葛西臨海公園 〜人気お出かけスポットで探鳥〜


 

【東京都 江戸川区 令和5年2月18日(土)】
 
 寒かったり暖かかったりが交互にやって来て、このところ天気予報の気温グラフはジェットコースターのようになっています。
 そんな中にあってこの週末は暖かいそう。ならば出かけようということになり、バードウオッチングに行くことにしました。鳥を見るには木々が葉を落としている今の時期が最適なのです。
 
                       
 
 初めは昔よく行っていた羽田の東京港野鳥公園に行って見ようと思っていましたが、調べてみると葛西臨海公園にもバードウオッチングエリアがあるということが分かり、そちらに決めました。まだ行ったことがなかったので。
 

 葛西臨海公園駅

 電車で京王線、都営新宿線、有楽町線、京葉線と乗り継いで、やって来ました葛西臨海公園駅。名前が示すとおり、葛西臨海公園の入口に直結しています。所要時間は1時間40分ほどでした。



 駅前の噴水。この向こう側が公園の正面入口になっていて、そこから海に向かって真っ直ぐメインストリートが伸びています。ここから渚までは500mほど。結構ありますね。
 公園自体は24時間開放で入園無料。広大な芝生の広場が何か所もあって、日がな一日のんびりと過ごすこともできるし、この公園のシンボル的な大観覧車や水族館を目当てに訪れる人もたくさんいます。(葛西臨海公園のサイト参照)

 クロガネモチ

 バードウオッチングエリアは園の東側にあり「鳥類園」と名付けられていました。広さ的には園全体の3分の1くらいを占めています。この公園の来訪者の大部分はこのエリアには来ないので、鳥類園に向かう道は閑散としていました。
 道の脇の植物にも興味をそそられます。この赤い実はクロガネモチ。実の付きが良いようです。

 サンシュユ

 これはサンシュユの蕾ですね。もうじき咲きそうです。わが家の鉢植えのサンシュユも今こんな感じです。

 ビワ

 園内に入っても人影はまばら。静かなので鳥の観察にはちょうど良いです。
 これはビワの若い実。花は晩秋から初冬にかけて咲きます。

 ネズミモチ

 紫黒色の実を付けているのはネズミモチです。この実がネズミの糞に似ているからというネーミング。変わったセンスですね。「モチ」は葉がモチノキの葉に似ているからだそう。でも葉の付き方が違っていて、モチノキは互生、ネズミモチは対生なので、よく見ると見分けが付くというわけです。ちなみに、モチノキはモチノキ科、ネズミモチはモクセイ科で、科が異なるほどの遠い関係です。ちなみに、さっき見たクロガネモチがモチノキ科です。

 イヌビワ

 これはイヌビワの実。ビワというよりもイチジクの実の方に似ています。それもそのはず、イヌビワはクワ科イチジク属ですが、ビワはバラ科ビワ属だそう。何でイヌイチジクとしなかったのか?
 果実にも雄雌があるそうで、写真のものは雄果嚢。柄が長いのが雄の特徴なのだそうです。ちなみに固くて食べられないとか(雌果嚢は可食)。

 アカバナマンサク

 アカバナマンサクが綺麗に咲いていました。母種は花弁が黄色のマルバマンサクで、、その赤バージョンというわけです(種としては同一ということ)。シワシワですが枯れているわけではありません。

 イスノキ

 これは何の実?いや実ではなく、イスノキの葉に付く虫こぶです。大きくなると写真のもののように穴が空き、口に当てて笛を吹くことができます。材は植物の中でも固く重い方で、家具とかに利用されたのだそうです。これで椅子でも作ったからイスノキなのかと思いきや、漢字では「柞」と書き、この字の読みは「ゆす」なので、ユスノキから転化したのではないかというとこです。(諸説あり)

 紅梅

ウメです。青空に向かって真っ直ぐに伸びてますね。
ちなみにここは埋め立て地なので、基本樹木はみんな植栽だと思います。鳥が種子を運んで来たものを除いて。

 ソシンロウバイ

 鳥を観に来たのに、ここまで鳥が一切出てきていませんが、大丈夫でしょうか。
 ソシンロウバイも見頃ですね。花弁が透き通るようで、きれいです。香りも甘く、離れていてもすぐにその存在が分かります。

 鉄の鳥

 鳥がいないので鉄の巨鳥でも。すぐ近くにある羽田空港を飛び立ったものです。

 オウバイ

 これはオウバイ。時々生垣で見かけます。漢字では「黄梅」と書きますが、ウメではなく、モクセイの仲間です。花の形も高杯型。花弁も6個あり、逆にどの辺がウメなのかといったところ。

 アオサギ

 バードサンクチュアリ内には「上の池」と「下の池」があり、園路はその周囲を8の字のように巡っています。観察用の小窓から上の池を覗いてみると、いました、アオサギです。大型のサギで、どこででも見かけますが、30年くらい前までは関東では珍しい鳥だったそうです。半夜行性で昼間はこんなふうに休憩しています。厳しい環境でも生きていける鳥で、標高3千mくらいの高地でも暮らしていけるのだとか。

 シジュウカラ

 これはシジュウカラ。アシ原 のへりで鳴いていましたが、巣作りでもしてるのか? 首下の黒い帯が太いので、オスですね。

 トベラ

 園路を進みます。トベラの実が熟して開裂していました。沿岸部に生きる植物は、葉が厚く表面に光沢があるものが多いです。日差しにも潮風にも負けないぞという意思表示のように感じます。

 キリ

 これはキリですね。こんな海っぺりでも育つんですね。なんとなく山里に生える木というイメージを持っていました。さっき見たイスノキは材が重い方でしたが、こちらのキリは日本の樹種の中で最も軽いのだそうです。その上、材に狂いが少ないので箪笥や金庫の内張りなどに使われています。そういえば家に娘が生まれたらキリを植え、嫁入りのときの婚礼家具をその木で作るようにしたという話を聞いたことがあります(実話だろうか?)。

 センダン

 こっちはセンダン。何だろう、この脈略のなさは、たまたま鳥が種を運んで来たものが育っているということなのか?
 このセンダンも、下駄や家具などに用いられているそうです。

 上の池

 ウォッチングセンターまでやって来ました。上の池がよく見えます。人は立ち入らない鳥たちの楽園です。

 カワウ

 カワウが羽を乾かしていました。カワウは潜水して餌の魚を捕るので、どきどきこうやって羽を乾かすのだそうです。

 ヒドリガモ

 ヒドリガモもいました。鳴き声はキューピー人形のお腹を押した時に出る音に酷似しています。

 ムクドリ

 数羽で枝に飛来してきたのはムクドリ。名前は「群れる鳥」から。耕された畑に降り立ち、しきりにジメンをほじくっているのをよく見かけます。ムクドリを寄せ付けたくないなら畑にクサヲ生やしておけばいいという話を聞いたことがあります。

 ウォッチングセンター

 ウォッチングセンター。工事中だったので、中には入れませんでした。

 モズ

 モズです。枝と地面とを行き来していました。餌を捕るときの行動です。
 ここに来て立て続けに鳥と遭遇できています。バードウォッチングらしくなってきました。



 海辺に出てみました。長閑な波打ち際ですな。左手の陸地は例の夢の国です。

 カンムリカイツブリ

 カンムリカイツブリが波間に漂い、時おり潜って餌を捕っていました。名前のとおり頭に冠を被っています。海よりもどちらかというと淡水を好む鳥のようです。

 下の池

 再び園路を巡り、今度は下の池のほとりを歩きます。



 白砂青松。なんか子供の頃に家族で海水浴に来た浜を思い出しました。もう少し暖かければ、木陰にシートを敷いて弁当を食べたいくらいです。

 カシワ

 これはカシワですね。枯れた葉が枝にたくさん残るのがカシワの特徴。この姿から昔から神が宿る木として神聖視されたそうです。英語ではジャパニーズ・エンペラー・オークだとか。コナラやミズナラと自然交配し、雑種を作りやすいのだそうです。



 静かな園路。のんびりとした休日です。

 アオジ

 アオジです。一瞬スズメかなと見間違ったりしますが、お腹の部分一帯が明るい緑色をしているので、それと分かります。10月の末に里に下りてきて、4月初めに山に帰る鳥です。

 スズメ

 そしてこっちが本物のスズメ。ほっぺたの黒い斑紋が可愛いです。スズメの「スズ」は笹のこと、「メ」は小さくて群れる鳥のことだそう。そういう環境で生息していたということでしょうね。近年、スズメが少なくなったとの話を聞いたことがありますが、繁殖地の環境が壊されつつあるのでしょうか。

 ヤツデ

 ヤツデはいつ見ても力強い姿をしています。その大きな葉、歌舞伎役者が見栄を切っているようにも見えます。

 果実

 これは若い果実。4月から5月には熟して黒褐色になります。



 遠くに観覧車が見えてきました。そろそろ園路も終点です。池の周りをぐるっと一周して戻って来たことになります。
 時刻は12時20分。バードウォッチングは切り上げて昼食にします。

 キッチンカー

 昼食は園内のレストランと考えていたのですが、かなり混んでいたのでキッチンカーのホットドッグにしました。天気もいいですし、ベンチで食べることにしました(そのあと別の売店で焼きそばとたこ焼きも買ってしまいました。)。

 葛西海浜公園

 食後、海辺に向かい、橋を渡って葛西海浜公園へ。正しくはここは葛西臨海公園とは別の公園になるのですが、みんなあまり意識していないと思います。遠くにお台場エリアのビル群が見えていますね。
 
 今日は早春の海辺をのんびりと散策しました。鳥はそう多くは見られませんでしたが、yamanekoとしては十分に羽を伸ばすことができました。そして、春もそう遠くはないと感じられる一日でした。