小山内裏公園 〜秋のきのこウォッチング〜


 

【東京都 町田市 平成29年10月8日(日)】
 
 都立小山内裏公園。多摩丘陵西部にある都立公園で、yamanekoが日常的に観察フィールドとしている里山です。今日は、ここのイベント「キノコウォッチング」に参加してみました。
 
                       
 
 都立公園は都内に70箇所近くあり、都心部にある上野恩賜公園など大きな公園がメジャーです。一方、多摩地区にあるものは自然度が高く、中にはほぼ自然の山みたいなところもあったります。
 小山内裏公園はというと、多摩丘陵の主稜線に位置する尾根と谷戸とで構成されていて、長く大型開発を免れてきたこともあり、里山の面影を色濃く残しています。面積は東京ドーム10個分(46万u)で、その多くの部分がサンクチュアリとして保護されています。なお、都立公園の分類上「総合公園」と位置づけられていて、園内にはバーベキュー広場や芝生広場、ドッグランなどもあって、都市公園的な要素も含まれています。(マップはこちら
 
 午前10時にイベント開始。まずパークセンターのホールでオリエンテーションがあり、その後30人あまりの参加者が2つのグループに分かれてフィールドに出て行きます。公園の西側半分を反時計回りに歩くコースで観察し、再びパークセンターに戻ってきて、最後に座学を受けるというプログラムです。

 カニノツメ

 まずは鮎道に向かう途中、芝生広場の西斜面に立ち寄りました。落ち葉からいくつものキノコが顔を出しています。
 カニノツメはキノコっぽくない姿をしていますね。先端が朱色に色付いているところがカニの爪に少し似ています。灰褐色の粘液はクレバと呼ばれるもので、ここに胞子があります。強い悪臭で虫を呼ぶとのこと。

 シロツチガキ

 すぐ近くに何かが破裂したみたいな変なものが。これもキノコ。シロツチガキというツチグリの仲間だそうです。

 スッポンタケ

 マフィンのようなもの(写真上)はスッポンタケの幼菌で、二つに切ったらこんな感じ。中央の白い部分がスッポンの頭のよう伸びて、高さ20cmくらいになります。

 ハリガネオチバタケ

 ハリガネオチバタケ。軸が針金のように細いから付いた名前でしょうか。落ち葉を分解するキノコだそうです。なんか童話の挿絵に出てくるような姿をしていますね。

 ツバアブラシメジ?

 鮎道を歩きます。
 このキノコ、名前は聞いたのですが、メモし忘れました。図鑑で調べるとツバアブラシメジのようではあるのですが。

 サクラタケ?

 こちらも同様。サクラタケか?

 クロホコリタケの仲間

 クロホコリタケの仲間だそうです。丸い部分をトントンとつつくと、先端の小さな孔からポッ、ポッとホコリのような胞子が飛び出します。

 ヤブレベニタケ

 ヤブレベニタケ。ずいぶん派手に破れていますね。可食で、後味がやや辛いのだとか。どの分野にもチャレンジャーがいるんですね。講師の方は、キノコの種の同定方法として「食べてみる」ということを特に否定はされていなくて、むしろ有効な手法と解説していました。これは研究者の中でも常識のようでした。きっと摂取する量が問題なんでしょうね。

 ズキンタケ

 ゼラチンのような肉質のズキンタケ。「頭巾」ということだと思うのですが、頭巾には見えませんね。

 オオミノコフキタケ

 低山で見られるサルノコシカケの代表格、オオミノコフキタケだそうです。白い部分の上に重なっている部分は硬く、3層になっていました。

 キヒダマツシメジ

 講師の方はキヒダマツシメジと名前を書かれましたが、帰って図鑑を見てみても、似ても似つかない写真しか載っていませんでした。写真のものはかなり朽ちかけといった時期なのか。

 エゴノキタケ

 コバンザメの小判のようなエゴノキタケ。名前のとおりエゴノキの枝にくっついていました。ちょうど傘の裏側が見えている状態です。

 エリマキツチガキ

 ツチグリの仲間、エリマキツチガキ。確かに襟巻きのようなものが付いています。

 キショウゲンジ

 このキショウゲンジというキノコ。本来は標高の高いところに生えるものだそうですが、なぜか毎年小山内裏公園で見られるのだそうです。多摩丘陵でも他では見られないのだとか。

 ベッコウタケ

 ベッコウタケは桜の木に生えて木を弱らせる性質があるのだとか。なんだか汚いせんべいのような感じですね。これも図鑑の写真とは大きくかけ離れた姿をしていました。

 サンコタケ

 最初に出てきたカニの爪に近い仲間、サンコタケ。サンコとは密教などで用いられる法具「三鈷杵(さんこしょ)」のことで、これに形が似ているから命名されたもの。写真のものはしな垂れていて、三鈷杵を連想しにくいです。ちなみに三鈷所はインド神話上の武器「金剛杵」の一種で、グリップ部分の両端に爪のような刃が3つずつ付いているものだそうです。

 アイバカラハツモドキ

 講師も若干テンションが上がったこのキノコ。アイバカラハツモドキというのだそうで、おそらく市販のどの図鑑にもまだ掲載されていないだろうとのことでした。



 途中で持参の弁当を広げ、青空の下でランチタイム。のんびりです。
 その後、パークセンターに戻って、キノコの生活史や分類方法などについて学習。なかなか充実した一日になりました。