榛名山 〜山上はようやく春の兆し〜


 

【群馬県 渋川市 平成18年4月23日(日)】
 
 4月も後半に入りました。新しい生活がスタートしてそろそろ1ヶ月。3月初めから続いていた引越のバタバタがようやく落ち着いて、そろそろドカッと疲れが出てくる時期です。
 ということで、ここはひとつ温泉にでも浸かりに行こうということになりました。場所は榛名山(群馬県)の中腹にある伊香保温泉。以前、キャンプ帰りに行ったことのある温泉です。
 
                       
 
 天気はどんよりとした曇り空。予報では午後から雨ということですが、今日の関東地方は北に行くほど天気の崩れが少ないとのこと。その予報を頼りに、一路北東に向けてドリーム号を走らせます。
 練馬ICから関越道に乗り、あとは渋川伊香保ICまで一直線。しかも関越道は起点の練馬から高崎までずっと片側3車線で広々としています。アップダウンもほとんどなくて極めて走りやすいのです。(渋滞にさえ捕まらなければ。)
 
 午前11時、渋川伊香保ICを下りて榛名山の山頂を目指します。榛名山は山頂から放射状に行政区画が区切られていて、東側から伊香保温泉を経て上がるルートは渋川市になります。

 武尊山遠望(右手前は子持山)

 伊香保温泉を通り過ぎると道は急カーブの多いつづら折れになります。途中の展望台からは素晴らしいパノラマが。赤城山、日光白根山、武尊山、そして谷川岳までも。デジカメで撮ろうとしてもとても収まりきるものではありませんでした。
 榛名山は山頂まで車道が通じています。山頂はカルデラ状になっていて、火口原には榛名湖や二重火山の榛名富士などがあり、さながら天上の別世界のようです。

 ロープウェイ

 山頂部の平原の標高は約1100m。やっぱり季節は早春といった感じです。花の姿はほとんど見かけません。
山頂の平原にぽっこりと盛り上がる榛名富士の標高は1390m。平原部からロープウェイが通じています。10分間隔で運行していますが、その10分を待つ間が肌寒い。日差しはあるもののやっぱり平地にすれば3月上旬といったところ。1ヶ月半の季節のズレがあるようです。

 榛名湖

 ロープウェイに乗り込んで火口原を見下ろすと、そこが1000mを超える山の上とは思えません。榛名湖の向こう側の縁にあたる山のその向こうには浅間山の姿も見えました。(写真では判然としませんが。)
 数分で榛名富士の山頂に到着です。

 谷川岳

 山頂からの展望は中腹の展望台からのそれよりまた一段と雄大。新潟との県境にそびえる谷川連峰が午後の陽をはね返して白く輝いていました。

 榛名富士

 ロープウェイを下りて榛名湖の対岸に回ってみました。ここはワカサギ釣りのメッカ。(表現が古いですね。) シーズンはもう終わりなのでしょうが、それでも何人かは湖に釣り糸を垂れていました。
 榛名富士はほぼ完全な円錐形。美しい形をしています。何度も言いますが山の上にある風景とは思えません。

 鳥の巣

 湖畔を周回する道路を散策していると、立木のちょうど目の高さのところに鳥の巣がありました。どうやらもう使っていないもののようで、中はからっぽ。葉が繁っている時期は外からは見えないのでしょうが、この時期は丸見えです。ビニールの切れ端なども巣の材料にしているところから、人間の生活圏と接点を持っている鳥であることが分かりますが、所有者はどんな鳥だったのでしょうか。

 エイザンスミレ  タチツボスミレ

 路傍に数種のスミレが。いずれも開いたばかりといった様子。こんなところにかろうじて浅い春の気配を感じます。

 火口原

 火口原には真っ直ぐな道路が延びていました。正面の丘のように見える部分が火口部の縁になっていて、その向こうは一気にふもとまで下る斜面となっています。
 さて、今日の本来の目的である伊香保温泉に向かって山を下りていくことにしましょう。

 鮮やかな黄色

 山肌のつづら折れの道を下っていく途中に黄色の花をたくさんつけた木が何本かありました。周囲の木がまだ丸裸状態なのでひときわ鮮やかに目立っています。

 ダンコウバイ

 車を停めて近づいてみると、この木がダンコウバイであることが分かりました。よく似た花をつける木にアブラチャンがありますが、両者は花柄の有無で簡単に見分けることができます。このダンコウバイには花柄はほとんどなく、枝から直に花が開いているように見えるのです。ちなみにアブラチャンには約8oくらいの花柄があります。

 伊香保温泉

 榛名山の中腹にある伊香保温泉にやってきました。駐車場に車を停めて、さっそく温泉街をぶらつくことに。
 伊香保といえばなんといってもこの石段です。左右の石段の間(街灯がある部分)は温水が流れる水路になっていて、ガラスの覗き窓からその様子を見ることができます。左右には旅館やみやげ屋、射的場とかが並んでいて、温泉情緒満点です。

 青山旅館

 石段の上がり口にその名も「石段の湯」という比較的新しい公衆浴場があって、日帰りバスツアーなどで訪れた人たちはもっぱらそこで入浴するようですが、せっかくなのでいい感じにひなびた温泉旅館を探すことにしました。すると石段の途中から何本も横に延びる路地のひとつに「温泉ご入浴 五〇〇円 青山旅館」という看板を見つけました。そうそう、こんな雰囲気の旅館を探していたのです。ご主人にいつからここで営業しているのか聞いてみたところ、温泉街開設当初からだとか。「今なら貸し切りですよ。」の言葉に誘われて入ることにしました。

 湯船

 時間はまだ3時すぎなので、泊まり客はまだ一組もいないようです。泉質は硫酸塩泉で神経痛や関節痛に効能があると表示されていました。湯は褐色で、冬季には加温こそするものの、循環は一切していないかけ流しだそうです。
 ここで1時間あまりまったりとしてから帰ることにしました。(実際にはここを出た後も土産物店を回ったり、甘味処でしるこを食べたりして、なかなか帰路につきませんでしたが。)

 満開の桜

 伊香保温泉から少し下ったところに牧場があり、そこの桜がまさに満開でした。都内とは2週間ほど季節がずれているようです。
 
 帰りの関越は交通集中のため所沢ICから先が渋滞。ここを抜けるのに1時間ほどかかりました。練馬ICを下りると雨。結構しっかりと降っています。どうやら都内は一日ぐずついた天気だったようです。


 榛名山の山頂で見かけた木の葉芽。筆の穂先のようです。一ついただいて分解してみると中で葉が縦二つに折りたたまれた状態になっていました。
 これっていったい何の木の芽でしょうか。(不覚にも木肌の写真を撮るのを忘れていました。)