多摩丘陵でフットパス 〜長津田からすずかけ台〜


 

 「長津田からすずかけ台」

【横浜市 緑区 平成28年12月11日(日)】
 
 いつのまにか今年も師走になっていました。早いものです。やるべきことも多く気ぜわしいので、フットパスでも歩いて気持ちをリセットすることにしました。幸いこのところ休日はきまって晴天です。
 
                       
 
 今回歩くのは長津田周辺。yamanekoが歩くフットパスは、NPO法人「みどりのゆび」さんが中心となって編集されているガイドブックを参照していて、基本的には町田市内でコース設定されているのですが、長津田は町田市に隣接する横浜市緑区内の街です。


 Kashmir 3D

 長津田駅を出発し、電車の線路をくぐって南側へ。丘を越えて国道246号を渡り、今度はその南側の丘陵地を尾根に沿って歩いて行きます。最後は長津田から東急田園都市線で2駅先のすずかけ台駅でゴール。ざっくり言うと北東から南西へ、町田市と横浜市の境界のエリアを巡ることになります。

 長津田駅西口

 午前10時30分、長津田駅の西口をスタート。長津田駅は、JR横浜線、東急田園都市線、横浜高速鉄道こどもの国線が乗り入れるターミナル駅なのですが、駅周辺には商業施設も少なく、あまり賑わいは感じられまません。特にこの西口は。

 こどもの国線踏切

 西口から住宅地に延びる道はまさに生活道路。そこを歩いて行くと踏切がありました。こどもの国線の踏切です。

 田園風景

 踏切を渡ってすぐ、左手の小径に入るとこの風景です。駅に近いので宅地にすると人気が出そうですが。

 南側を見るとこんな感じ。これから向こうに見える丘を越えていきます。その手前にはJRと東急の線路があるのですが、切り通しになっていて、ここからは見えません。

 ガードをくぐる

 切り通しでありながら、さらにそこをくぐるガードがあり、そこから向こう側へ。ちなみに手前の線路がJR、奥が東急です。

 半蔵門線車両

 くぐった先を左折し、丘の縁に沿って坂道を登っていきます。すると田園都市線を電車が追い越していきました。あれは東京メトロ半蔵門線の車両なので、これから渋谷に向かい、更に墨田区の押上まで(その先の東武伊勢崎線までか)行く電車ですね。



 坂を上りきって歩いて来た道の方向を見るとこんな感じ(北の方角)。写真右端に長津田駅のホームが見えています。そこから写真左に向かって歩いて行って、写真左端のグレーの建物辺りでガードをくぐってここまで来たことになります。
 ここから線路沿いを離れて、南側の丘のてっぺんに向かって歩いて行きます。

 八坂神社

 登りはじめてすぐ右手に小さめの祠が。敷地は広く、鳥居から社殿までの距離もそこそこあるので格式のある神社のようです。調べてみると八坂神社とのこと。本社は京都の八坂神社でしょうか。

 黄葉

 見上げると黄葉。小春日和の野山歩きは本当に心安らぎます。

 丘の上には長津田小学校があり、その裏手の小径を歩いて行きます。カサカサと落ち葉の音を聞きながら、今年一年をあれこれ振り返ったりして。

 やがて道は住宅地の裏手へ。この辺りは多摩丘陵南部。雑木林と住宅地は隣接しています。

 丘の南側に回り込み、引き返すように森村学園の前の坂を下っていきます。写真中央の階段は旧大山街道だとか。大山街道は関東各地から大山を目指す街道のことで、主なものでも8ルートあるそうです。ここの大山街道は江戸の赤坂からほぼ国道246号線に沿うように延びている道です。

 住宅地の途中からもう一つ南側の丘が臨めました。間には国道246号線があり、それを横切ってこれからあの丘に登っていきます。写真では小さく見えますが、奥に向かって細長く伸びる丘です。

 王子神社


 丘を下りきる手前に立派な神社が。王子神社だそうです。戦国末期、長津田の領主が熊野の速玉大社から若一王寺権現を勧請して創建したとの由緒が記されていました。現在の社殿は昭和61年に建て直されたものだそうです。穏やかな日和、お宮参りのご家族が参拝していました。

 モミ

 王子神社の石鳥居の前にある大モミ。存在感がありました。

 宮の前交差点

 王子神社からすぐで国道246号線。ここの交差点は宮の前といいます。歩道橋を渡って向こうの丘にとりつきます。

 下り(南西)方向  上り(北東)方向

 歩道橋の上から。左の写真が下り・厚木方向。右の写真が上り・都心方向です。「246」は都心と神奈川方面を結ぶ大動脈です。

 福泉寺

 歩道橋を渡って丘に登り始めると福泉寺というお寺が現れました。長津田の領主が王子神社の管理運営に当たる別当寺として建立したものだそうです。境内は綺麗に整備されていました。

 シャクナゲの仲間

 境内に咲いていたシャクナゲ。園芸種だと思いますが、こんな寒い時期に咲くなんて、少し驚きです。

 境内から墓所を登っていって稜線に出るとこの景色。写真やや右のこんもりとした森が王子神社の社叢です。分かりにくいですが、写真左手の稜線上の白い建物が長津田小学校です。あの辺りから歩いてきたことになりますね。最奥に1本だけ高いビルがあるのは長津田駅北口にある高層マンションです。

 稜線を南下。静かな小径で誰とも行き会いません。

 ここは迷いやすいポイント。この藪の左側に延びる踏み跡を辿っていきます。

 やがて小さな神社の裏手に出ました。

 天王社

 ここは天王社というところ。正式には牛頭天皇宮(ごずてんのうのみや)と言うのだそうです。牛頭天王とは京都の八坂神社の祭神だそうで、本地仏は薬師如来とのことですが、中国の文献には出て来ないことから、日本で考えられた神様と考えられているのだそうです。明治期の廃仏毀釈によって牛頭天王を祭神とする寺社の多くはなくなったり、残っても祭神を素戔嗚尊とする神社に変えたりしたそうで、ここの天王社も名前は牛頭天皇宮ですが祭神は素戔嗚尊となっていました。

 天王社を過ぎて、明るい稜線の道。こんな道ならどこまでも歩いて行きたいくらい。

 これはクリ畑ですね。

 民家の脇に出ました。地図と若干符合せず疑問を持ちつつも、左手の坂を下っていきました。

 フィールドアスレチック

 T字路に出たところで右手に折れて坂を上り、なにやら本格的なフィールドアスレチックの横を通り…

 R246

 歩いて行くと、あれ? 246に出ました。完全に道を間違えています。

 林地蔵尊

 T字路のところまで戻って反対側に行くと林地蔵尊。おお、こっちが正しいコースです。ここのお地蔵山は、江戸時代中期、地元の女性達が念仏供養に建てたものだそうです。今から250年ほど前のことです。

 斜面を登る

 林地蔵尊を下りきると伯楽谷戸。昔は田圃があったであろう谷戸の底がが、整地され駐車場になっていました。ここは谷戸の向かい側の斜面を登っていきます。

 やがて明るい林に。

 そして、広い耕作地に出ました。丘の上に広がる農地です。

 ビワ

 農道の脇にあったビワの木。満開の花を付けていました。芳香がありますがさすがにこの時期は花粉を媒介してくれる虫も少ないだろうに。と思って調べたら、ビワは鳥媒花だそうです(虫による媒介も併用)。メジロとかが来るのでしょうか。一般に鳥媒花は色が鮮やかで香りはないものが多いそうですが、ビワはその真逆をいっていますね。

 クリ

 クリ畑の脇を通って森の中に入ります。

 森の中はこんなに明るい感じ。年の瀬の静かな散策にはもってこいの小径です。

 物流センター

 右手の木立の向こうに大きな建物が現れました。位置的には伯楽谷戸の最奥部に当たる場所です。食品関係の物流センターのようでした。

 コゴメウツギ

 和芥子のような色合いに黄葉するコゴメウツギ。好きな色です。

 ハリギリ

 ハリギリの幼木。茎には名前のとおりの鋭い刺が密生しています。こちらの黄葉も「和」テイストですね。

 つくし野交差点

 丘陵地が終わり国道246号線のつくし野交差点に出ました。さっきの宮の下交差点から1.3kmほどのところです。

 下り・南西方向  上り・北東方向

 歩道橋からの風景。

 田園都市線

 国道を渡り民家の前の坂を登ると、田園都市線が見えました。ちょうどすずかけ台駅を電車が出たところです。

 そこからの眺め。北東方向です。町田市の特徴をよく現す風景、自然と開発がマーブル状に入り組んでいる風景です。今日のコースを振り返ると昔からの里山がまだしっかり残っているかのように思えますが、それはあえて緑を辿るように歩いているからで、実際には森の向こうには広大な住宅地が広がっていたり、さっきのような大きな建物ができていたりで、里山風景がようやく残っていると言った方が正しいと思います。その残った里山風景の中には昔からのお地蔵様があったり、自然の地形や動植物、人々の生活の痕跡があったりで、それがフットパスを歩く面白味でもあるわけです。この環境がこれからも残っていくことを願いたいです。

 すずかけ台駅

 12時25分、ゴールのすずかけ台駅に到着しました。腹も減ってきたのでこの辺りで昼食をと考えていましたが、駅前には飲食店は見当たりませんでした。残念。
 結局長津田駅まで戻り、蕎麦屋で昼食をとりました。長津田でも店探しに時間がかかりましたが。