河津七滝 〜超マイナスイオンの世界〜


 

【静岡県 河津町 平成21年7月26日(日)】
 
 関東地方は14日に早々と梅雨明け宣言をしてしまいましたが、その後はもっぱらぐずついた天気の日ばかり。海の日の3連休もグズグズの空模様でした。都心は蒸し暑くて、巨大なサウナの中にいるようです。
 こんなときにはどっか涼しいところでゆっくりしたい。ということで、伊豆半島の山中にある河津七滝に行ってみることにしました。
 
                       
 
 今日もドリーム号は快調です。山手通りから、今、巨大プロジェクト「大橋ジャンクション」で話題の池尻大橋で首都高3号線へ。西に向かって走るとそのまま東名高速に接続しています。神奈川県に入っても南西に向かって走り続け、箱根の山塊を大きく迂回して静岡県へ。沼津ICで高速を下りて、あとは南下して伊豆の山の中に分け入ります。
 伊豆半島は、遙かむかしに南洋上に生まれ、フィリピン海プレートに乗って北上し日本列島に衝突。そのまま半島として陸続きになったと考えられています。プレートは今も北上し続けているので、列島には相当なプレッシャーがかかり続けているのだと思います。その力が箱根火山を造り、富士山を造ったのですから、これから新しい山ができても不思議はありません(生きているうちはムリかもしれませんが。)。

 町営駐車場

 ♪あなたと〜ぉ越えたい〜、と鼻歌を歌いながら天城峠を越えてしばらく行くと、音戸大橋のようなループが現れ一気に高度を下げました。その先の分岐を左折して、500mほどいくと河津七滝近くの町営駐車場。まだ時間が早いのか、数台しか停まっていませんでした。


Kashmir 3D

 河津七滝は、河津川の上流部の約1.5qの間に点在する7つの滝で、「七滝」は「ななだる」と発音します。それぞれの滝の名前も「釜滝(かまだる)」、「蛇滝(へびだる)」といった具合です。
 ここへは15年以上も前に来たことがありますが、当時のことはすっかり忘れてしまっています。どんなだったかなぁ? まずは上流側にある5つの滝を目指して歩いていきましょう。 

 遊歩道

 しっかりした遊歩道が設置されています。でもこれは途中の初景滝まで。そこから先は山道です。

 かに滝

 川沿いの遊歩道を歩いていくと、まず現れたのは「かに滝」。落差2m、幅1m、奥行きは15mほどです。遊歩道は蒸し暑かったですが、わずか数m下りて滝の近くに行くと、霧状の飛沫に包まれてひんやり。明らかに気温が違います。ここ数日間、雨が多かったからか、河津川はすごい水量。ドドドーッて生やさしいものではなく、ドガドガドガッて感じで流れ落ちています。

 ホタルブクロ

 遊歩道に戻ります。
 薄暗い藪の入口に白く浮かび上がっているのはホタルブクロ。よく似たのにヤマホタルブクロというのがありますが、萼片の形で見分けられます。花を下からのぞき込んでみると、先端が3つに分かれた雌しべが突き出していて、出番を終えた雄しべがずっと奥の方縮こまっています。ホタルブクロは雄しべが熟して花粉を出し、その後に雌しべが伸びる「雄性先熟型」。自家受粉を避ける工夫ですね。

 水しぶき

 遊歩道の脇を流れる河津川はすごい勢いで流れています。比較的平坦な流れのあちこちでミニ滝の水しぶきが上がっていました。

 ユキノシタ

 いつ見てもペーパークラフトとしか思えないユキノシタの花。小さな花ゆえ道行く人は誰一人として振り向きませんが、この花の大きさが10pくらいあったらきっと反応も違ったでしょうね。

 初景滝

 初景滝です。落差10m、幅7m。轟音が聞こえてきそうですね。「初景」とは、この地で修行していた行者の名前だそうです。
 遊歩道はここまで。パンプスとかを履いている人はここで引き返した方が良いでしょう。ここからは普通の登山道ですから。

 柱状節理

 一度見たら忘れられない玄武岩の柱状節理。河津七滝のどこででもお目にかかれます。

 カタツムリ

 滝の周囲は飛沫でしっとり濡れていて、カタツムリには天国。シダも生き生きとしています。

 山道へ

 初景滝で一休みしてから更に上流の滝を目指します。滝から離れると急にムッとした暑さに包まれました。

 蛇滝

 細い山道を足元に注意しながら歩いていくと、やがて蛇滝に到着。落差3m、幅2m。ここの水勢も半端ないです。ひんやりとした空気の中にしばらくいると肌寒く感じるほど。この体感気温の違いは何だ。

 次の滝へ

 川面に近づくとひんやりし、離れると蒸し暑く、河津川を横に見ながらアップダウンの小径を歩いていきます。

 えび滝

 次に現れたのは「えび滝」。高さ5m、幅3m。名前の由来は滝の姿がエビのシッポに似ているからだとか。

 釜滝

 河津七滝のうち最も上流にある釜滝までやってきました。高さ22mと、これまでの滝とはワンランク大きさが違います。滝の手前が広いホール状になっていて、そこが細かなミストで充満していました。
 滝壺からは下流に向けてS字状に流れています。これは何万年もかけて釜滝が後退していった軌跡。今日のような水の勢いだと、たとえ岩盤であろうとも浸食されていくのもうなずけるような気がします。

 タマアジサイ

 釜滝で一休みしてから来た道を戻り、スタート地点へ。残る2つの滝を巡ります。
 タマアジサイの開花前の花序。ピンポン球を一回り大きくしたくらいの大きさです。どの株も花はまだでした。

 急降下

 次は出合滝に向かいます。下の方からゴーゴーという音が聞こえてきます。

 出合滝

 6つ目の滝、出合滝です。高さ2m、幅2m。右手から流れる河津川に左手から萩ノ入川が合流してきてできた滝です。今日は河津川の方の水位が高くて、落差が目立ちませんね。

 トケイソウ

 出合滝からいったん道路まで上がって、ちょっと南に移動してから、また川辺に下りていきます。
 民家の垣根に咲いていたトケイソウ。トロピカルな雰囲気です。

 大滝

 最後は七滝で最も大きい大滝です。高さ30m、幅7m。圧倒的な迫力で、ドウドウという太い音が腹に響きます。この滝の前も大きなホール状になっていて、飛沫でしっとりとした大気に覆われていました。全身をその中に置いていると、不思議な空間にいるようでした。

 イワタバコ

 大滝からずいぶん(30mくらい)離れているのにその飛沫で濡れているイワタバコ。残念ながら崖の上からの眺めなので、後ろ姿のみです。

 夏空

 約3時間かけてゆっくりと巡った河津七滝。今日は水量が豊富で、ちょっと畏怖の念を抱かせるような印象でしたが、水のもつやすらぎの魅力も感じました。大部分が水でできている人間が、巨大な水の生き物のような滝に惹かれていくのも何となく分かります。
 心身ともにすっかりリフレッシュしたので、あとはちょっと遅めの昼食をとって、温泉に浸かって帰ろうと思います。
 (帰りの東名は激しく渋滞していました。(苦))


 河津七滝。雰囲気だけでもどうぞ(落差30mでこの落下速度です。)