火山 〜新年早々お手軽山歩き〜


 

【広島県倉橋町 平成15年1月4日(土)】
 
 正月三が日、近場の神社に初詣に行ったきりで、あとは家でいい子していたので早くも「出歩き虫」がむずむずしてきました。
 午前中はゴロゴロして(というより昼前に起きて)昼から倉橋島にある火山に向かいました。そういえば去年も野歩き初めはこの山でした。
 「火山」という名がついているということは、その昔この山の頂で狼煙を上げていたのでしょう。場所柄からきっと瀬戸の海賊の見張り場だったのかも。


花崗岩の巨石が露出する火山 →
(桂ヶ浜より)   

  広島から海沿いにR31を南下して、呉から島谷ひとみの故郷、音戸町へ。そしてさらに南下して倉橋町の宇和木峠を越えたら火山です。道が混んでなければ1時間半くらいで到着。
 ふもとの浜辺近くから登り出すと2時間半くらいはかかりますが、宇和木峠からさらに林道を走り隣の山(後火山)との鞍部の駐車場に車を置いて登り出すと、あっという間に頂上に立つことができます。今日は時間もないのでこのお手軽コースです。

 急な階段。登山道沿いの木は植栽のようです。
 空気は冷えていて、吸い込むと肺が冷たくなるような感じ。

 サルトリイバラの果実

 この季節、辺りには鮮やかな色が少ないので、サルトリイバラの赤が目立っていました。
 日本で見られるユリ科の植物はほとんどが草本で、木本のものは図鑑にも数種しか掲載されていません。このサルトリイバラはその数少ないユリ科の木本です。しかしあの地味な花が、あの丸っこい葉がユリ科だなんて、ちょっと連想できませんよね。

 サルトリイバラの花
 (牛田山:4月)

 すぐに展望が開けてきました。そして、もう頂上です。

 北方向の展望

 正面に倉橋島(右)と能美島(左)をつなぐ早瀬大橋が見えます。また、写真右手奥に先々週登った江田島の古鷹山が望めます。遠く中国山地の上空には雪雲が。そういえばこの冬最大の寒波が到来しているとか。

 南方向の展望

 写真中央奥の島は愛媛県の中島。そのちょうど向こう側には松山市の街並みがあるはずです。
 ここから見ると四国も指呼の間です。(ちょっと言い過ぎ?)
 でも実際にここから四国本土までは直線距離でわずか25qあまり。広島へよりもずいぶん近いんです。

 コシダ

 山肌にはコシダのライトグリーンが広がっていて、陽を受けて景色を明るくしています。
 コシダは沿岸部の松林の林床に広く見られるシダ植物で、広島県南部の山歩きでは必ずと言ってよいほど目にします。コシダの落葉は分解しにくくて枯れた状態で地表を厚く覆っていることが多く、山火事の際には格好の焚きつけとなり広い範囲を延焼してしまうことになるそうです。そして、焼け跡から真っ先に生えてくるのがこのコシダで、結果として生育範囲を拡大することになるのだそうです。まさに焼け太り!
 
 
 次にふもとの桂ヶ浜へ行ってみました。

 シロバナマンテマ

 冬型の気圧配置で海辺はかなりの強風ですが、防風林の手前はやや穏やか。路傍にシロバナマンテマが一株ほど花を付けていました。ヨーロッパ原産のナデシコ科の帰化植物だそうです。
 花の少ない季節なのでうれしいですね。

 桂ヶ浜

 浜に出ると身を切るような冷たい風。風上に向かってスキーのジャンプの真似ができるほど強い風です。
 夏には海水浴客でにぎわう浜ですが、今日は人っ子ひとりいません。

 アメリカイヌホウズキ

 防風林の中にはアメリカイヌホウズキが。この寒さの中、あちこちで株を集め、花を付けています。シロバナマンテマといい帰化植物のたくましさを感じずにはいられません。
 
 日も傾いてきて寒さがいっそう増してきました。そろそろ帰路へと向かいます。
 天気予報の精度は、少なくとも短期予報ではかなりのもののようで、帰り道では小雪がちらつき始めました。あしたはもっと強烈になるとか。