多摩丘陵でフットパス 〜片倉から御殿峠〜


 

 「片倉から御殿峠」

【東京都 八王子市・町田市 平成27年4月18日(土)】
 
 花見シーズンも終わり、巷はもうすっかり春です。4月に入ってからずっと天候が不順でしたが、今日は晴れ予報なので、午前中に家の用事を済ませ午後からフットパスを歩くことにしました。
 今回は、多摩丘陵の西端、多摩川水系と相模川水系を分ける丘陵地を横断するルートです。多摩丘陵はその全体像からイルカに例えられることがありますが(南部では三浦半島の三浦丘陵とつながっていて、両者を合わせて武相丘陵とも。)、そのイルカの鼻先あたりに当たる場所です。
 
                       
 


 Kashmir 3D    マウスオーバーでイルカを表示

 遅めの昼ご飯を食べてから電車で出発。橋本駅でJRに乗り換えて、横浜線で八王子方面に向かいます。

 片倉駅

 1時20分、橋本駅から3駅目で片倉駅に到着。ここがスタート地点です。駅前はというと、静かでした。客待ちのタクシーが2台。あと、友達を待っているのか、女子高生らしき人が2人ほど。ロータリーに面してコンビニが1軒ありました。ホッとしました。

 今日のコースは、片倉駅からスタートして、二駅戻る形で相原駅まで。幅5qほどに狭まった多摩丘陵を北から南に横断するルートです。

 片倉城跡公園

 駅前から即住宅地といった環境です。 その住宅地の中を少し歩くと国道16号線に出て、そこを横断すると右手に片倉城趾公園の入口がありました。ちょうど花の季節で、そこそこ来園者がいるようです。ここの公園内をぐるっと廻っていきます。
 この公園はその名のとおり片倉城跡を公園に整備したもので、湯殿川と兵衛川(いずれも浅川の支流。浅川は多摩川の支流。)に挟まれた小比企丘陵の東端に位置しています。公園は城郭のあった高地とその北側の麓に沿って延びる低地(水車小屋や菖蒲田などがある。)とで構成されているようでした。八王子市のHP きっとこの岬のように突き出した地形が城の守りを堅固なものにしていたのでしょう。

 ニリンソウ

 ニリンソウが満開。競い合うように咲いていました。

 緑色に染まり始めた丘を登っていきます。この上に、昔、砦が建っていたのでしょう。

 二の丸広場

 登り切ると二の丸広場です。広い芝生の広場になっていました。小さな子供を連れた若い家族が多かったです。

 広場の西側にある雑木林を元来た方(北側の低地)に下りていきます。

 ヤマブキソウの谷

 低地に下りてから、二の丸と雑木林との間の谷に分け入ってみました。すると一面に黄色の絨毯が。これはヤマブキソウの大群落です(自生地を植栽で広げたのかもしれませんが。)。

 ヤマブキソウ

 ヤマブキソウはぱっと見ヤマブキに似ていますが、花弁は4個。これはケシ科の特徴です。一方、ヤマブキはバラ科。花弁は5個です。また、ヤマブキソウは草本で大きさは30pに満たないくらいですが、ヤマブキは木本で大きさも人の背丈くらいになります。ただ、花冠自体はほぼ同じかむしろヤマブキソウの方がお大きかったりします。

 イロハモミジ

 公園の北側の花園を散策します。ちょうどいろはモミジが開花時期を迎えていました。

 セイヨウシャクナゲ

 これはシャクナゲの仲間。セイヨウシャクナゲと表示されていましたが。

 リュウキンカ

 リュウキンカ。湿地に生える花です。

 花いっぱいの公園を出て民家の間を通り抜け、公園敷地の脇を通る形で再び小比企丘陵を登っていきます。北側には八王子の中心市街地につながる住宅地が広がっていました。手前に流れるのが湯殿川です。昔は一面の雑木林だったんでしょうね。

 チェーンの左側はさっき下りてきた雑木林です。

 丘陵上の平坦面は広々とした農地になっていました。何かの植え付けの準備が進められているようです。

 農地を横切って南側に下りていきます。この傾斜、やはり城攻めの際には厄介だったかもしれません。
 坂を下り切ると住宅地になり、そのまま進んでJR横浜線をくぐりました。さっき片倉駅に向かう際に通ってきた線路です。ここから先は目的地の相原駅まで横浜線と国道16号線に挟まれた細いエリアを南下していきます。

 兵衛川

 線路をくぐるとすぐに川を渡りました。これが兵衛川です。がっつり三面護岸で直線化されています。

 コクサギ

 川の先にはまた丘がありその縁に沿って民家が並んでいます。その丘を登っていくと森や畑が広がっていました。

 すぐに丘を下りて農村風景のなかを進んでいきます。遠くで畑作業をしている人がいました。長閑です。

 だんだん谷が狭まり道は丘の上に続いています。そこを登り切ると突然幹線道路に出ました。急に現代に連れ戻された感じです。これは北野台という大規模団地とJR八王子みなみ野駅とを結ぶ道。ここは横切って正面の森の中に続く道へ入っていきます。



 森の中に入ってしばらく行くと、ちょっと目を疑うような光景が。一面のチューリップ畑が現れたのです。自由に観覧してよい旨案内板が出ていましたが、人気(ひとけ)は感じられませんでした。それとも建物の中に誰かいたんだろうか。それにしても森の中にポッカリ空いた空間で、なんでこんな人目のないところにといった印象です。(調べてみると、ここは雑木林のチューリップ畑として地元では有名のようでした。)

 鎌倉道

 引き続き雑木の中を歩いていきます。この小径は鎌倉道という古道。明るい林なので気持ちがいいです。 そしてやがて木立ちが途切れると道の左右にはトタンのフェンスが続くようになりました。資材置き場か産廃の集積場のようでした。道が埃っぽいです。

 高尾山

 そのフェンスの切れ目から高尾山の稜線が望めました。ここから直線で8qくらいです。

 また幹線道路が現れました。ここも横切って正面に続く道に入ります。

 アカメガシワ

 アカメガシワの若葉。赤い毛に覆われて芽吹き、大きくなるにつれて毛が取れて本来の緑色になる、その様子がよく分かりますね。

 結婚式場

 御殿峠までやってきました。この辺りは標高200mくらいで、多摩丘陵で最も高いところ。今日のコースでも最高地点です。この西洋風建築は多分結婚式場。国道16号線沿いとはいえなんでこんな寂しい峠に建っているんだろう。

 クサボケ

 結婚式場からは国道16号線の歩道を歩いて南下します。さすがは東京環状。交通量が多いです。これはクサボケ(草木瓜 )。草の字が付きますが立派な木です。

 御殿峠古道

 国道沿いに100mほど歩いたところで、2軒並んだ産廃業者の間の小道を右手に入って行きました。道はだんだん細くなりやがて森の中へ。この辺りは御殿峠古道というのだそうです。およそ住民が日常生活で利用するような道ではなく、昼間でもひっそりとしていました。

 シャガ

 静かな森の中に咲くシャガ。誰に見られることなくとも、その姿は優美です。

 ハナイカダ

 これはハナイカダ。上手いネーミングですね。葉の中央に花を付ける様子を筏に例えたものです。葉腋から出るはずの花茎が葉の中央の葉脈上に合着した結果でしょうか。

 人の気配の全くしない小径をしばらく歩いていくと、やがて車が通れるくらいの道に出ました。ここは鋭角的に右に折れます。

 さっきまでの鬱蒼とした森の中とは異なり、明るい雑木林の中の道になりました。 周囲の林は良く手入れがされていて、腐葉土を作るためのコンポストや作業小屋のようなものもありました。

 橋本方面

 3時5分、住宅地の上に出ました。ここからの眺めが素晴らしく、南東方向にある橋本の街並みが一望にできました。橋本は相模原市の北の中心。南の相模大野と共に政令指定都市の都市核とされているそうです。

 住宅地の急な坂道を相原駅に向かって下って行きます。午後の住宅地は静かでした。

 相原駅

 3時20分、相原駅の東口に到着しました。歩行距離は約8km。所要時間は2時間ちょうどでした。もっとのんびりと歩いても良かったとちょっと反省。

 改札階(2階)に上がると、改札はちょうど線路を跨ぐ位置に。写真は北方向。片倉方面の様子です。相原駅を出るとほどなくトンネルに入ります。
 
 相原駅から橋本駅まではで一駅。あっという間に家に着いてしまうので、戻ってもう一仕事できそうです。(妻からは「もう戻ってきたの。」と軽くあきれられました。)