達磨山 〜曇天で結果オーライ(前編)〜


 

 (前編)

【静岡県 伊豆市・沼津市 令和3年7月31日(土)】
 
 関東南部は今年は梅雨が早く明けました(7月16日)。その後、しばらくは夏らしい晴天が続いていましたが、ここに来て台風がいくつか発生して天候は不安定になってきました。
 そしてこの週末。天気予報を確認するとどちらかといえば南の方が晴れ間がありそうだったので、今回は伊豆半島の入口、西伊豆の達磨山に行ってみることにしました。手前にある金冠山もセットで登ります。
 
                       
 
 午前6時、ドリーム号Vで出発。圏央道から東名高速に入ってしばらくは雨が降ったり止んだりでしたが、御殿場ICあたりから急に晴れ始め、沼津ICで高速を下りる頃には素晴らしい晴天になっていました。よしよし、計算どおりです。
 

 だるま高原レストハウス

 伊豆縦貫自動車道で三島市、伊豆の国市と南下し、修善寺から戸田峠に向かって山間の道を上っていきました。そして8時35分、だるま高原レストハウスに到着。ここが今回の野山歩きのベースです。標高627mの稜線上にあり、展望に高度感があります。

 Kashmir3D

 西伊豆には南北に20kmに及ぶ主稜線が走っていて、達磨山や金冠山はその北端部に位置しています。今日のルートは、だるま高原レストハウスの駐車場から支稜線上を登り、南北に走る主稜線に出たら、その先にある金冠山(816m)に登ります。一旦主稜線に戻り、戸田(へだ)峠に下りた後、あらためて達磨山(982m)に向けて主稜線を南下。復路は小達磨山との鞍部まで戻って、そこから車道を歩いて帰ります。

 登山口

 8時50分、スタート。駐車場から30mほど行った先に登山口がありました。



 木立の中を登っていきます。日陰ではありますが、湿度がかなり高く、登り始めてすぐに汗が噴き出しました。 日焼け止めが汗に流れて目に染みます。夏の野山歩きに日焼け止めはマスト。日焼けは結構体力を消耗するのです。

 リョウブ

 花の端境期となっているこの時期ですが、この日最初に目を楽しませてくれたのはリョウブでした。少し盛りは過ぎた状態でしょうか。



 風はほとんどありません。この暑さ、なかなか応えます。



 途中から稜線の道が幅の広い芝地になりました。特段レジャー施設という感じでもありませんでしたが、防火帯なのかも。それにしても陽射しが容赦ないです。

 タケニグサ

 これはタケニグサの花穂。下から咲いていっていて、ちょうど真ん中ちょっと下あたりが咲いている状態です。その上はまだ蕾で、その下はもう実になっていますね。

 オオバヤシャブシ

 海岸近くの山地で見られるオオバヤシャブシ。荒れ地や崩壊地にもいち早く進出するパイオニアプランツです。一つの実のように見えるのは果穂。茶色のものは去年できた果穂です。ちょうど松ぼっくりのように隙間に薄い果実がたくさん挟まっている構造で、去年のものは隙間が開ききって、挟まっていた果実はみんな落ちた後です。

 イナカギク

 これはイナカギクですね。別名をヤマシロギクともいいます。この花は地域的な変異が多いそうです。yamanekoは葉と総苞片の形状で判断しました。



 大きな岩が集まっているところがありました。伊豆半島は、太古、赤道付近から南の島が北上してきて今から約60万年くらい前に日本本土に衝突してできたものだそうです。一緒にやって来た岩石が露出したものかもしれません。うーむ、悠久の浪漫を感じます。



 いつの間にか青空が見えなくなりました。とはいえ、稜線部に雲がかかっているわけではなく、高曇りしている状態です。直射日光はありませんが、今度はフライパンに蓋をして蒸し焼きにされている感じです。そんな中、ツバメが何羽も低空飛行していました。

 金冠山

 やがて前方に金冠山が見えてきました。もうじき鞍部です。写真では分かりにくいですが、ところどころ雲に穴が空いていて、その向こうの青空が見えていました。それにしても出発地点の晴天はどこに行ったんだろう。

 ジャノメチョウ

 開けたササ原にジャノメチョウがいました。警戒心が強く、近づくとすぐに飛んでいきます。その飛び方がまた落ち着きがなく、小刻みに方向転換を繰り返します。疲れないのかね。



 こんなふうな青空ホールが所々にあります。



 ときどき陽射しが戻ってきます。すると一気にジリジリとした暑さになるのです。

 鞍部

 この小径を跨ぐところが金冠山との鞍部。ということでここから上りになるのですが、ここからの標高差は50mくらいしかありません。俯瞰してみると稜線上のアップダウンといった高低差ですね。



 登り始めるとすぐに階段になりました。

 小達磨山

 木立の間から次に向かう小達磨山の方が望めました。山頂部には雲が覆い被さっていますね。

 電波塔

 しばらく行くと電波塔が現れました。この電波塔、数年前の写真をネットで確認するとパラボラが3基設置されていましたが、今は何もなし。既に電波塔としての運用を終えているのでしょうか。

 ホオジロ

 その塔の中程でホオジロが囀っていました。縄張りを主張するにはもってこいの場所です。

 金冠山山頂

 電波塔からすぐで山頂に到着。時刻は9時40分です。山頂には大きな岩がごろごろしていました。



 山頂からの北方向の眺望がこちら。駿河湾の最奥部、内浦、静浦あたりになります。湾に浮かぶ島は淡島ですね。正面に居並ぶのは「沼津アルプス」と呼ばれる山並み。その向こうには狩野川の沖積平野である田方平野が広がっているはずです。
 相変わらず雲が多いですが、これだけの眺望が得られれば御の字です。

 石碑?

 山頂にはこんなものも。台座部分も含めると高さ2.5mほどもあり達筆で「金冠山」と彫られています。何か由緒のある石碑なのかと思いきや、裏には「昭和二十九年十一月 戸田村青年団・観光課」とありました。戦後、観光地化を目指していたということですね。



 山頂には5分ほどの滞在。あんパンでエネルギー補給をしました。そして次の目的地、達磨山に向けて、一旦鞍部に戻ります。

 マムシグサ

 鞍部からはコンクリート舗装された小径を緩く下っていきます。
 これは若いマムシグサですね。なかなかグロテスクな姿をしています。



 この小径を歩いていると、なんと10mほど先を右から左へ、ニホンジカが軽やかにジャンプして横断していきました。もののけ姫の世界か。



 道の脇、はるか下の方に駐車場が見えました。あれは戸田峠の駐車場です。



 その戸田峠に向かってぐんぐん下って行きます。正面に小達磨山。



 途中にこんな掲示が。7月26日というとわずか5日前じゃないですか。西伊豆町はすこし離れていますが、クマの移動範囲からするとこの辺りも出会う危険があるということなんでしょうね。できれば遭わずにいたいですね。

 戸田峠

 9時55分、戸田峠まで下りてきました。スタート時の晴天はどこへやら。でも雨が降らないだけよしとしましょう。

 バス停

 この峠には東海バスのバス停があります。修善寺と戸田を結ぶ路線ですが、近くに民家もないここで乗り降りする人は純粋に観光客ということなんでしょうね。ハイキングに来た人たちが利用するのでしょう。
 
 さあ、ここからは達磨山に向かって主稜線を歩いて行きます。空が(適度に)晴れることを祈りつつ。(後編に続く