伊吹山 〜雲上の楽園でリフレッシュ〜


 

【滋賀県伊吹町 平成15年8月29日(金)】
 
 「イブキレイジンソウ」
 数週間前、初めてこの花のことを知りました。
 「伊吹…、伊吹山…、新幹線で関ヶ原にさしかかる頃、左手に現れる変わった形の山のことだよなぁ。」
 「伶人草…、ふ〜ん、雅楽奏者の烏帽子のような形の花か。『伶人』ってのは雅楽奏者のことなのか。」
 そんなこんなで興味はぐんぐんと膨らみ、こりゃやっぱり見に行くしかないか、ということに決定しました。ちょうどよいことに今が花期。そして遅まきながらの夏休み。「思い立ったが吉日」です。
 
 8月28日(木)、朝からバケツをひっくり返したような激しい雨です。夏季休暇初日でもあり、ゆっくりと起き出してきてゴロゴロしているうちに雨は小やみに。日中は雑事をこなして、夜8時すぎ、ドリーム号に乗り込みました。
 広島I.Cから山陽自動車道をひたすら東へ。この頃には雨は上がり、快適な高速クルーズになりました。予定どおり大阪を深夜に通過して、午前1時過ぎに大津S.Aに到着。まだまだ走れたのですが妻の薦めにより仮眠を取ることにしました。
 そして、朝6時半、再び名神高速に。幸いなことにスッキリと晴れています。関ヶ原I.Cで高速を降りてわずか2qほどで伊吹山ドライブウェイの入り口です。ふもとから見上げると5合目くらいから上は雲の中。でも、きっとその雲もほどなく消えてしまうでしょう。

 ドライブウェイ途中から見た
 伊吹山(左のピークが山頂)

 山頂直下の駐車場に着いたのは8時半でした。車はまだ数台しかいません。
 標高が千mを超えているので涼しい風が吹いてきます。その風に乗って薄い雲が山肌を駆け上がってきますが、それもすぐに散ってしまいます。
 ここは若狭湾から伊勢湾にかけての風の通り道。冬場、新幹線が関ヶ原付近で徐行するのは、北西の季節風がこの幅の狭い風の通り道に吹き込んで雪を降らせるからです。

 散策路のスタート地点

 駐車場から山頂までの標高差は約100m。散策路とはいえ礫の多い歩きにくい道です。でもトレッキングシューズの紐を締めて、ストックを使えばあまり苦にはなりません。
 スタートしていきなり花々のオン・ステージです。(表現が古いか。)

 トモエシオガマ  サラシナショウマ

 山の斜面にはサラシナショウマの花が満開状態。この花は本日の主役の一人でした。

 フジテンニンソウ  コイブキアザミ

 コイブキアザミは伊吹山の石灰岩地に生える植物です。テンニンソウもそこここに群落を作っていました。

 涼しい風が吹き抜ける

 陽射しがあるので汗をかきますが、すぐに乾いて不快感はまったくありません。

 シモツケソウ  ルリトラノオ

 シモツケソウはもうそろそろ終わりか。
 ルリトラノオはまだいけます。この花は伊吹山の山頂付近のみに生える花だそうです。

 イブキノエンドウ  キリンソウ

 イブキノエンドウはヨーロッパ原産の外来種。北海道と伊吹山に帰化しているそうです。

 一面にアカソが

 赤、オレンジ、ピンク、黄、白、紫…。そして緑の山と蒼い空。
 「来て良かった。」と、思わず声に出てしまう風景でした。

 イブキトラノオ  イブキフウロ

 「イブキ」と名の付く花があちこちに。
 パンフによると、伊吹山は、日本のほぼ中央に位置し、北方系の植物が南下してきたり、また、日本海に近い関係もあって日本海側に分布の本拠をもつ植物も存在しているそうです。 さらに典型的な石灰岩地帯ということや冬季寒冷な季節風の影響を受けることも、多様な植物を育む要因の一つとされています。また、古い山なので特産種(固有種)も多く存在するのだそうです。

 眼下には

 ゆっくりゆっくり登って、11時に山頂に到着。ちょっと早いですが昼食です。
 雲は眼下に。そして更にそのはるか下には琵琶湖が。
 この景色を眺めながらの食事は、たとえそれが日清カップヌードルであったとしても、美味この上なく感じます。

 リンドウ  イワアカバナ

 白いのに「アカバナ」。紅葉するのが名の由来だそうです。

 さあ、今度は下りのルートです。

 リュウノウギク  イブキトリカブト

 このほかにも、アキノキリンソウ、ツリガネニンジン、クルマバナなどなど…

 マルバダケブキ

 スタート地点に降りてくると、800台収容の駐車場は8割方埋まっていました。
 あわただしいですが、午後1時半、帰途につきました。今夜中に帰らないと明日も朝から別件があるのです。
 幸い、京都、大阪と渋滞がなかったので、走りに走って7時間で帰りつきました。満足感につつまれての運転は疲れを感じずにすみましたが、帰ってからドッときました。でも、無事に帰り着いてヨカッタ。
 
 ところでイブキレイジンソウは?
 次回のお楽しみということにしておきます。