神代植物公園 〜都民の花壇〜


 

【東京都 調布市 平成20年7月21日(月)】
 
 5月のゴールデンウィークから2ヶ月半。今日は「海の日」、ずいぶん久しぶりの祝日です。
 梅雨も明け、この3連休はずっと晴天。前半の2日は寝まくって十分に休息し、最終日にようやく起き出してきたところです。さてどこに行こうかな。
 
                       
 
 向かったのは調布市にある神代植物公園。「神代」と書いて「じんだい」と読みます。もともとは隣接する天台宗の古刹深大寺(じんだいじ)の寺領だった場所で、そこに4500種、10万株の植物が植えられています。(公園HPより)
 調布は都心(新宿)から西へ約15q。甲州街道を走ると調子よくても小一時間はかかるので、首都高に乗ることにしました。そのまま中央道に入り、最初のインター(調布IC)で下ります。そこから1qちょっとで目的地の神代植物公園。トータル30分もあれば到着です。

 正門

 さて、駐車場にドリーム号を停めて入口へ。正門前でケヤキの巨木が出迎えてくれました。どっしりとして安心感のある木です。
 入園料は大人500円。都立にしてはそこそこのいい値段ですね。

 コウホネ

 ゲートをくぐってすぐ、大きな水鉢をコウホネが鮮やかな黄色で彩っていました。水面を飛ぶ虫たちがつい羽を休めたくなるような、そんな形をした花です。

 山野草園

 園内は、例えば、さくら園、ばら園、しゃくなげ園などといった30のエリアに分かれています。なにしろ広いんです。そんな中でyamanekoが向かったのは山野草園。自然の山野に近い状態のところです。

 ヤマユリ

 いきなり豪奢な花、ヤマユリに出会いました。薄暗い林をバックにしてそのコントラストが鮮やかです。

 アキノタムラソウ

 アキノタムラソウは花穂が長くこれが満開になると見事なのでしょうが、実際には下から順に咲いていくので、満開状態になることは基本ないんですよね。淡い紫の花はシソ科に共通の唇形花。名前は「アキノタムラソウ」ですが、夏のうちから咲きはじめ、11月頃まで野山で見かけます。ちなみにハルノタムラソウやナツノタムラソウという別種もあって、「ハルノ…」は4月から6月頃まで、また、「ナツノ…」は6月から8月頃まで咲いているそうです。


 
 これで開ききった状態
 ウバユリ

 一本筋が通った力強さを感じるウバユリ。高さは120pほどでしょうか。ユリの持つ内向的な印象とは一線を画しています。
 ウバユリの葉は展開しはじめる初夏には軟らかく青々としているのですが、花の咲く時期になると枯れ始め黒変しているので、「葉が黒い→歯が黒い→お歯黒→姥(うば)」という経緯で名が付いたという説があります。(花の季節に「葉がない→歯がない→姥」という説もあるようです。)

 マンリョウ

 正月飾りでお馴染みのマンリョウ。紅い実を散形状に付けている姿はよく知られていますが、花がこんな姿をしていることはあまり知られていないのでは。

 ソバナ

 どちらかというと深山で見かけることの多いソバナ。漢字で書くと「岨菜」です。嶮岨な場所に咲くという意味でしょう。

 ヤブミョウガ

 葉がミョウガのそれに似ているからヤブミョウガという名が付いていますが、ミョウガとは縁もゆかりもなく、なんとツユクサの仲間です。右の写真の中央に咲いているのは雄花。ヤブミョウガは同じ株に雄花と両性花が付くのだそうです。そしてツユクサと同じように一日でしぼんでしまうのだそうです。

 夏の主役たち

 続いて宿根草園へ。宿根草とはすなわち多年草のこと。それにしてもなんでここだけ植物の生態に着目したカテゴライスになっているのか? 

   ヒゴタイ

 まるで作り物のようなヒゴタイの花。キク科の植物です。

 セダム・グラエカ

 なかなか名前が判明しませんでしたが、ロシア原産のベンケイソウ科の植物、セダム・グラエカであることが分かりました。葉はタイトゴメみたく塔のように上に伸び、花は約20センチほどの花茎の上に付きます。花を見るとベンケイソウ科の特徴を備えていますね。

 アカンサス

 こちらは地中海沿岸原産のアカンサス。キツネノマゴ科です。科の盟主のキツネノマゴは高さ約20p、花は5oほどの可愛い花ですが、このアカンサスは成長すると2mほどになります。1個の花も柏餅くらいの大きさがあって、なかなか派手な印象です。なんでも古代ギリシャのコリント式建築の柱の模様はこの花を意匠化したものだとか。ギリシャの国花だそうです。

 流れの山野草園

 今度は「流れの山野草園」へやって来ました。ここ武蔵野は多摩川の扇状地となっていて、扇端部にあたるこの辺りには湧き水の出るところがあちこちにあります。この流れも園内の池から出ているので、もしかしたら湧き水なのかもしれません。

 オバサマ達

 ウバユリもこれだけ群生していると見事ですね。なんか林の中が涼しく感じます。

 カリガネソウ

 カリガネソウが咲き始めていました。蕾もたくさんあるので、これからしばらくは咲き続けるでしょう。花の名前は花冠を雁金(=雁)が飛び立つ姿に見立てたものだそうです。

 オニユリ

 こちらはオニユリ。橙紅色に黒い斑点が鮮やかですね。葉腋にズラリと並んだ珠芽(むかご)でコオニユリと見分けることができます。

 アガバンサス

 水辺の涼しそうな花。南アフリカ原産のアガパンサス(別名ムラサキクンシラン)です。朔果の様子がユリの仲間であることを教えてくれています。
 
 10数年ぶりにこの公園に来てみて、あらためて感じたこと。この公園は植物公園と銘打っていながら種名の表示や解説などが充実していないように感じました。というより、ポツンポツンと名板が設置してあって、いったいどういう基準で名板を付けているのか首をかしげる感じです。一方で、地上に植物の影も形もないところに名板を付けっぱなしにしてあったりして、いったいどの植物を指しているのか迷うことも多々ありました。(自分で調べる癖をつけるのには好都合かもしれませんが。) ホームページも園内の植物のことについて詳しく知りたいと思って閲覧すると物足りない内容です。ひょっとして公園の規模が大きすぎて追いついていないのではないでしょうか。

 芝生広場

 子ども達が遊ぶのにはもってこいですが、閑散としていました。