箱根 〜日本中の花に会える場所〜


 

【神奈川県箱根町 平成15年7月21日(月)】
 
 東京の奥座敷、箱根は正統派の避暑地です。
 「箱根七湯」といって、湯本、塔ノ沢、小涌谷など由緒正しい温泉が点在しています。そういえば「楡家の人びと」の楡基一郎が避暑で逗留したのも強羅温泉でした。
 梅雨が明けきらないこの時期、「避暑」といった趣はまったくないのですが、それでも下界を離れて野山に遊ぶのには最適の場所といえるでしょう。

 箱根湯本駅

 新宿からロマンスカーに揺られること(実際は揺れの少ない快適な旅です。)85分。箱根湯本に到着です。ここで箱根登山鉄道に乗り換え、終点の強羅(ごうら)を目指します。標高差は450mあり、3回のスイッチバックを経て登り切ります。
 途中の塔ノ沢の駅構内に何気なくイワタバコが咲いていました。中国地方では見かけないヤマユリもあちこちにあります。今日の花巡りの楽しさを予感させ、ワクワクしてきます。この登山鉄道の沿線にはたくさんのアジサイが植えられていて、ちょうど今が盛りの頃。この時期首都圏のテレビでは「あじさい鉄道」としてたびたび紹介されます。

 強羅駅

 強羅駅に到着。白煙を噴出する山頂方面に向かう人はここでケーブルカーに乗り換えですが、今日の目的地は仙石原にある箱根湿生花園なのでバスに乗り換えます。

 強羅の街並み

 今日は陽が差したり霧が出たり小雨がぱらついたりのおかしな天気です。
 祝日ということもあってかバスは満員。つり革につかまってくねくね道を行きます。乗客のほとんどは途中のポーラ美術館、ガラス美術館、星の王子さま博物館などで下車していき、終点の湿生花園で降りたのは自分と妻の他はほんの数人でした。

 湿生花園の入り口

 「箱根湿生花園」というくらいなので、この地域に自生する植物を集めたところなのかと思いきや、北は北海道から南は九州まで、さまざまな植物が集められていました。解説版に「…箱根にはない。」と明記されているものも多数あります。地形的にも湿原の植物あり、草原の植物あり、果てはコマクサなど高山植物に至るまで。おやおやという感じですが、ワクワクもしてきます。
 
 さあ、順路に沿って散策です。
 細かいことは言わずに、ここで観察した花のほんの一部を紹介しましょう。

 オオバジャノヒゲ
 (大葉蛇の髭 ユリ科)
 ヤマユリ
 (山百合 ユリ科)
 ヒメユリ
 (姫百合 ユリ科)
 カセンソウ
 (歌仙草 キク科)
 ナンテンハギ
 (南天萩 マメ科)
 マツモトセンノウ
 (松本仙翁 ナデシコ科)
 ナガボノシロワレモコウ
 (長穂の白吾木香)
 クガイソウ
 (九蓋草 ゴマノハグサ科)

 キキョウ、オカトラノオ、ヌマトラノオ、エゾミソハギ、カワラナデシコなども風に揺れています。

 

 ミズギク
 (水菊 キク科)
 ナミキソウ
 (浪来草 シソ科)
 センジュガンピ
 (千手岩菲 ナデシコ科)
 アシタカジャコウソウ
 (愛鷹麝香草 シソ科)
 クルマユリ
 (車百合 ユリ科)
 ヒトツバショウマ
 (一つ葉升麻 ユキノシタ科)
 シャジクソウ
 (車軸草 マメ科)
 ハクサンイチゲ
 (白山一華 キンポウゲ科)

 ハンカイソウ、ヒツジグサ、ヒメギボウシ、イワタバコ、トウテイラン、気の早いマツムシソウもありました。
 あまりに多すぎてメモが追いつきません。

 

 ヤツシロソウ
 (八代草 キキョウ科)
 ハコネギク
 (箱根菊 キク科)
 カキラン
 (柿蘭 ラン科)
 タカネビランジ
 (高嶺びらんじ ナデシコ科)
 レブンソウ
 (礼文草 マメ科)
 オグラセンノウ
 (小倉仙翁 ナデシコ科)
 レンゲショウマ
 (蓮華升麻 キンポウゲ科)
 オオダイコンソウ
 (大大根草 バラ科)

 チダケサシやシモツケソウ、ギンバイソウやあの「天涯の花」キレンゲショウマまで…

 

 クサレダマ
 (草蓮玉 サクラソウ科)
 イヌゴマ
 (犬胡麻 シソ科)
 フシグロセンノウ
 (節黒仙翁 ナデシコ科)
 ミズチドリ
 (水千鳥 ラン科)
 ソバナ
 (岨花 キキョウ科)
 オトメアオイ
 (乙女葵 ウマノスズクサ科)

 ほかにも、カライトソウ、ヤブカンゾウ、サワギキョウにキツリフネ…
 きりがないのでこのへんで終わりにしましょう。
 
 あっという間に夕方です。
 来たルートを引き返して新宿へ向かいます。そしてそこから後楽園へ直行。
 今日はドームでカープ戦。空調がきいていて快適に応援できました。(これで試合に勝っていればいうことなかったんだけど…。)


 東京滞在中のホテルからの眺め