岩湧山 〜人の手で守る山頂大草原(後編)〜


 

 (後編)

【大阪府 河内長野市 平成31年3月9日(土)】
 
 スギ花粉まみれの岩湧山トレッキング。後編です。(前編はこちら

 Kashmir 3D

 河内長野駅からバスで滝畑ダムまで移動し、そこから登り始めて山頂直下までやって来ました。

 あれが山頂

 いよいよ目の前のピークが山頂です。いかにも眺めが良さそうですね。

 ハバヤマボクチ

 これはドライフラワー化したハバヤマボクチ。大型のキク科の植物です。この辺りで多く見られるとのことで、これも草原の状態が保たれているからでしょうね。ちなみに、「ハバ」とは漢字では「葉場」と書き、これは草刈場のこと。カヤが広範囲に広がるような場所を好んで生えていたことが名の由来になっているのだと思います。「ヤマボクチ」は山に生えるホクチアザミのことで、ホクチは「火口」と書き、このアザミの葉裏に生えている軟毛を集め乾燥させて作っていた着火材のことです。

 到着

 11時5分、山頂に到着しました。先客がたくさんいます。

 山頂にはこんなものはありますが、三角点は見当たりません。どこにあるのか。

 山頂からは河内平野やその先に広がる大阪の市街地、さらには北摂の山から六甲山系まで、雄大な眺めを楽しむことができました。みんながこの山を目指して登ってくるのが分かる気がしました。

 金剛山地

 岩湧山から右手(東側)に連なる金剛山地。。金剛山には5月に、大和葛城山には11月に、二上山には8月に、高安山には10月に登りました。どの山にも楽しい思い出をもらいました。
 まだお昼には早いので、ここでは眺望を楽しんだら先へと進みます。

 山焼き準備

 4月7日に予定されている山焼きの準備が行われていました。地元の森林組合の方たちでしょうか。火が流れて森に延焼しないように防火帯を作っているようでした。

 こちらが山頂

 山頂広場からちょっと下って登り返したところに三角点がありました。ここが正式な山頂と云うことでしょう。こちらにはスペースがないせいか、ここで休んでいる人はいませんでした。ちなみに二等三角点でした。

 大峰山系

 次の小ピークからの奈良県方面の眺め。中央のひときわ大きな台形の山は大峯山系の主峰で、左のピークが弥山(1895m)、右のピークが八経ヶ岳(1915m)です。山深い紀伊半島ど真ん中の山々ですね。

 さあ、山頂部から下りにかかります。これから眼下の森の中に入っていきます。

 森との境にあったトイレ。きれいに管理されていました。

 森に入ったらすぐに登りとなり、その先に左手への分岐がありました。ここが岩湧山の東峰と呼ばれている地点です。左手に道を下ると岩湧山の北側山腹にある岩湧寺に至ります。

 東峰からまた下っていきます。案外アップダウンがあるものです。

 マーブル模様の登山道。気持ちいいですね。

 いわわきの道分岐

 また左手への分岐が現れました。「いわわきの道分岐」と呼ばれるポイントです。ここを下っても岩湧寺に至ります。地図を見るとさっきの東峰から岩湧寺に下る道は「急な階段」と標されていましたが、こっちの方が若干傾斜は緩そうです。

 五ツ辻

 またしばらく行くと「五ツ辻」との看板が。確かに五叉路になっているようでしたが、そのうちの2つくらいは通行止めになっていました。道もかなり荒れていたので、もうずいぶん前から通行止めなのではないでしょうか。時刻は11時35分。ここは直進気味にまた登り返していきます。

 広葉樹林の明るい道もいいですが、こんな道もまた違った趣でいいですね。気持ちが引き締まるようです。

 小広い場所に出ました。小さな看板に「阿弥陀山前分岐」と書かれていました。ここは直進です。

 道はほとんどアップダウンがなくなりました。快適な野山歩きです。

 根古峰

 やがて「根古峰」の標識が。正面のお椀を伏せたような丘の奥が根古峰のピークのようです。ここからだと比高5mくらいでしょうか。ルートはこのピークを巻いていますが、せっかくなので登ってみようと。
 登ること30秒、ピークは木立に囲まれた小さな空き地で、まあ写真を載せなくてもいいかなというような感じのところでした。

 クロモジ  

 再びルートに戻って歩き始めました。道の脇にはクロモジが。これから葉を広げ、花を咲かせます。

 岩湧山三合目

 12時10分、岩湧山三合目に到着。これまで歩いてきて○合目といった標識はなかったと思いますが、ここだけ地図にもしっかりと表記されています。きっとここから谷底に下る道が分岐していて、登山をする上で重要なポイントだからでしょう。

 昼食準備

 ここで昼食としましょう。って、スギ林の中で昼食をとるとは、なんともチャレンジングな。

 バーナーでお湯を沸かし、カップラーメンを作りました。コンビニで買ったゆで卵をトッピングするとちょっと豪華に。デザートはゼリーです。最後にのんびりとコーヒーまでいただきました。

 三合目で50分ほど休憩した後、再スタート。これまで延々と稜線を歩いてきましたが、ここから一気に谷底に向かって下っていきます。

 途中、道がこんなにえぐれている場所も。幾度となく相当な勢いで水が流れたのでしょうね。木々の根も露わになり、踏ん張りがきかない状態です。

 ウラジロ

 下って行くにつれ雰囲気が里山のそれになってきました。これはウラジロの群落ですね。

 下ること30分ちょっと。川沿いの林道に合流しました。この川は根古川といい、この谷を根古谷と言うようです。

 越ヶ滝

 合流地点近くに架かる越ヶ滝。なかなか立派でした。その手前にはダンコウバイの黄色い花が。

 林道を徐々に下っていきます。ここまでくるともうほとんど山道感はありません。

 根古谷に注ぐ支流。春が近いせいか、踊り下る水音が心なしか明るく聞こえます。

 下山完了

 1時35分、下山完了。集落の端に出てきました。

 南海高野線

 下山ポイントはちょうど南海電鉄高野線のトンネルの出口の上でした。写真は上り線です。

 矢倉脇という集落の中を紀見峠駅に向かって歩いて行きます。ぽかぽかの日和。小さな孫とおばあちゃんが畑の脇でひなたぼっこをしていました。

 南海電鉄高野線

 駅手前の踏切を渡ります。電車の本数は少なくないようです。

 紀見峠駅

 懐かしい佇まいの紀見峠駅。昭和レトロ感満点です。ここは和歌山県の山間の駅で周囲の雰囲気とマッチしているのですが、一方で大阪への通勤圏内でもあるんですよね。ちょっと不思議な感じです。

 駅のホームでしばし休憩。写真は大阪方面です。
 1時55分発の南海難波行き区間急行に乗車しました。

 岩湧山

 2時8分、河内長野駅着。ここで近鉄に乗り換えて帰宅するのですが、岩湧山の姿を写真に収めようといったん河内長野の街に出て歩きました。なかなか良い撮影ポイントがなく、1時間以上歩くことに。結局、河岸段丘を最上段まで上がってようやく目的を達することができました。
 
 もう春はすぐそこまで来ています。大阪周辺の野山歩きは今回でいったん終了。4月から東京に戻るので、また関東中心に自然を楽しんでいきたいと思います。