深入山 〜雲の中の定例観察会〜


 

【広島県戸河内町 平成14年10月20日(日)】
 
 10月の定例観察会は深入山です。
 これで4週連続で戸河内町をうろうろすることになりました。

 開会前

 ご覧のとおり今日は雨模様。でも「あいにくの」なんて言葉は付きません。雨の日でなければ気が付かないこともあるんだから。
 今回のお題は「深入山の二つの竜を探そう。」です。

 スタートは南登山口。中腹から上は雲の中でした。
 深入山の南斜面は草原状です。毎年、早春に山焼きが行われこの景観が保たれています。
 昔はここで牛を放牧するために山焼きをしていたとのことですが、今では純粋に観光目的だそうです。

 滑りやすい登山道

 登山道脇には、ウメバチソウ、シラヤマギク、ツシマママコナなどが。ヤマラッキョウの紫色も揺れています。ツリガネニンジン(サイヨウシャジンか?)とかまだ蕾のリンドウとかの紫色も目立ちます。秋の花に紫色の占める割合は多いのだそうです。

 ムラサキセンブリ

 ムラサキセンブリもその名のとおり紫色。ふつうの白いセンブリよりも苦みが弱いです。
 さて、センブリの名の由来は?

 ほどなく雲の中に入っていきました。視界は10mくらい。

 興味深いものを見つけました。
 登山道にグレーの鳥の羽が50p四方くらいの範囲に散乱していました。羽はいずれも長さ3p程度。どうも何者かに襲われたようです。血の色もまだ新しく、おそらく今朝方の事件でしょう。
 羽の色や嘴の形からするとヒヨドリのようです。でも、おかしなことに骨は落ちていませんでした。じゃまになる嘴だけを取り除いてあとは丸飲みしたのでしょうか。犯人(?)はワシタカではなく獣なのかも。

 登山道には平べったいがれきのような石がたくさん散らばっていました。
 安山岩が板状節理にそって崩壊してはがれ落ちたものでしょう。安山岩は火成岩の一種。溶岩が冷えて固まってできたものです。
 ただ、花崗岩のように地下深くでゆっくり固まったものでもなく、また、玄武岩のように地表に噴出して急激に固まったものでもなく、その中間的なでき方なのだそうです。ですから年輩の方は「半深成岩」と習ったそうですが、今の教科書では急に冷えたグループの「火山岩」の方に分類されています(出典:子どもの理科の教科書)。

 リュウノウギク

 頂上で弁当を開きましたが、雲の中で雨もパラパラと。体もだんだん冷えてきました。
 そうそうに終えて、今度は西側の林間コースを下ります。
 下るにつれてブナ、ミズナラ、コナラと続き、ハリギリなどもたくさん生えていました。
 
 予定より1時間早く下山してきました。
 閉会に際して、今日のお題の答え合わせが。二つの竜とは、リンドウ(胆)とリュウノウギク(脳菊)のことだったんですが、ギンリョウソウモドキ(銀草擬)を見つけた人もいて、結局竜は三ついたということになりました。
 
 雨の深入山のふところに入って、いつのまにか深くなってきている秋をあらためて感じた一日でした。