北本自然観察公園 〜荒川河川敷、冬の午後〜


 

【埼玉県 北本市 平成27年12月20日(日)】
 
 9月から月イチで過去に定点観察をしていたフィールドを再訪しています。9月は三鷹市の野川公園、10月は川崎市の生田緑地、11月は市川市の大町自然観察園ときて、今月は北本市の北本自然観察公園です。
 北本自然観察公園は、荒川の河川敷と丘陵地が接するところ、小さな谷戸に立地する観察公園。小春日和の休日をのんびり過ごすのにはちょうどよいところです。
 
                       
 
 ここで定点観察をしていたのは平成23年。当時は新宿に住んでいたので、首都高5号線から埼玉大宮線を通って国道17号バイパスを北上するルートで通っていましたが、今では圏央道一本です。

 公園入口

 午後1時過ぎ、駐車場に車を入れ、道を隔てて反対側にある公園に入ります。入口からすぐに谷戸を渡る橋があり、それを渡ると自然学習センター。まずはそこに向かいますが…。 

 ニワウルシ

 枝先に白いものをたくさん付けた高木が目についたので、ちょっと寄り道。
 これはニワウルシの翼果。薄いフィルム状の翼の中に種子が挟まれていて、この翼の両端がスクリュー状にねじれているので、枝から離れると横ロールしながらゆっくりと落ちていくという、目撃すると「おぉー」と声が出るくらい面白い植物です。回転することにより落下速度が大幅に遅くなり、結果遠くまで運ばれるという戦略でしょうね。

 いきもの講座

 ここでは毎週土日の午後2時から1時間ほどの定例観察会をしているので、いつもそれに参加していました。今回はその前に30分間、月イチの「いきもの講座」もあるということなので、それにも参加してみることにしました。テーマは「お正月にまつわる生き物」だそうです。
 「生き物」と言いつつも内容的には植物のみで、おめでたい植物(センリョウやマンリョウなど)についての話やミニゲームなどでした。

 2時になり、定例観察会が始まりました。自然学習センターの周囲をゆっくりと巡っていきます。

 ユズリハ

 このユズリハもおめでたい植物。新しい葉が生えてから古い葉が落ちることから、(家が)途絶えることなく代々繋がっていくという意味に掛けているのだそうです。地域によってはこの葉をお供え餅の三方に飾ったりしますよね。

 丘の上に上がってヒサカキとサカキの違いをレクチャー。サカキ(榊)は神前に奉じたりしますが、ヒサカキは特にそのようなことはないようです。むしろyamanekoの故郷ではお墓に供えることがあります。

 クワの木。桑畑では葉を収穫しやすいように木の丈を低く剪定してありますが、野山で奔放に育ったものはこんなに高くなるんですね。

 ムクロジ

 見上げるような高い木の先端に黄色い実が。これはムクロジ。実は中が空洞になっていて、黒く丸い種子が中でコロコロしています。この種子は昔、羽根突きの羽根の先端部に用いたそうです。

 ペットボトルの中に水とムクロジの実を入れてシャカシャカ振ると、あら不思議。ペットボトルの中が泡だらけになりました。果肉に石鹸の成分が含まれているからです。

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 レクチャーとは別に面白そうなものにはつい目が行ってしまいます。これは一瞬干し柿のよう見えましたが、よく見ると昆虫のサナギのようです。何らかの理由で羽化する前に死んでしまったようで、飴色の外殻が一部壊れています。

 ナンテン

 ナンテンも「難を転ずる」という語呂合わせもあるので、どっちかというと縁起の良い方でしょう。

 ジャノヒゲ

 おめでたい植物には赤い実が定番ですが、足元にはこんな青い実も。ジャノヒゲの実です。

 この写真、荒川河川敷の雰囲気をよく醸しています。ザーッとアシ原を揺らして通り過ぎる風の音が冬の午後のものでした。

 1時間はあっという間。観察会を終えて自然学習センターに戻ってきました。この竹筒は蜂を呼ぶためのもの。こういった筒を巣として利用するハチがいるそうです。

 アオジ

 午後3時、センター前で解散。やっぱり解説付きで自然観察をするのは楽しいです。自分では気がつかないものに気づかせてもらえますし。
 
 夕方も近くなりだんだん冷えてきたので、自主観察会はやめておとなしく家路につくことにしました。このアオジは駐車場に行くまでの谷戸原で見かけたもの。日陰で一心不乱に餌を探していました。鳥は寒くないんですかね。