北本自然観察公園 〜懐かしい観察フィールド〜
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【埼玉県 北本市 令和元年5月19日(日)】
まだ5月ですが早くも各地で真夏日との予報が出始めています。一月前には戻り寒波がどうのと言っていたと考えると、気候の変化が急すぎです。
さて、野山はもう夏の様相になってたりしないでしょうか。新しいドリーム号の慣らし運転を兼ねて、北本自然観察公園に行ってみることにしました。ここは8年前に定点観察のフィールドとして1年間通ったところです。
北本自然観察公園は、埼玉県の北本市の荒川河川敷に隣接する公園で、湿地や丘陵など里地里山の自然を楽しめるところです。「埼玉県生態系保護協会」という堅そうな公益財団法人が運営管理していますが、自然への理解や興味が深まるようソフト面でもよく工夫された、何度来ても飽きない公園です。yamanekoの好きな公園の一つです。
エントランス |
午後1時45分、駐車場に車を停めて園内へ。この橋は谷戸の湿地をまたぐもので、エントランスの役割をしています。
自然学習センター |
そのまま進んでいくと自然学習センターが現れます。この公園の中核的な施設で、レクチャールームや様々な展示物があります。また、園内のリアルタイムな情報(ツバメが飛び始めたとかエゴノキの花が咲き始めたとか)も提供されています。
今日はこれまで訪れたときと同じように定例自然観察会に参加します。毎週土日の14時から1時間、園内を散策してその時期折々の自然を紹介するというイベント。当日申し込みなので、気楽に参加できます。
ガマズミ |
定刻となり、観察会スタートです。参加者は子供から高齢者まで15人ほどです。まずはセンター周辺から。
これはガマズミの花です。この時期、木に咲く花には白い色のものが多く見られます。他にセンター周りには、スイカズラ、ノイバラなどの白い花も。
イボタノキ |
このイボタノキもこの時期を代表する白い花です。この木にはイボタロウムシという虫が寄生し、その虫が分泌する蝋物質を「いぼた蝋」といい、昔はそれでロウソクを作ったのだそうです。で、けっきょっくイボタって何だ?
ところで「蝋」という字は虫偏なんですね。ロウにはハゼとかヌルデとか植物由来のものというイメージがありましたが、虫が関与して作られるものがメジャーだったということでしょうか。
クララ |
クララの蕾。マメ科の植物で、マメに限らずどこを口にしても苦すぎてクラクラするから、眩草と書いてクララです。でも、試しに噛んでみようとかは厳禁。全草で毒性が強く、死に至ることもあるそうです。
キアゲハ(蛹) |
センターを離れて園入り口の橋のところにやってきました。これはキアゲハの蛹。ウマノスズクサ(写真の葉の植物)の支柱についていました。ウマノスズクサはジャコウアゲハの食草ですが、まだ蛹になる時期ではなく、よく見ると葉に小さな(1mmくらい)赤い卵がポツンと付いている状態でした。以前、まさにここのウマノスズクサにジャコウアゲハの蛹が架かっているのを見たことがあります。
ベニカナメモチ |
来た道を戻って、センターの裏手に回ります。これはベニカナメモチの花。レッドロビンとも呼ばれていて、生け垣に使われているのをよく見かけます。でも、こんな花を付けることは知りませんでした。名前に「モチ」が付きますが、モチノキ科ではなくバラ科です。一つ一つの花をよく見ると、同じバラ科のカマツカのそれとよく似ています。
オオヨシキリ |
「高尾の池」に出ました。ここは荒川河川敷から丘に向かって切れ込んでいる谷戸の中にあります。池の東側(谷戸の奥側)は葦原になっていて、この日はオオヨシキリが賑やかなだみ声で鳴いていました。縄張りを主張しているのでしょうね。
ウキヤガラ |
これは湿地に生えるウキヤガラ。漢字では「浮矢柄」と書きます。冬枯れて水面に浮く茎を矢柄(矢の棒の部分)に見立てたネーミングだそうです。写真は開花している状態ですね。茎には明確な三稜があります。
コウホネ |
水面がある程度開けたところにはコウホネも生えていました。見ての通りスイレンの仲間ですが、花冠はずいぶんと小さく、ゴルフボールほどしかありません。それでも暗い水面をバックに鮮やかな黄色がよく映えています。
対岸の丘の縁を歩いていきます。木立で日差しが遮られ、気持ちのいい散策です。
チョウジソウ |
涼しそうな色合いのこの花はチョウジソウ。漢字で書くと「丁字草」となり、この花を横から見ると確かに「丁」に字に似た形をしています。yamaneko家のプランターには種から育てたチョウジソウがこの時期満開です。
テイカカズラ |
このスクリューみたいな花はテイカカズラ。立木に絡んで高く登ることが多く、この花も地上10mくらいのところに咲いていました。
ウグイスカグラ |
視線を下ろすとウグイスカグラの赤い実。ほのかに甘く、子供の頃遊びの途中で口にしていたりしました。ここのは公園内なのでもちろん試食不可。
コアジサイ |
これはコアジサイですね。アジサイといえば花序が装飾花のみの派手な姿を思い起こしますが、コアジサイは逆に両性花のみなので全体的に派手さはありません。でも、清楚な印象にむしろファンは多いと思います。
エゴノキ |
エゴノキ の花は見上げる位置に付きます。そろそろ盛りの時期を過ぎる頃で、すでに散りきってしまった株も見られましたが、この株はまだ盛大に咲いていました。
エゴツルクビオトシブミ |
そのエゴノキの葉にぶら下がるのはエゴツルクビオトシブミの揺籃。エゴノキの葉を器用に丸めたもので、この中に卵が産みつけられています。揺籃は切り落とさないので、風に揺られてまさにゆりかごです。
閉会 |
午後3時、まったりとした観察会も終了の時刻です。あっという間でした。ここの観察会は本当に気軽に参加でき、内容も学術的な解説に終始しないところなど、yamanekoの理想とする観察会に近いです。
いずれ自分のフィールドでもこんな観察会をしてみたいと思います。
ところで、この公園に隣接して北里大学のメディカルセンターがあり、以前はそこの食堂で昼食を取ってから公園に行くのを常としていましたが、今回行ってみたらなんと休日はお休みになっていました。休日は外来の来訪者が極端に減るんでしょうね。かろうじて売店が営業していたので、おにぎりを買って昼食にしました。
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