四季の森星野 〜里山に春の使者〜


 

【栃木県 栃木市 平成20年3月2日(日)】
 
 先日、よく見に行くブログにセツブンソウの開花の記事が載っていました。場所は栃木県。里山の縁の斜面に可憐に咲いているとのこと。
 ではでは早速に行ってみましょう。
 
                       
 
 いつものとおり高松ランプから首都高に上がり、そのまま川口ジャンクションを経て東北道へ。渋滞もなくスイスイと走っていきます。栃木ICで高速を下りたら県道を北西方向に。非常に分かりやすい道順で、ナビも必要ないくらいです。

 杉林の手前に

 県道の左手、杉林の手前に薄桃色や薄黄色に色づいた疎林が見えてきました。ここが地元の皆さんで運営されている「四季の森星野」です。目印は道の反対側にある駐車場。時刻は午前10時過ぎ。駐車場は3割方埋まっていました。車のナンバーを見ると、けっこうあちこちからここを目指してやって来ているようです。

 早春

 手前の林の奥に土手のような斜面があり、そこにセツブンソウが群落を作っています。その土手の上には民家があって、裏手はすぐに杉林です。手前の林はもともと畑だったところにウメやトサミズキ、ロウバイなど花の付く木を植栽した模様。セツブンソウを見に来る人が多くなるにつれ地域の皆さんで整備されたのでしょう。嬉しいことに入場料などは必要とせず、それどころか柵のようなものもなく、本当にオープンなスペースです。

 セツブンソウ

 咲いてる咲いてる。土手の斜面のあちこちで透けるように白い萼片を広げています。
 セツブンソウは、早春に開花し、初夏には地上部が枯れてしまうスプリング・エフェメラルのうちの一つ。姿を見せている期間はわずかで、一年のうちのほとんどは影も形もありません。でも見物客も訪れないそんな時期にこそ地元の人々が草刈などの手入れをされているから、毎年この時期に可憐な姿を見ることができるのです。感謝感謝です。

 黄色く輝く花も

 民家の横に日差しを浴びて輝いている花が。フクジュソウです。

 フクジュソウ

 金属光沢の黄色い花弁。分かりにくいですが一番外側にある先がやや尖っているものは萼片です。この開き具合がちょうどパラボラアンテナの役割を果たしていて、花冠の中央に熱を集めて訪れる虫たちの活動を活発にするよう助けているのです。フクジュソウは日が当たっているときにだけ花を開く、まさに太陽の恵みの花です。

 ポカポカ陽気

 風もなくポカポカ陽気。観測気温は10度に満たないものの、日向は10数度あったのではないでしょうか。こうやってただ散策しているだけでもまったりとして開放された気持ちになれます。

 いや〜、春ですなぁ。今年も春がやってきました。毎年春になると、何かしなければなどとそわそわしてしまいます。

 ロウバイ  ソシンロウバイ

 花冠の中央が赤いのがロウバイ、中まで黄色いのがソシンロウバイです。「素心(ソシン)」とは、白い花の蕊(しべ)のこと。また、純粋で汚れていない人間本来の心という意味もあります。(かくありたいと思いつつ…)

 昭和の半ばくらいまではこのような風景はあちこちで見ることができるものだったでしょうね。今は特別な保護が行われているところでないとなかなかお目にかかれなくなってきました。

 三峰山

 ゆっくり見て回って2時間弱。ついでに田園風景を楽しみながら近所の道を散歩しました。
 全山石灰岩質の三峰山。セツブンソウをはじめとして石灰岩質の山にはおもしろい植物がいろいろ生育します。もうそろそろお昼。腹が昼ご飯を催促しているようなので、近くにあったそば屋さんの暖簾をくぐりました。

 鴨汁そば

 注文したのは鴨汁そば。鴨南蛮のようなものを想像していたのですが、出てきたのはせいろ。しかもこの蕎麦を鴨汁にくぐらせて食べるのです。ちょっと不思議な感じでした。でも味はGood! 美味かったです。