小佐木島 〜瀬戸の小島で定例観察会〜


 

【広島県三原市 平成14年9月22日(日)】
 
 9月の定例観察会は県東部、三原市の小佐木島が舞台です。
 広島自然観察会の石丸センセ(三原市在住。通称「ダジャレのおじちゃん」)をメイン指導員として、小佐木島の自然や歴史を学びました。
 今回は、観察会の運営に三原市職員の有志7人で作った自主研究グループ「くるみはら発見隊」の皆さんの強力なサポートがありました。数回にわたる事前の下見、地元の協力の取り付けや渡船の手配、心のこもった資料の準備など、その熱意には頭の下がる想いです。

 「くるみはら発見隊」の皆さん

 今日は、浜辺での観察もあるので、潮の具合にあわせて正午スタートとなりました。
 小佐木港で開会です。夕方までに島をほぼ1週する予定。小佐木島は、昨日行った大久野島よりさらに小さく、周囲3qあまり。島の裏側にいても15分あれば港に戻ってこれるそうです。でも、ここはちゃんと人の住む島で、昔は造船(木造船が主でしょう。)で栄えたそうです。

 ニラの花

 民家の脇にはニラの花が咲いていました。
 古事記には「加美良」(かみら)という名で記述されていて、これがなまって「ニラ」になったという説が。
 6弁の白い花はルーペで見てみると立派に美しいですよ。

 穀津神社

 ウバメガシの解説(ダジャレ付き)

 小さな島の森は昔から人の手が入り、長く人々に利用されてきた歴史がありますが、多くの場合社叢には手がつけられることはなく、大木も残っています。
 ここ穀津(たなつ)神社の周りも同様です。
 神社には雌雄異株の樹木が植えられることが多く、雄の木の方が雌の木より本殿に近いところに植えられている例が多いとのこと。
 この神社から、つい先日、杉板に書かれた明治初期の船の設計図が発見されたそうで、これは瀬戸内地域の造船を知る上での貴重な資料だそうです。

 マルバルコウ  クコ

 次は海辺の観察です。
 浜に漂着するゴミは少なくないですが、海水や砂自体はすっごくきれいでした。

 北浦海岸

 ハママツナ、ハマゴウ、ハマボッス… 「ハマ」のつく名の植物の多いこと。

 ハマサジ

 ハマサジは葉がへら状で「さじ」に似ていることからその名がつけられたとのことです。
 
 護岸されない砂浜の果たしてきた海水浄化の役割。自然海岸の重要性。「自然保護」の視点からもしっかりレクチャーがありました。

 小佐木島灯台

 対岸には去年観察会を開催した筆景山を望むことができます。
 間を隔てる瀬戸の流れは速く、決して大げさでなくまるで川のようでした。

 島の南海岸で、NACS−Jが全国展開している「自然しらべ」を行いました。
 @岸のまわりのようす、A水ぎわのようす、B岸のわまりの植物、C水ぎわの動物、Dごみのようす、E水のよごれ。これらについて、所定の基準に照らして点数化し、NACS−Jに登録するのです。
 このようにして全国各地で行われる観察会などで得られたデータは、集約、分析され、NACS−Jのホームページ上で皆さんにフィードバックされます。


 盛りだくさんの観察会を終えて、本土を目指します。
 船は島の皆さんが自主運行する「第三豊丸」。軽自動車が3台も乗ればいっぱいいっぱいの大きさです。
 
 けが人もなく観察会は無事終了。
 「くるみはら発見隊」の皆さん、お世話になりました。