呉娑々宇山 〜雨が上がってGo!〜


 

【広島市東区・安芸区 平成14年10月26日(土)】
 
 難読名の山「ごさそうざん」。と表記している本もありますが、ここでは国土地理院発行25000分の1地形図の表記にしたがいます。

 金曜日は素晴らしい秋晴れだったので週末のスケジュールをあれこれと考えていたのに、夜半から降り出した冷たい雨は朝になっても止んでいませんでした。ところが昼前になると急に青空が見え始め、そうなると気持ちもそわそわと。どれ、近場の山にでも出かけるか。

 登山口のある水分峡(みくまりきょう)は、広島市の中にすっぽりと包み込まれた安芸郡府中町にあります。途中、車の中から眺めた呉娑々宇山の山頂は雲の中に隠れていました。ちょっといやな予感。

 水分峡から遠く稜線を望む
 

 朝からの晴天ならきっと登山者でにぎやかだったんでしょうが、この日は誰もいませんでした。
 山の中腹まで林道が整備されていますが、そんな道を登ってもおもしろくないので林間の登山道をゆっくりいきます。

 木もれ日の登山道
 

 すぐに汗が出てきました。
 熊鈴を付ける必要もほとんどない山なので、鳥の声や風に揺れる葉の音などに耳を澄ましながら登ることができました。でも、いちばんよく聞こえるのは自分の荒い息づかいだったりします。

 高尾山の岩峰
 

 隣の尾根筋にある高尾山は巨岩が露出する山で、こちらからも呉娑々宇山に登れます。去年の安芸灘地震のときにも崩れなかった高射砲のような岩が威容を誇っていました。

 辺りがだんだん白くなってきました。雲の高さに近づいてきたんでしょう。

 コウヤボウキ
 

 稜線に出る頃には完全に雲の中。周りの景色もまったく見えません。
 静かな山歩きですが、ときおり遠く広島湾の造船所の音が聞こえてきていました。

 頂上近く
 

 頂上はやっぱり雲の中でした。もともと立木に阻まれて北西の視界しか望めないのですが、その景色さえも見えません。でも、山頂を超えて流れる雲の中に一人静かな時間を過ごすことができたのはよかったです。

 北西方向に西中国山地の
 山々が見えます(心眼で)

 

 数羽のコガラが梢伝いにやってきて、やがてどこかに去っていってしまうまでの数分間は退屈しないですみました。
 ブルッ…。汗が冷えてきたところで、そろそろ下山です。

 コガラ
 

 滑りやすい小道をゆっくりと降りていくと、だんだん明るくなってきて、やがて日射しが洩れてきました。時計を見るとまだ3時ですが、もう西日です。

 西日に輝く広島湾
 手前は広島市街

 

 水分峡まで降りると晴天の夕方でした。なんか変な感じです。
 ふくらはぎがパンパンになったのは気温が低かったせいか。とりあえず携帯で家に電話して風呂を沸かしておいてもらって、車でGo。道が混んでなければ15分で到着する距離です。

 府中町から
 

 途中で車を停めて振り返ると、さっきまでいた呉娑々宇山(右のピーク)がくっきりと。山頂からは雲が取れ、きっと今なら遠くの山々も見渡せるんだろうなと、ちょっと悔しい思いをしたのでした。