古鷹山 〜山で出会うと「同行二人」〜


 

【広島県江田島町 平成14年12月23日(月)】
 
 広島湾に浮かぶ江田島は、戦前はあの「同期の桜」の海軍兵学校があり、近くに軍都広島や呉を擁していたこともあって当時は兵隊さんが多い島だったそうです。その後兵学校の施設は海上自衛隊の第一術科学校となり、今でも海自独特の白い制服姿の若い隊員を見かける、そんな島です。

 江田島、小用港から
 見る古鷹山

 広島の宇品港から高速船に乗って25分。江田島の小用港に上陸したのは10人たらず。港務所にも人影はまばらでした。まずはカップコーヒーでも飲んで一息つきましょう。天気はいいし、今日はのんびりとした山歩きになりそうです。
 
 港からてくてくと車道を歩き、小用峠を越えて30分弱。真新しい石の標識が立つ登山口に着いたのはもう11時でした。

 ニラのドライフラワー

 ちょっと歩いては立ち止まり、またちょっと登っては立ち止まり、なかなか行程を稼げませんが、まあ、いつものペースです。後から登ってきた年輩の方にもあっさりと抜かれてしまいました。

 冬の陽に照る
 ヘクソカズラの果実

 辺りからは鳥たちの声がさかんに聞こえてきます。暖かいので鳥たちの活動も活発のようでした。

 ハゼノキの実も豊作

 道は次第に傾斜を増し、林の中を進んでいきます。クヌギやコナラもありましたが、カクレミノ、シロダモ、アラカシ、ヤマモモなどの常緑樹が多く見られます。適度に木もれ日があって、実に気持ちがいい。

 シロダモの冬芽  ナワシログミ

 やがて木々がまばらになって、目的地が見えてきました。

 二つの古鷹山

 右のピーク(376m)に二等三角点があり地図上ではこちらが古鷹山と表示されていますが、地元ではより高い左のピーク(392m)を古鷹山の主峰としていて、山の由来などを記した説明板もこちらにあります。

 二つの峰の鞍部から見た主峰
 (鎖場あり)

 12時30分、頂上に到着。
 すばらしいパノラマが広がっていました。東には呉の街と灰ヶ峰、南には、倉橋島(その先には四国の山々)、西には能美島越しに宮島が、そして北には広島湾を隔てて広島の市街があり、さらにその奥には中国山地が居並んでいます。
 汗をぬぐって、さあ昼食とします。

 広島湾の向こうに広島市街
 手前の町並は切串港

 頂上には宴会モードの3人組と、さっき抜いていった年輩の方がそれぞれ昼食をとっていました。
 その年輩の方とあれこれ話をしながら、楽しく食事をすることができました。その方は呉市から来た原田さんという方で、定年までは大手ゼネコン(名前を聞けば誰でも知っている)で全国を飛び回っていたそうですが、定年後は故郷に帰ってきて週に1、2回、山歩きをしているのだそうです。近年の登山者のマナーの悪さを嘆いておられました。
 自分の父親ほど年齢が離れている人ですが、妙に気があったので一緒に下山することになりました。下りは北の切串に向かいます。頂上直下には鎖場もあり注意を要します。でも、原田さんは69歳という年齢を全く感じさせない身のこなしでした。聞くと若い頃は山岳登山をしていたそうで、なるほどです。
 
 北側に下るこのコースは登ってきた南側のコースとは変わって湿気が多く、下るにつれて沢音なども聞こえてきます。いろんな話をしながらの楽しい下山となりました。

 ホトケノザ  ソシンロウバイ

 ふもとの切串集落まで下りてくると、もう早春のような風景が。畑のわきにはホトケノザが咲き、民家の庭先にはソシンロウバイがいい香りを放っていました。
 
 切串には港が二つあって、原田さんは呉方面に向かう船が出る港へ、こっちは宇品港へ向かう船が出る港へと、手を振って分かれました。
 


 宇品港に着いた後、市内電車に乗って家に帰るのですが、途中下車して「茶々」に寄りました。先日このサイトでも紹介した南区旭3丁目にあるうまいお好み焼き屋です。

 スジ肉煮込み  鶏皮焼き  ソバ肉玉

 まだ日も高いのですが、とりあえず、生。そしてつまみ2種と最後にお好み焼き。
 腹一杯になったので、ここから家まで(約6q)歩いてしまいました。