鏡山 〜シライトソウを見に行こう〜


 

【広島県東広島市 平成15年5月18日(日)】
 
 東広島市は広島市の東にあります。(あたりまえか。)
 ここは昔からの酒どころで、数年前、政府の一極集中是正施策の一環として醸造研究所(今は独立行政法人)が移転してきたほどです。
 それともうひとつ。ここは広島大学の街でもあります。昭和57年に広島市内から工学部が移転してきたのを皮切りに、医学部、歯学部を除く全大学機能が東広島市に移ってきました。その敷地も広いこと。農場を除けば北大よりも広いと聞きました。確か。
 その広島大学の隣りにこんもりとした山があります。これが鏡山。ふもとは鏡山公園として整備されていますが、もともとは戦国時代に城が築かれた歴史のある山です。
 広島大学の住所は「東広島市鏡山」 ひょっとしたら鏡山は広島大学の敷地内にのみ込まれているのかもしれません。
 
 鏡山公園の駐車場にドリーム号を停めて、公園を横切り、山に登り始めます。

 バイカイカリソウ

 まず最初に目についたのはバイカイカリソウ。小さな白い花です。
 この花を撮るときにはいつも下からになるので、背景が明るすぎて難しいのです。

 オオミズアオ

 羽化したばかりのオオミズアオに出会いました。羽の幅が15pほどもある大型の蛾です。葉裏に掴まって羽を乾かしていました。まるで韓国の青磁のような色合いです。

 

 シライトソウ

 おっと、いました。シライトソウ。今日はこの花が目当てだったのです。明るい林の中にすっくと伸びたその姿勢の良さが好きです。

 花序

 シライトソウの花序には軸にたくさんの花が付いていて、それぞれの花には6個の花被片があります。細長いのがその花被片なのですが、おもしろいことに6個のうちの4個だけが細長く伸び、残りの2個はごく短い(1〜2o)のです。とても同じ役割をもった花被片とは思えません。いったいどんな意味があるんだろう?

 エゴノキ

 ふもとの公園や登山道沿いにエゴノキが多く見られました。登山道のものも植栽かもしれません。
 純白の花が風に揺れる様は見ていて心地よいものがあります。

 

 シソバタツナミ

 稜線に出たところにシソバタツナミの群落がありました。2m四方ほどの群落ですが、それでも思わず「おおっ」と声が出てしまいます。
 今がちょうど盛りで、林縁のそこだけが賑やかな空間となっていました。

 ミヤマナルコユリ

 ミヤマナルコユリも姿を見せていました。ナルコユリ、ミヤマナルコユリ、アマドロコ、ホウチャクソウと、ぱっと見よく似た植物があります。このミヤマナルコユリは葉の幅が広いことと、茎に稜があるところが特徴です。

 御殿場

 天守があった御殿場が頂上です。標高335m。高い山ではありませんが西条盆地をぐるりと見渡すことができ、山城を築くにはもってこいの場所です。

 西条の街並み

 東広島市には国立大学あり、高速のインターあり、新幹線駅あり、隣町に飛行場ありで、およそ地方自治体が誘致したいものの全てがそろっています。にもかかわらず今ひとつ活気がないのは、なぜ?


 山を下りてから広島大学の通称「ササユリ谷」に行ってみました。
 たくさんのササユリの株があり、つぼみを付けていました。それらは細いロープで囲われ、踏み荒らしなどから守られていましが、これはきっとこの谷を常々見守っているT氏の施したことではないでしょうか。たぶん。

 ササユリ

 そんな中、他に先駆けて咲いている株が一つありました。なぜかロープの外だったので、そっと近づいて香りをかいでみるとササユリ特有の甘い臭いがしていました。
 これから次々に咲いていくことでしょう。去年の暮れ、みんなでこの谷の下草刈りをした甲斐がありました。

 昨年暮れの下草刈り風景(H14.12.29)