道後山 〜明るい林道と草原と〜
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【広島県西城町・東城町 平成15年4月27日(日)】
今日の天気予報の画面には太陽マークだらけ。中国地方はどこもピーカンのようです。yamanekoはこんな日に家にいることができる人間じゃありません。
GWにもかかわらず中国自動車道はガラガラ。ドリーム号のサンルーフを開けて光を浴びて、気持ちいい高速ドライブです。
10時過ぎ、道後山の中腹「月見が丘」の駐車場に到着。装備を整えて、さあ出発です。
月見ヶ丘駐車場 |
駐車場の正面に見えるのは岩樋山(1271m)。道後山はこの山の向こうにあって、ここからそのピークを見ることはできません。岩樋山の方が2mほど高いのですが三角点は道後山にあります。
歩き出してすぐの林の中にバイケイソウの若葉が顔を出していました。
バイケイソウ |
辺りを見回してもここにしか生えていません。乾燥しているように見える林床ですが、けっこう湿っている場所なのでしょう。
登山道 |
あぁ、それにしても春の光をさんさんと浴びながらの山歩きは、ほんと月並みな表現ですが「サイコー!」
林の中を渡る風は暖かく、まさに「薫風」といった感じ。
聞こえてくるのはせせらぎの音、ウグイスの歌声のみで、あとは無音の世界です。
ツノハシバミ |
ダンコウバイはこれから開花するところ。ツノハシバミは垂れ下がった雄花から花粉を飛ばし、小さな雌花も深紅の柱頭をのぞかせています。
ムシカリ |
ムシカリの花序です。まだ蕾の状態で、対になっている葉もまだロール状。
この形をみるたびに、手塚治虫作「火の鳥・宇宙編」にでてくる植物を思い出します。故障した宇宙船からの脱出カプセルでたどり着いた名もない星で見た、空を飛べるように進化した植物です。
ところで、火の鳥は全11編(初期作を加えると14編)の壮大な生命の叙事詩で、それぞれの物語が時空を超えてつながりあっています。最初の黎明編の時点で数年後に発表することになる最終の太陽編のストーリーまで頭に組み上げていたとしか考えられません。とても30数年も前に描かれたものとは思えないほど、今でも読みごたえがあります。お奨めですよ。
コミヤマカタバミ |
登山道脇に小さなコミヤマカタバミを見つけました。ミヤマカタバミより背が低く、花も二回りくらい小さいです。
遠くからツツドリの声が聞こえてきます。ポポ、ポポ…
カラマツの新芽 | 茶筅?(大きさは1pほど) |
カラマツが枝にビッシリと新芽をつけています。カラマツは「落葉松」と書くとおり、針葉樹にしてはめずらしい落葉樹なのです。カラマツの葉は分解しにくいので林の下には落ち葉が厚く堆積し、他の植物がなかなか侵入できないのだそうです。
やがて林をぬけ、辺りは草原状になってきました。この山の上部はなだらかで、昔放牧が行われていたこともあって、今でも草原を維持しているのです。中国山地ではよく見る風景です。
こういった環境でこの時期に見かけるのはショウジョウバカマ。
ショウジョウバカマ |
みごとなショッキングピンクの花です。他にはイワカガミの葉が目につきます。テカテカに光った革質の丸い葉なので、一回見ると忘れません。あと半月もすれば一面淡い桃色の花であふれるでしょう。
岩樋山からの眺望 (西方向) |
12時前に岩樋山の山頂に到着。360度の大パノラマです。
西を見るといくつもの山並みの向こうに比婆山連峰が望めました。チョンと尖っているのは立烏帽子山です。手前の駐車場が月見が丘です。
道後山 |
東を見ると鞍部の向こうに道後山が連なっています。岩樋山の山頂は西城町、道後山の山頂は東城町(いずれも鳥取県との県境)になります。
とりあえず昼食。じっとしていると陽射しが強いことを実感します。こりゃ日に焼けるぞ。
食べ終わってひと休みしたら、道後山に向かって出発です。
残雪 |
いったん50mばかり下って鞍部を歩き、また登り始めます。鞍部のところどころにまだ雪が残っていました。
道後山山頂 (鬼に金棒?) |
午後1時、あっけなく道後山の山頂に到着。すでにいくつかのグループが休んでいました。ここも360度の展望です。
今度は腰を落ち着けて休憩。シートの上に仰向けに寝転がってボーっとしていると、このまま群青の空に落ちていくような錯覚に陥ります。
キスミレ |
山頂にはあちこちにキスミレが。ダイセンキスミレでしょうか。そういえばここからは雪渓を残した大山がすぐそこに見えます。
キアゲハ? |
春を迎え昆虫たちも活発に活動しています。山頂にはなぜかテントウムシが大量に発生していて、ちょっとじっとしているだけでズボンに4、5匹くっついています。どうも明るい色の服に集まるようです。
1時間休憩して、さあ下山。
楽しい休日を過ごすことができました。あとは安全に帰り着くだけです。
さて、次はどこへ行こうかな。
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