平和大通り 〜6月観察会の下見〜


 

【広島市中区・南区 平成16年6月13日(日)】
 
 「梅雨はどこに行った?」 お日様を仰いでつい呟いてしまうような晴天です。
 今日は6月定例観察会(6月20日)の下見。今回のステージは広島の復興のシンボル、「平和大通り」です。
 今から59年前に一面の焦土となったこのヒロシマ。向こう50年は草木も生えないといわれたこの街に復興計画がまとまったのは、戦後まもなくのことだったそうです。その中で幅100mもあるグリーンベルトの機能を有した道路の建設が計画されました。それが「平和大通り」です。

 スタート前の打ち合わせ

 集合は本番と同じ、9時30分。場所は「平和大通り」と「鯉城通り」が交差するところにある「白神社(しらがみしゃ)」前です。観察会ではここから平和大通りを東に向かい、その正面にある比治山までを歩く予定です。
 メンバーは9人。リーダーは前田さんです(写真中央)。前田さんには、去年yamanekoが大久野島でリーダーをしたときにいろいろバックアップをしてもらいました(感謝)。

 都会のオアシス

 平和大通りは、上下4車線、幅16mの車道の両側に幅28.5mの緑地、その外側に幅8mの側道、さらにその外側に幅5.5mの歩道が設けられており、歩道の端から反対の歩道の端までちょうど100m。それゆえ「100メートル道路」とも呼ばれています。

 緑地からの眺め

 緑地帯には様々な樹木が植えられています。しかもそのほとんどが高木で、この時期、道行く人に涼しい木陰を提供してくれています。
 前田さんが用意した資料によると、高さ3m以上の樹木だけで111種、2178本もあるそうです。この中には被爆を経験した樹木もあり、そのいずれもが大木と言ってよいほどの風格を漂わせていました。

 モクマオウ

 モクマオウはオーストラリア原産の樹木で、日本では琉球諸島や小笠原諸島では普通に自生しているそうです。一見マツのように見えますが、松葉のようにみえる部分はじつは「枝」。その枝には節がたくさんあって、鱗状の葉が輪生しています。

 ササゴイの営巣

 クスノキのドームの内側から頭上を見上げると、ササゴイが巣をかけているのが見えました。斜め45度の虚空をジッと見据えた親鳥。その胸元には和田勉のような頭のひながキョロキョロと。
 こんなところで生きていくなんて。いったい過酷なのか便利なのか…。

 シマトネリコ

 シマトネリコは今が満開。まるで雪が積もったようです。

 サワグルミ

 広島は太田川が形作った三角州の上にできた街。
 今から400年ほど前、江戸初期の海岸線はちょうど今の平和大通りとほぼ同じラインにあったそうです。遠浅の海。当時、この水際の先には広大な干潟が広がっていたことでしょう。人々は海に生活の糧を求め、海との密な関係を保っていた時代が長く続いたのだと思います。

 なんだかんだで比治山に到着しました。
 展望台から見渡す街並み。その昔は海だったところです。広島湾の向こうにある似島、江田島、能美島がすぐ近くに見えます。
 この写真をしばらく凝視して、そっと目を閉じてみてください。400年前の干潟が見えますか。


 下見には参加したものの観察会本番は出張で参加できません。残念。