十方山 〜アキチョウジの登山道〜
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【広島県吉和村 平成14年9月29日(日)】
東西南北に乾坤艮巽、そして上下。しめて十方を見渡せるとして名がついた十方山(じっぽうざん)。
今日は妻と2人で、素晴らしい展望の山に登りました。
十方山への登山道は3つあり、そのうち東からと南からのアプローチは結構きついのですが、北からのアプローチは距離、高低差ともに比較的楽です。午前10時、もちろん北からの「シシガ谷コース」にとりつきました。
アキチョウジ |
シシガ谷の渓流に沿って続く山道は、ところどころ泥濘が残り決して歩きやすくはなかったのですが、尾根筋に出るまでの間ずっとアキチョウジが咲いていて、長く目を楽しませてくれていました。
ホオノキの集合果 |
この時期、ホオノキの下を通りかかるとこんな物体が落ちているのに気づきます。
長さ15センチほどで、触ると結構堅い。これはホウノキの果実(正確には袋状の果実が集まった集合果)です。
見れば見るほどおもしろい形。
いかにもクマが出そうな雰囲気です。
せっかくの沢の音や鳥の声を熊鈴でかき乱すのはいやなんですが、ここ西中国山地はツキノワグマの多いところ。ばったり出会うとお互いに不幸ですから。もっとも出会おうと思ってもなかなか出会えるものではないそうですが。
ヤマシロギク | ヤマハッカ |
やがて山道は沢筋から離れて杉林の中を登っていき、傾斜もそれなりにきつくなっていきます。
アケボノソウやミヤマタニソバなど、湿ったところに生きる植物も元気に咲いていました。アキチョウジも相変わらずたくさん咲いていました。
やがて頭上が少しずつ明るくなってきたら、あとわずかで尾根筋に出ます。
今年の初紅葉に出会いました。
最後の登りが苦しくてつい足元ばかりを見て登っていたのですが、この鮮やかな色にハッとして少しリフレッシュ。
立ち止まって汗をぬぐいました。
そして、とうとう尾根筋に出ました。今までの道とは全く様相が異なり、乾燥したササの生い茂る道になりました。こうなればあとわずかで山頂です。
山頂からの南方向の眺め |
12時20分、山頂に到着です。お昼時なのでたくさんのグループが車座になって弁当を食べていました。
それにしても素晴らしい眺め。まさにその名に恥じない山です。
南の方を眺めると、重なる山並みの向こうに瀬戸内海が見えます(上の写真の中央やや左の白く見える部分)。
大峯山(写真右部の最も高く見える山)や、その向こうにある宮島の弥山までくっきりと。ため息の出るような景色です。
山頂からの北西方向の眺め |
目を北西に転じると、こちらには広島、山口、島根の三県の山々が見渡せます。
3ヶ月前に登った吉和冠山(写真左端のピーク)、屏風のような山並みを延ばす島根の安蔵寺山(写真中央やや右)、その向こうには山口の十種ガ峰(その右奥に突き出るピーク)。さらに右に目を移すとなんと日本海が。
瀬戸内海と日本海を同時に見られるとは。
登山道がずっと薄暗かったので、よけいに広々とした感じで開放感バツグンです。
ちなみに北東方向には三瓶山まで望めました。
今日の植物の主役、アキチョウジをアップで。
長さ2p。上唇は4裂し、下唇は船形になります。
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