきましたが、このシチュエーションのばかばかしさに、ちいさな驚きと嘲笑を表情に浮かべ、そして何も見なかったかのように立ち去るのでした。
 たしかに一滴の酒をも飲むことなく、早朝から公園で鍋をつついている集団なんてそうはいません。(たぶん)
 
 
 さあ、腹もくちくなったところで、腹ごなしに山にでも登ろうかということになりました。
 目指すは窓ヶ山(最初の写真の▼マークの山)です。そうと決まると撤収の早いこと。きれいに跡形もなく去るのがプロの技です。もちろんゴミはすべて持ち帰り。焚き火で汚すなんてもってのほかです(ガスコンロ使用)。
 


 
 窓ヶ山へは奥畑川(太田川の支流の支流の支流)をさかのぼったところまで車で行って、そこから歩くのがお手軽です。でも今日は道が凍結していたので途中に車を置いて歩き始めました。

 ウラジロノキ

 登山道にはあちこちに先週の雪が残っています。
 ウラジロノキに気の早い若葉を発見しました。軟毛をまとっているとはいえ、これからが寒の本番なのに。

 頂上近くにある大岩からの眺めは最高!
 狭い広島のデルタを埋め尽くし周辺の山々を飲み込みながら浸食を進めていく新興住宅街がパノラマのように見えます。それにしても足がすくむほどの高さです。

 アイスデザート

 背の高いTさんがおもむろに雪をすくいはじめました。そして持参の銀紙カップに盛って、これまた持参のチューブ入りの練乳をかけています。それを見るなりめいめいが「シャシャンボの手作りジャムがある。」、「リンゴをスライスしようか。」、「リッツはどう?」などと、まるで示し合わせたかのように食材を繰り出して、あっという間に美味しそうなアイスデザートができあがりました。
 仕事でもこれくらい段取りがよければいいんですが…。

 西峰

 窓ヶ山は双耳峰、いわゆる「ツインピークス」です。
 三角点は西峰にありますが、今日は東峰で折り返すことにします。

 下山途中に、山仕事をする地元の方に出会いました。この山の登山道を整備されているのです。雨水が登山道を伝って山肌を削らないよう誘水溝を掘ったり、足を滑らさないよう落ち葉を熊手で掻いてくれていたりと、年輩の方にとってはいずれも重労働だと思われました。この山を愛する気持ちが伝わってくるようです。背の高くない方のTさんがお礼を言うと、「また来てください」との言葉をいただきました。
 お言葉に甘えて、春にはイワカガミを見に来たいと思います。